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2004年12月14日
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カテゴリ: ショートショート


「ママ?どうして僕にはパパがいないの?」

健太にはお友達のようにパパがいません。

小さい時からいなかったので、

それがあたりまえのように思っていました。

初めて健太がママにそんなことを聞いた時、

ママは目に涙を浮かべて

台所へ逃げて行ってしまったのです。

それから健太はもう聞きませんでした。

ママは毎朝、健太を幼稚園に送ってからお仕事です。

そして2時に迎えに来て家に帰ります。

「ママ、いってらっしゃい。」

こんどは健太がママを見送る番、

「今日はママのお友達とお話があって遅くなりそうなの、

ごめんね、いつものようにご飯食べたら早く寝ててね。」

「うん、わかった。」

健太は一人になると好きなアニメを見たり、

絵を描いたりして過ごします。

でもクリスマスのこの時期は窓から見る外の風景も

楽しめました。

マンションの5階からいろんな家の飾り付けが見れました。

キラキラ輝くイルミネーションがきれいで、

まるでお菓子のお家とかおとぎの国のお家のようです。

小さなサンタさんを何人も並べたお家や、

スヌーピーを並べたお家。

つぶつぶの電球を屋根から壁一面に降ろしていたり、

大きなクリスマスツリーに吊り下げられたりです。

ひかりのつぶつぶは交互に輝きあって、

何時間見ていても飽きませんでした。

でもママの言いつけどおり、時計の短い針が

8を指す前にごはんを食べてお風呂に入って

パジャマに着替えベッドに入ります。

そして健太は一人静かに眠ります。

夜中にママが帰ってきたのも分からないくらい

ぐっすりと寝ていました。

そう、突然ママが倒れる音がするまでは――。

ママのうめき声が聞こえます。

「ママ!だいじょうぶ?」

「健太、携帯電話とって――。」

ママの鞄から携帯電話を取って渡すと、

振り絞ったような声で住所を告げていました。

やがて救急車が迎えに来ると、健太も乗り込んで

病院に向かいます。

深夜の病院はとても静かで長い廊下の長いすに腰掛けて、

健太はパジャマのままでじっとしていました。

さっきまで見ていた、光のつぶつぶや

サンタ人形の明かりがぐるぐる頭の中を回っています。

気がつくと健太は誰かにお願いをしていました。

(ママが元気になりますように――)

自然に両手を合わせ、手を組んでいたのです。

その時、静かな長い廊下に鈴の音が響き渡りました。

しゃんしゃん、しゃんしゃん――。

突然、絵本に出てくるようなサンタさんが

トナカイと一緒にやって来ました。

そして健太の前で止まり、

「健太君、今わしを呼んだかね?」

とサンタさんは言いました。

「!」

健太は突然のことにびっくりして声も出せませんでした。

サンタさんは周りの状況を見てからやっと聞き出します。

「君のママがここの手術室にいるのかね?」

「はい」

とだけ健太は答えました。

「よし、わしも一緒に祈ってあげよう。」

サンタさんは病室がある壁に向かってひざまづくと、

健太と一緒に手を組んで祈り始めました。

「どうか、健太君のママが元気になりますように。」

「どうか、ママの手術が成功しますように。」

しばらくして並んだ二人から

金色の光が出てくるかと思うと、

病室へ向かい壁を通り抜けて行きました。

「よし、健太君。これでママは大丈夫だ。」

「ありがとう、サンタさん。」

「クリスマス前でもいろいろな事をしなくちゃね、

そうだケンタ君、プレゼントは何がほしいのかな?」

「サンタさん、僕パパがほしい―」

「ぅおーほっほほほー」

とサンタさんは例の笑い声を出しました。

「健太君、サンタはいつでも君のパパだよ。

会いたいときはいつでも会えるからね。」

とそっと健太を抱きました。



気がつくと長い廊下の長いすの前に看護士さんがいて、

ママの手術が終ったと言いました。

いろんな道具に囲まれたベッドで

ママは横になっています。

腕や鼻に管が通っていました。

でもママの目は健太を見て涙ぐんでいて、

自由な右手は健太を呼びつけるように

一生懸命向かっていました。

健太はママの右手を握りしめて言いました。

「ママ、よかった。

これからも一緒に暮らせるね。

ママ、僕、パパに会えたんだよ。

僕のパパはサンタさんだったよ。」

ママはうん、うんと頷きました。

(おしまい)






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最終更新日  2004年12月14日 13時07分11秒
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