情熱のあと
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妻の面影から逃れることのない生活を送っているが、物悲しい気分に陥ったときそれは鮮やかに甦る。わたしはいつも問い掛ける。「愛していたのならなぜ彼女が元気なときに彼女を肯定してやらなかったのか。なぜ廃人になってすることがなく朝からお酒を飲むしかなくなった彼女に申し訳ないと思うのか。なぜ彼女に命令したのか。なぜ彼女の人格を否定する数々の暴言を吐き続けたのか」冷静に考えるに、わたしという男は結局は、元気な妻が目の前にいれば、何一つ実行に移さない男なのだ。常に自分のプライド優先で、妻が言ったように「自分のことしか考えていない男」だ。こんな人間はひとりぼっちになるのが当然だ。こんな人間が皆にちやほやされて人生を謳歌できたら怖い。そしてこんな男しか愛せなかった女もある意味同罪かもしれない。この男にしてあの女あり。命の大切さをわかろうとせず、自ら自身の人生を棒に振った。価値観の合わない男などさっさと捨てて再婚すればよかったのだ。世の結婚に失敗した女性たちはそうしている。そうすればよかったのだ。これでよかったと思うときがある。わたしたちは、こんな愛し方しかできなかった二人だ。似たもの同士。お互い相手を終着駅だと認めていて、次の恋愛など考えられなかった。考えられないのだから世間一般の価値観を踏襲するのは土台不可能だった。こんな常軌を逸した結末を迎えて愛を永遠のものにした。それだけのことなのだ。
2005.09.03
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