まあ冬ですから寒いのは当たり前ですが、特に今年は例年以上に乾燥しているのか、顔がカサカサ、剥け剥け、酷いことになっちゃってます。
そんな折、4年前の この時期にハワイ島 にご一緒した 鈴木直也さんご夫妻からお誘いをいただき沖縄に行ってきました。
その沖縄カヌチャリゾート/ゴルフの模様は次回にまわすとして、今回は折角ゆっくりと話す時間があるので、鈴木直也さんに日頃私が聴きたかった事〜 電気自動車についての疑問に対して色々とお答え 頂きました。
鈴木直也さんは、そのハワイ島回でも書いた通り日本カーオブザイヤーの選考委員も務める著名モータージャーナリストで、数ある自動車雑誌のなかで最大部数を誇る「ベストカー」のレギュラー執筆者であります。
もう知り合ってから35年以上になります。
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今回宿泊したカヌチャリゾート アゼリアスイートでお聞きしましたよ。
先ずはこんなこと伺いました。
電気自動車(BEV=完全バッテリー電気自動車)はいつから主流となりうるのか?
鈴木直也さん:何でもそうだけど上から押しつけても商品は売れない。ユーザーが買いたいと思ったときが受け入れられるとき。それは純粋にコスパに左右される。例えば携帯電話も初期はすごく高かったわけで、あれはお金持ちが買うんじゃ無いかと予想されていたのが、実は街の自営業の人が最初に導入した。それは商売に使うから。出先でお客さんからの電話を受けたいってニーズがすごくあったから。本当に欲しい人がまず買っていく。所有していることが嬉しいマニアは別として。
これが今のテスラぐらいの数、ようやく年間100万台くらいに迫っているけど、いま世界のクルマの年間販売数9000万台。つまり1%。だからマニアが買うものは1%で、テスラがトヨタの1000万台メーカーになる事はあり得ない。
じゃあ新車年間販売のシェア50%になることは将来的にあり得る?
もちろんあるでしょう。将来的に電動パワートレインが主流になることに対して反対する業界人は一人もいないでしょう。ただ、化石燃料から電動車に数が逆転するのがどれだけの未来か?どれだけの移行期間があるのかは千差万別。
そうなっていって、内燃機関の自動車は無くなってしまうのでしょうか?
なくならない。持ち運べる=ポータブルなエネルギー源というのは、物理的に電池のエネルギー密度から考えてどうやったって無理だから。
ガソリンをスタンドに運んでそこで給油してトラックは走るけど、同じ事電気でできますか?例えば軍用の車両が電気になりますか?絶対にならない。電欠になって止まったら死んでしまう。ロジスティック担っている人たちは最後まで電気には行かない。短距離は別だけど。例えばクロネコの街中のデリバリーとか。あれはむしろ電気の方がいいじゃないと言う話。
我が家みたいに集合住宅に住んでる人は充電はどうすればいい?
それは社会生活の範疇の話。例えば建築基準法改正して、マンション建てるときには駐車場にプラグ着けなさいにして。
一般住宅にソーラー発電付けてる人沢山いるよね。何故か?付けないと損だから。ソーラー付けてない人から付けている人に勝手にお金を移転している。やらないと損だと思ったら絶対に普及する。
ETCがいい例で、もし割引無かったら絶対に付けないって。アクアライン一回通ったらETC設置費用ペイできるよね。電気自動車がそうなるか?って話。絶対電気自動車にしないと損ですよってなれば、雪崩を打った様にみんな電気自動車を買う。
電気自動車が普及してその分ガソリンの消費量が減り、揮発油税収が激減した場合、電気代は上がってしまうのでは?
今車検証には走行距離が明記されているよね。あれは走行メーターの巻き戻しの不正対策でもあるんだけど、車検毎に「あなた2万km走りましたね。km当たり5円ですから10万円税金払って下さい」になる。つまり走行課税、走った距離に比例して税金を払う様になる、燃費の善し悪しは別として。結果揮発油税は廃止になる。電気は自動車で使った分と家庭で使った分の区別は出来ないがゆえ電気そのものに課税は出来ない。だからもし内燃機関車が激減して壊滅的に揮発油税が減ったら、電気自動車も車検時の走行課税になるでしょう、恐らく。
今日一番お聞きしたかったことなんですが、新興電気自動車メーカーが特に中国では雨後の竹の子がごとくできていますが、自動車ってそんなに簡単にできるものじゃありませんよね。既存の自動車メーカーは、歴史、研究所、テストコースとかが あって、走行実験や安全対策とかに莫大なお金をかけていると思うけど。
エンジニアリニング会社に丸投げすれば出来る。特に欧州にはエンジニアリングサービスを請け負う会社はたくさん有る。生産代行もしてくれる会社もある。BOSHとかDENSOとか部品作ってるサプライヤーってあるでしょう?その大手はその気になればクルマそのものを作れる。でも儲からないから作っていない。自動車って作るより売るのが難しいんです。
でも中国のちっちゃい会社は?
見よう見まねで作ってる。衝突基準とか安全基準とかは有ってなきがごとし。それをヨーロッパに持ち込んで欧州の基準を満たしているか?って言うと、満たしている車種は数車種だけになってると思う。
満たしていないのは中国国内では売れる訳?
売れるけど、数社の例外を除いて海外で認証取ってないから中国以外では売れない。というか実はテスラも日本で認証とっていないんだよね。だから普通は国交省から型式登録をもらって書類だけで登録出来るんだけど、テスラは実車持ち込みでナンバー取る。 *1
テスラについては元々直也さんは批判的な立場だったですよね?
勿論そうで、テスラはFREE RIDERつまり ただ乗りをしているんだよね。既存の色んな自動車メーカーが負担していることを自らは全部すっ飛ばして、それにただ乗りをする事によってなんとか成り立っている。
それこそテストコースすら持っていない。エンジニアリング会社に丸投げして、エンジニアリング会社から人引っ張ってくればできるし、工場はトヨタの米国工場(GMとの合併生産会社)を買って、今はもっと増えているけれど。最初生産立ち上げるのにものすごく苦労していたよね。
で、サービス網、ディーラーもないわけ。それは電気自動車で壊れないからサービスいらないんだって言い張ってたけど、実は壊れる。
2~3年前にテスラはチャプター11になるって言ってませんでしたっけ?
ようやく株価が頭を打ったよね。同時にテスラの重要な収益源であるCO2排出クレジットが段々売れなくなってくる。従来の自動車会社の自前のEVが増えてきたから。
で、今アメリカでようやく自動運転のベータ版がとんでもない事故ばっかり起こして、流石にアメリカの官公庁も堪忍袋の緒が切れてテスラに文句言うようになってきた。今までテスラには文句言いづらかったんだ。アメリカはそうでもないけどヨーロッパは狂ったような気候正義なので、電気自動車は偉い、電気自動車に文句付けるなみたいな感じなのよ。
Apple Car、SONY Carは実現するか?
1500万円なら有りだよ。でも自動車ってボリュームゾーンはMAX500万円じゃない。アップルは500万円で自動車出せるかっていうと自前の工場持てないから恐らく生産委託になるだろうし、それは絶対に無理だし。そんなビジネスやりたくないだろう。ソニーも出すの出さないのとかグズグズしてて「実はそんなに本気じゃ有りません」なんて言ったり。そもそもクルマ作るのとクルマ売るのでは天と地ほどビジネスの難しさが違う。
やはり売るのはすごく難しいんだ
あり得ないくらい難しい。それは売った瞬間からめちゃめちゃな責任が発生するから。それで人死んだらどうすんだ、って話になるから。
燃料電池車は将来主流となり得るか?
もし内燃機関を代替するエネルギー源が出てくるとしたらそれはFEV 燃料電池。さっきも言ったけど、エネルギーがポータブル(運搬可能)にならないと困る人はたくさんいる。つまり家に帰ってチャージする、じゃなくて今すぐエネルギーを充填したいと言うニーズの方が遙かに多い。例えばタクシーは稼働率勝負。運転手はシフトできてもクルマ自体は一日中走ってる。じゃあEV? 車庫に帰ってきてそこでチャージのために何時間も止めます?それじゃ商売の効率はとても悪い。さっきの軍用もそうだし。それを代替してポテンシャルがあるのはFCVだよね、ってことになる。ただFCVも課題はすごくある。
ポータブルなエネルギーで、ポンってチャージしてすぐ走れるのが化石燃料の素晴らしいところなんだって。どこにでもあるし、保存もしておけるし。
最後に自動運転について。どこまで普及するんですかね?
高速道路限定じゃ無いかな。
何でもそうだけど、純度を高めていって99%くらいには普通に行って、そこから99.9、99,99とか9が続き始めるともう急角度でコストが上がっていく。
だから「ごめん、10万キロ走ったら人ひとりかふたりは死にます」でいいなら、結構いけるかもしれない。
これが人間の心理の面白いところで、例えばヤンキーの兄ちゃんが無免許で軽自動車ぶっ飛ばして人轢いて死んじゃったら、人間受け入れられるんだよね、しょうがない事故だって。でも、機械に殺されちゃったら受け入れられない。で、機械に殺されちゃったら文句付けるところってあるでしょう?その文句を言える相手が大企業でしょ?しかも巨大企業でしょ?絶対文句言うでしょ?
でもその辺のヤンキーの兄ちゃんが起こした事故の場合、文句言う相手はヤンキーの兄ちゃんだけじゃない。その他には言えないから人間そこで受け入れるじゃない。だけど機械に殺されちゃったら受け入れられないんだよ。
今日の結論
電気は、あまり無茶に急がず徐々に普及していけばいいのよ。
内燃機関がダメだなんて言ってるのはヨーロッパの人だけで、アフリカやアジア、南米とかの貧しい国で、おまえら内燃機関止めて電気自動車乗れなんて通ると思いますか?って話なんだよね。
と言うことで、色々お話し伺いました。
これ以外にも今回の2泊3日で色々興味深い話題が有りましたけど、すごく長くなっちゃうのと、文字としてWEB上に残しづらいお話しもあるので、今回はこの辺にしておきたいと思います。
直也さん有り難うございました。
*1 後日ワタクシが調べたところ、日本のお役所では型式認証で重要な部分は排ガス規制であって、電気自動車はそもそも排気ガスを出さないから、車種毎の型式認証取らなくても登録できてしまうらしい。
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今回の旅行でもその抜群の履き心地ですごく重宝したスニーカー mobus LOUIS (モーブス ルイス)
スタイルもベーシックで色々なファッションとコーディネートしやすいです。
ワタクシの一押しです。
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