あれは1990年代の前半、まだバブルの残り香が漂っていた頃の話、20代男性のクルマに同乗して関越方面のスキー場に行った時のことであります。
そのクルマでず〜と流れていたのが、いわゆるJ-POPそれも女性歌手ばかりでありました。
いい加減飽きてきたので「キミたち、 竹内まりやは聴かないの?」と質問すると、その回答はなんと・・・!
「難しくてよく分からないんです」
「え?!難しいって?」
「何か、アレンジとか複雑で分かりにくいんですよね」
いやいやビックリ、というかそんなものなんですかね、巷によくいるフツーのJ-POPファンって。
でも、「 元気を出して」とか「 けんかをやめて」って難しいのかなぁ?
確かに「元気を出して」のイントロはジェームス・テイラーの「君の友だち」だし、「けんかをやめて」は3連のロッカバラードだから、洋楽臭がが強すぎてZARDファンには難解なのかしら?
ちょうどその頃に出ていた竹内まりやのアルバムは「 クワイエットライフ」
確かに「 コンビニラバー」なんてマッスルショールズサウンドだし、「 クールダウン」はフィリーソウル的(表現違ってたらごめんなさい)、ましてや「 アフターイヤーズ」なんてハーブ・アルパートなんですから、そりゃあ大黒摩季ファンには辛いかも知れません(笑)
でもこのアルバムってオリコンチャート1位になってるし、その年のレコ大アルバム賞も取ってるんですけどね。
で、私が何を言いたいか?っていうと、それだけ竹内まりやの楽曲はポピュラー音楽としてレベルが高いって事。決して難しい=高レベルと言う事ではなくって、日本のポピュラー音楽のレベルを思いっきり引き上げているのは竹内まりやと彼女のプロデューサー兼アレンジャーの 山下達郎だって事です。
過去の経験から言って、女性は楽曲の歌詞に重点を置いて聴かれている方が男性より多いと感じておりますが、例えば人気No.1である「 駅」も、”別れた恋人を一つ隣の車両から見つめる“という切ない気持ちに共感出来る女性に対して、 青山純のドラムと 伊藤広規のベースが織りなす最高のグルーヴ感を知らず知らずのうちに植え付けていると言う事なのです。
余談ですがこの「駅」は今は地下に移動して取り壊されてしまった東横線渋谷駅の事だそうです。
そして個人的に思うのは、まりやさんの作曲能力の高さ。
「 フォーエバー・フレンズ」「 家に帰ろう」のサビのメロディーなんてモロ洋楽メロディーの中に我々日本人の心を揺さぶるエッセンスが入っています。さらには「 ハーティパーティ」のサビの後に来るクリシェ的なところなんて、作曲家としても日本を代表する存在じゃなかろうか?なんて思っております。
「愛してるよ」by 木村拓哉
シンガーとしても、 ザ・クリスマスソングのようなスタンダードを今現役で歌いこなせるシンガーってそういないんじゃないかな?
そんな竹内まりやさんですが、私一度だけ間近でお目に掛かった事がありまして・・・。
シンコーミュージックの社長であった草野昌一=作詞家: 漣健児さんが2005年にお亡くなりになられて、そのお別れの会が九段下のホテルグランドパレスで執り行われた際に、達郎まりや夫妻もいらっしゃいました。(漣健児さん訳詞の楽曲を多く唄ったカバーアルバム「 ロングタイム・フェイバリッツ」をこの数年前にまりやさんがリリース)
この私もシンコーミュージックと雑誌の仕事をさせて頂いた関係上、お招きに預かった訳ですが、もうこれは100%確信犯、達郎さんまりやさんにお目にかかるために出席。もちろん単に一ファンでしかないワタクシはお声がけなど大それた事は致しませんでしたが、お二人のそばにへばりついて、耳ダンボ状態でお知り合いの方とお話しなさっていたのを一字一句逃すまいと聞いていたのは言うまでもありません。
まりやさん、黒のロングドレスにエルメスのHが燦然と輝くバッグを片手に、どちらかと言うとご自分が表に立って、一歩下がっている達郎さんを周りの方に紹介するといった感じで、ラジオの夫婦放談とはかなり違った印象でしたね。まりやさん本当にお綺麗だし背高いからカッコいいんですよ!HOLLYSのヒット曲のタイトルじゃないけどまさに LONG COOL WOOMAN IN A BLACK DRESSでいらっしゃいました。
そして、達郎さんが極普通の黒の礼服に黒いネクタイってのが微笑ましかったです。
そして、まりやさんについては 私にとってあっと驚く出来事が起こりました。
2014年8月の事です。
これは、NHKホールで行われた山下達郎ライブの際に、ホールロビーでマイクを持った女性が近づいてきて・・・。
もっと上手くしゃべれたのになぁと後になって反省しきりですが、いきなりですもの。
それも殆どカット無し。そしてその後に続く神様イエス様マリヤさまのお言葉!「嬉しいお言葉じゃありませんか」
そのお言葉、そのまま竹内まりや様にお返しいたします。
本当に一生の記念であります。
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