今回は忘れもしない、人生で初の断食についてです。ラマザンの用語が出てくるので、分からない方は初めにラマザンについての回を読んで下さい。
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https://fanblogs.jp/emirturkiye/archive/57/0
やろうと思ったキッカケは、なんというか「食べれないという気持ちを共有したかったから」です。あと、単純に興味が湧いたからってのもあります。
それは2年目のラマザン月の後半、僕は休暇でカッパドキアにいました。残すところ後一週間くらいに、久しぶりに友人達に会いに来ていました。親友ブルハンの家に泊めてもらい、最初の滞在の時にお世話になった人達に挨拶して回っていました。
そしたら時期が時期なので、ほとんどの人が断食している訳です。僕の印象では、田舎に行けば行くほどきちんと断食している人たちの割合が増える傾向にあると思います。カッパドキアはトルコの内陸部なので、観光場所以外のローカルな場所はレストラン自体が閉まっている場所が多く、日中はチョコレートにしかありつけない日もありました。で、そこで思った訳です。
オレもやってみたら、こんな食べ物探さずに済むんじゃないか?
最初から食べないと決めていれば、わざわざ探さなくていいという逆転の発想です。
もちろん、最初に言ったとおり興味もあったので、そういう結論に至りました。
という訳で早速ブルハンに相談すると、どういう風にやるか詳しく説明してくれて、そしてこう言いました。
「明日はカディルゲジェスィだから、やるのにちょうどいいと思うよ」
カディルゲジェスィとは、ラマザン月の最後の週にある特別な日で、「1000の夜よりも神聖な夜」と言われていて、この日に断食をした者の願いを叶えてくれると言われています。
そんな日があるなら、是非やってみようかと思いました。初めての断食を神聖な日に行うなんてテンションが上がります。なので朝(夜中?)の食事であるサフルを逃さない為に、早めに寝ようと思いました。
が、僕はサフルできちんとした食事をすることができませんでした。ブルハンが起こしてくれたにも関わらず、いざ食べるとなると全く食欲が湧かなかったので、水だけ飲んで寝てしまいました。なぜだか分かりませんが「半日ちょい食べなくてもなんとかなるだろ」とか甘いことを考えてしまい、そのまま寝てしまいました。これが後の後悔に繋がります。。。
朝、割と遅く10時に目か覚めます。断食明けまで残り時間後10時間半。起きたばかりなのでまだまだまだ余裕です。
「さて、家にこもっててもつまらんから外出するか」
てな感じで挨拶回りの続きの為に、僕の第2のホームタウン「アヴァノス」へ向かいます。まず向かったのは、陶器屋です。 「Venessa seramik」という陶器屋で、最初の2ヶ月半の滞在中ここにも入り浸ってました。到着すると「おー!久しぶりだねー!」と暖かく迎えてくれ「何飲む?チャイ飲む?」と当然のごとくおもてなしされます。
「いや、今日オレ断食してるんだ」
と言ったら全員に驚かれました
普通、イスラム教徒でないとしないことを、そうでない、しかも日本人がやってるもんだから珍しがります。ていうか最初イスラム教徒になったのかと勘違いして祝福されました(笑)
しばらく談笑し、みんなに挨拶したら次の所へ向かいます。次はこの陶器屋のちょうど向かいに面するトルコ石屋 「AGAD 」です。
ここも同じくとてもお世話になったので皆に挨拶し、しばらくぶりに皆と楽しい時間を過ごしました。ここの特徴は、やはり宝石店だからか、美女が多いです。
こんな感じです。もう美女ばかりです。ちなみに真ん中が僕です。
トルコ人は美人が多いと思います。そしてこの写真を見ればわかる通りいろんなタイプの人がいて、ヨーロッパっぽい人もいればアラブっぽい人、ちょっとアジア系を思わせる人など多種多様です。
で、僕が今日断食しているのを知ると、やはりみんな驚きましたが、理由を話すと
「カッコいい!」とお褒めの言葉をいただきました。
美女たちの応援をもらって少し元気が湧きましたが、時刻は14:00を回り、少しけだるさも出てきましたが、これならまだいけると思ったので次の目的地に向かうためお店を後にしようとしました。
けど、その前に以前から買おうと思っていたトルコ石のアクセサリーを買いました。緑がかった天然のトルコ石を買ったのですが、これがまたどんな場面にも合いそうな雰囲気のネックレスで僕は好きです。
「イフタルの時はみんなアヴァノスのMADOにいるから、その時間にまた会いましょうね。断食頑張ってね!諦めちゃだめよ!」と去り際に更にエールをもらい、次はブルハンが働いている絨毯屋 「Bazaar54」に向かいます。
その絨毯屋までは、もちろん歩いていきますが、歩いている途中ふと思いました。
「水が飲みたい」
でも飲めません。飲んではだめだと自分に言い聞かせ、ひたすら歩きます。この断食で一番つらいのが何かは明白で、水分が取れないことです。食べ物を食べれないのはそれほど苦痛にはならないんです。最終的に水が一番恋しくなります。特に時期が夏なので、なおさら水分が欲しくなります。なんとか歩ききって絨毯屋にたどり着くと、真っ先に目につくのは冷蔵庫に入っているミネラルウォーターです。キンキンに冷えたミネラルウォーターから始まり、コーラ、ジュース、ソーダ、アイスティー達が総攻めで飲めと僕を誘惑しているようです。
ここはブルハンが務めていますが、行くのは初めてだったのですが既にブルハンが僕が来ることを知らせていたので、従業員達は僕が断食していることも知っていて話題になっていました。
「よく来たな、歓迎するよ」
「こんな暑い中よく歩いてきたね」
「断食してるんだって?アダムスン!(男らしいな)」
と早速質問責めに遭いましたが、ぶっちゃけ僕はもう喋る気力がありませんでした。
と、か細い声しか出せません。
時刻は16:00を回っており、空腹を感じる大きなポイントの時間に差し掛かってきました。慣れない僕はペース配分ができず、おまけに早朝のサフルもきちんと食べなかったツケがここで回ってきます。しかし、ここで諦めるのはカッコ悪いので、ひたすら我慢するしかありません。なのでブルハンの計らいで、お店の休憩スペースを使わせてもらうことになったのでそこで静かに座ってじっと耐えます。まぁその間も、次から次へと僕に興味持った従業員の人達が話しかけてくるんですが・・・(汗)
質問攻めの猛攻に耐え、ブルハンも従業時間が終了したので絨毯屋を出ます。この日は比較的来店するツアーグループが少なかったので、空き時間があったからか凄くみんな暇そうでした。だからか、暇を持て余した従業員が僕に群がってくるのは至極当然のことだったのかもしれません。。。
時刻はまだ18:30分です。断食明けのイフタルまでまだ2時間ほどあります。
飢えて死にそうです。。。もちろん死にはしませんが、体中に力が無いし、歩くのも億劫な状態。ここが鬼門です。
「初めての断食だから、誰でもそうなるよ」
とブルハンが慰めます。心の友よ・・・
で、こういう時はどうするかというと敢えて人がいるところに行くんだとか。なのでアヴァノスの住人のたまり場である「MADO」に行くことにしました。
MADOとは、トルコの喫茶店です。そのまま「マド」と呼びますが、名前の由来はもちろん日本の「窓」とは関係ありません。
正解は「 MAra? DOndurmas?(マラシュドンドゥルマス)」の頭文字をとったものです。トルコで有名なのび〜るアイス発祥の地がカフラマンマラシュというところで、トルコ語でアイスはドンドゥルマと言い、それの略です。トルコ全国にあるお店で、カッパドキアの小さな町にすらあるほど大手の喫茶チェーン店です。
アヴァノスの中心にあるクズルウルマク川のほとりにあるので、夜は町の人達のほとんどがその周辺でたむろっています。町の唯一の憩いの場みたいなところなので、行けばかならず知り合いに出くわすほどです。
「ハーイ、断食続けてる?」
と、昼間のトルコ石店の美女たちも既にMADOにいました。もちろん続けていることを伝えましたが、弱っているところを見せるわけにはいかないので軽くあいさつし、少し遠めの席にブルハンと座りました。かなりぐったりしてましたが、ここにブルハンを連れてきた理由がわかって少し楽になりました。それは他の人も断食してるので、みんな食べてないのを見ると勇気が湧いてきます。一人だとどうしても「もう楽になっていいんだぞ・・・」といった気持ちが湧いてきますが、ここではそんなことは出来ません。あとはもう意地です。
ブルハンと当時の思い出を語りながら、そろそろ準備にと「イフタルメニュー」を注文します。このラマザン月には、必ず各レストランにラマザン限定のメニューが用意してあり、おなか一杯になるセットメニューをほとんどの人が注文します。そしてついに・・・
アッラーーーーフエクベル!!!
ついに断食が明けました!!
「まずは焦らず、お水を飲んで下さい」
とブルハンが言うので、飲むと水が体中を駆け巡る感覚がします。五臓六腑に染み渡るとはもうこのことで、今までこんなに水が美味いと思ったことは過去に一度もありませんでした。たったコップ一杯の水がこんなにもありがたいものだなんて日本では考えたことはありません。そしてスープ、メイン料理と食べてみると、どれも今まで食べた料理とは比べ物にならないほど美味しく感じました。トルコによくある料理なのにもかかわらずです。
僕はこの時初めて 食べ物が食べれることの有難さを本当の意味で理解しました。
この断食の本当の意味を理解したのです。
「よく我慢したね。Allah kabul etsin!」とブルハンも褒めたたえてくれました。もちろん美女たちにも(笑)
僕は日本に帰ってきて時々思います。レストランとかに行くと、本当に頼んだものを残す人が大勢いることに気付き、なんてもったいないことをしているんだろうと思います。もちろん不味かったから残したかもしれないし、体調が優れず思ったより食べれなかったのかもしれません。そういう場合は仕方ないと思いますが、それ以外だったらできるだけ食べるか、初めから食べれる分だけ注文してはどうでしょうか?世界には本当に食べ物にありつけない人たちが沢山います。その食べれない気持ちをたった10時間という短い時間ですが、理解した僕から言わせれば、残すというのはその人たちにとっては失礼にもほどがあると思います。
この気持ちはまた別な「クルバンバイラム」というもう一つの行事で更に大きくなりますが、それはまた今度書こうと思います。
それでは今回はこの辺で・・・ホシュチャカルン!
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