孫武が暮らした世界は紀元前、今から2000年以上も前の時代。当時は、「戦(いくさ)」においての優勝劣敗は「時の運」であり、兵士の数が多い方が勝つと信じられていた。そんな時代背景がある中で、全体的な方針を示した「戦略」は当時の人に取っては衝撃だったかもしれない。孫武に示された兵法書は編集が重ねられ、曹操により整理されている。孫武による全体的なストラテジーを基にして、個別の「戦術」が展開されている。情報収集の結果、戦わずして勝つことができるのであれば、勝利するための戦術を合理的な判断のもとに選択をする。極めて無駄のない理論である。
しかし、無駄のない「上策」が果たして今後も上策であり続けるという保障は何処にも無いだろう。人は時として、誰も想像しないような人物が、想像できない偉業を成し遂げることがあるという事実を、現代に生きる私たちは幾度となく目撃しているはずだ。下策から成功を収めたのなら、上策で成功を収めるより数段優れた偉業である事実を軽視しているとさえ感じる。
2000年に出版、ベストセラー本として今では多くの企業研修用のテキストにアレンジしている「チーズはどこへ消えた?」の小人の言葉に現代を賢く生きるヒントがある。そのキーワードは「変化」。変化は必然であり、予知すること、探知することが個人の意識で可能で対応できる。そこには進んで変わることができた者にしか見えない風景が広がっている。現代に生きる私たちがかつての賢人が系統立てた兵法書から学ぶことはたくさんある一方で、常に変化にさらされている社会において、上策・下策だけの二者択一の判断基準だけでは、物事の本質を見失いかねないと、私ふまんだらけは考えています。
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