とおの です。
今回紹介するのは、児童書ながらに本格ミステリの、夢水清志郎事件ノートシリーズ第1巻。
「そして五人がいなくなる」 です!
↑講談社文庫版で失礼します。新装の青い鳥文庫版を手に入れたら、画像入れかえるつもりです。
わたしの、はやみねさんとの出会いはこの本でした。
これを読んで 「こんなに面白い本があるのか」 とショックを受け、以降はやみねさんを追ってまいりました。(こう言うと強烈なはやみねオタクみたいですが、そこまでじゃないです。読んでない作品、まだあります)
本当に、はやみねさんの本は、 誰でも一度は、読んでみてほしいです。
読みはじめたらきっと、心をとらえられ、離れられなくなります。
基本情報
タイトル:そして五人がいなくなる ——名探偵夢水清志郎事件ノート——
作:はやみねかおる
絵:村田四郎
発行日:1994年2月9日
出版社:講談社
あらすじ
夢水清志郎は名探偵。表札にも名刺にも、ちゃんとそう書いてある。だけど、ものわすれの名人で、自分がごはんを食べたかどうかさえわすれちゃう。おまけに、ものぐさでマイペース。こんな名(迷)探偵が、つぎつぎに子どもを消してしまう怪人『伯爵』事件に挑戦すれば、たちまち謎は解決……するわけはない。笑いがいっぱいの謎解きミステリー。
(裏表紙あらすじより引用)
コメント
もしあなたがこれを読んでいないのだとしたら、きっと理由は、イラストではないかと思います。
なぜかというと、わたし自身が最初、 イラストの先入観 で手が出なかったからです。
図書館で借りた「黒魔女」で青い鳥文庫にハマったわたしは、小学校の図書室でも青い鳥文庫を探していました。
でも、ジャンルB〜D=ロンセラや名作がチラホラあるだけで、ジャンルA=オリジナルは、ほとんどないんです。
そこで、かろうじてあったのが、「夢水」の1〜3巻でした。
しかし、即、借りるには至りませんでした。
なぜなら、「黒魔女」や「若おかみ」と比べると、 絵のテイストが古い ……(実際、発行年も、わたしの生まれる前です)。根拠はまるでないけれど、 古い→面白くなさそう 、となってしまったんですね。
しかし、ロンセラや名作の方が「もっと古い→もっと面白くなさそう」だったので、ないよりはマシ、という気持ちで、手に取ってページをめくってみたんです。
そうしたら、 なんということでしょう 。
ぐんぐん引きこまれて、あっという間に、はやみねワールドに入りこんでいました。
言っておくと、それまで、いや、今も、わたしは ミステリ自体に興味がありません 。
好きなジャンルをきかれたら、答えはファンタジー一択です。
犯人は考えないで読むし、トリックを理解しないまま読みすすめることも、よくあります。
しかし!
読めば読むほど、 はやみねさんの書く文章が、お話が、キャラクターが、好きになりました 。
図書室で3巻まで読んだら、町の図書館で続きを借りました。
たぶん、無事、出版に追いついたんですね。第1部(事件ノートシリーズ)の最終巻「卒業」は、第1刷が手元にあります。自分で買ったか、買ってもらったのかは、覚えていないのですが、それを買いに、祖母と一緒に本屋へ行ったことを覚えています。
自信を持って言いましょう、
この作品は、ミステリ好きじゃなくても、楽しめます。
力説ポイント
まずは、 素晴らしき一人称 です。
一文一文が、輝いています。
驚くくらい、読みやすいんです。表現が洗練されていて、スッと頭に入ってきて。
かと言って、必要最低限の淡泊な文章、というわけでは決してなく、ふざけもするし、ユーモアも効いています。
主人公である 亜衣ちゃんのメタ発言 も好きです。
最初に自己紹介を始めたときは、何事かと思いました。最近のお話は、長々と自分語りはしないのが主流ですから……。
対して、はやみね作品はたいてい、どんな形であれ自己紹介が入ります。
これまた、面白く書いてあるんですよね。
「面白く」というのは、funnyではなくinteresting。自己紹介に限らず、 「それで、それで?」と続きが知りたくなるような、面白さで、あふれています。
また、巻を進めるごとに、物語と現実の時間がズレてくるのですが、亜衣ちゃんはそれも指摘してくれます。はやみねさんが わたしたちを見てくれているような気がして 、ぐうーっと嬉しくなります。
それに、なんと言っても「教授」こと 夢水清志郎 。
そうとう強烈な魅力を持ったキャラクターです。
いつも同じ背広で、洋館で本の虫をしながらソファでゴロゴロ。記憶力も常識もなく、岩崎三姉妹に世話をしてもらわないと生きていけなそうな、年齢不詳の元教授(あ、うまく言えない)。
それでも、 みんなを幸せにする名探偵で、わたしたちを 包みこんでくれるような温かさがあるのです。
何度でも教授に会いたくなります。
そして最後に、 村田四郎さんのイラスト ——先ほどネックだと書きましたが、愛着がわいてしえば意見は180度転換。村田さんの絵なくしては、「夢水」の世界ではないような気さえしてきます。
面白いところはコミカルに、恐いところはおどろおどろしく、青春なところは輝かせて、あのタッチで。
第2部(事件簿シリーズ)は「復活!! 虹北学園文芸部」のイラストも描かれた佐藤友生さんで、わたしとしてはテンションアップ要素、これまたかわいい挿絵でございますが、やはり、「夢水」キャラのルーツは村田さんにあると思っています。
今回の木口
楽天さんはこちら↓
それではまた!
とおの でした。
【このカテゴリーの最新記事】