三億円事件は、昭和43年12月に東京都府中市で起きた現金輸送車強奪事件で、白バイ隊員を装った犯人が現金を車両ごと奪い取って逃走。結局、犯人の逮捕には至らず、昭和50年に公訴時効が成立しました。
特捜最前線が事件をテーマに取り上げたのは時効成立の3年後でした。ドラマでは事件そのものを追うのではなく、事件を捜査してきた老刑事とその娘にスポットを当てているのが特徴です。
娘は三億円事件の少し前に見知らぬ 「おじさん」に誘拐されます。しかし娘は、血のつながらない父親(老刑事)より、おじさんに父性を抱くようになるのです。事件の翌日、おじさんは自首し、娘は父親の元に戻ります。
老刑事は時効後も事件の捜査に執念を燃やします。しかし、娘とその恋人がでっち上げた偽の証拠に振り回され、絶望して自殺してしまうのです。一方の娘も、出所後のおじさんとの再会を果たすことができません。
ドラマでは、おじさんが三億円事件の犯人だと匂わすような描写がされていますが、結局真実は語られないまま、おじさんは病気で急死してしまったのです。何ともやりきれないようなストーリーになっています。
神代課長(二谷英明)は、車を乗り捨てた後の足取りがつかめないことから、犯人が周囲に土地勘のある人物であると推測しています。この推測を、娘の誘拐事件とリンクさせた展開は 見事の一言に尽きます。
父親とおじさんの二つの父性に揺れる娘と橘刑事(本郷功次郎)とのやり取り、定年を控えた老刑事の執念に思い巡らす船村刑事(大滝秀治)など人間ドラマとしても見どころ満載です。
なお、同じ刑事ドラマの「太陽にほえろ」でも、三億円事件をテーマにしたドラマが作られています。こちらは事件そのものに直結した話になっていたと思います(記憶が定かではありませんが・・・)
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