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2022年08月18日
note連載前コラム(4)日曜雑感「おやっさんに重ね合わせて」
このコラムで度々テーマに掲げている昭和の刑事ドラマ「特捜最前線」。重厚な題材を扱い、派手さはないものの、社会派あるいは人情派とも言われた刑事ドラマの傑作です。
「哀・弾丸・愛」
刑事の一人に「おやっさん」と呼ばれるベテランがいます。名優・大滝秀治さんが演じていたので、ご存知の方も多いでしょう。おやっさん主役の回に「哀・弾丸・愛」というのがあり、特捜の中でも名作と言われています。
あらすじには触れませんが、この回でおやっさんは、上層部から栄転の名の元に第一線から外すことを示唆され、その葛藤が影響してヘマをやらかしてしまいます。おやっさんは自身の老いに直面してしまうのです。
おやっさんは、同世代の事件関係者男性と親しくなります。男性も元刑事で、第一線を外されそうになった時、スッパリと警察を辞めたのです。男性との付き合いの中で、おやっさんも退職に心が傾いていきました。
しかし、上司の神代課長(二谷英明さん)は「仕事に誇りを持った人間が、そう簡単に辞められるものなのか・・・私にはできない。未練たらしい男だからね」と語り、おやっさんに翻意を促すのです。
事件はおやっさんの活躍で解決し、おやっさんは第一線に残れることになりました。少しネタバレになりますが、男性の方は辞めた後の人生がうまくいかなかった、という設定になっていたのです。
決断するということ
ここで私の話になりますが、ちょうど1年前の今頃、長く勤めていた会社に退職願を提出しました。ようやく引退の決意を明々白々にでき、スッキリとした気分になったことを思い出します。
その2年ほど前、報道畑一筋だった私は営業職へと異動させられました。おやっさんや男性のように「第一線から外される」という立場になったわけです。この時点で辞めていれば、男性と同じになります。
しかし私には、おやっさんのような気持ちの揺らぎはありませんでした。すでに、自分が引退するタイムリミットを定年退職までと決めており、異動先の営業職を「最後のおつとめ」と割り切れたからです。
ドラマでは男性が不遇の人生だったことになっていますが、刑事を辞める決断をしたのは男性自身でした。もちろん、おやっさんが辞めなかったのも、おやっさん自身の決断だったわけです。
人生何が起こるか分かりません。自分が決断した結果に対して不平不満を言っても仕方ないのです。だから決断するまで迷い、悩み、苦しむのです。「哀・弾丸・愛」を見て、そんなことをふと思いました。
それにしても、特捜最前線は名作揃いですね(笑)
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