第4回 簿記上の取引
1.簿記上の取引ついて
「取引」という言葉は日常でも使用しますが、簿記で使用する「取引」と、この日常で使用されている「取引」の意味は多少異なることがあります。
簿記で使用する「取引」は、企業のさまざまな営業活動の結果、資産・負債・資本に増減をもたらすことを言います。つまり、経済的取引に限定されます。例えば、土地や建物を借りたり、貸したりする契約は、日常用語では取引に当たりますが、簿記上では、取引とは呼ばないのです。それは、土地や建物を借りたり、貸したりする契約だけでは、資産や負債、資本に変動がないからです。
問題をやって理解を深めてください。
2.仕訳とは
簿記の流れにおいて、「簿記上の取引」を帳簿記録する為に「仕訳」をすることになります。
簿記の流れより、まず、簿記上の取引を「仕訳」していかなければならないのですが、仕訳とは、何かということになります。
簡単に言うと「簿記上の取引」を借方(かりかた)=帳簿の左側と貸方(かしかた)=帳簿の右側に分けることですが、これには当然記帳ルールがありこれを「仕訳の法則」言います。
<仕訳の法則>
上記図表より
?@資産の増加は、借方、?A資産の減少は、貸方?B負債の増加は、貸方、?C負債減少は、借方、?D資本の増加は、貸方、?E資本減少は、借方?F費用の発生は、借方?G収益の発生は、貸方に記帳するというルールになっています。ルールですので覚えるしかありません。
ちなみに、上記?@〜?Gまでの要素(取引要素)を「取引の8要素」と呼び、簿記上の取引は、分解すると必ずこの8要素のどれかに当てはまります。
分解といった理由は、一取引は、必ず2つ以上の要素(内容)に分かれるからです。これが、今学習している「複式簿記」の特徴です。
例)給料100円を現金で支払ったという取引は、これを分解すると1つは給料という費用が100円発生したという側面です。
もう1つは現金という資産が100円減少したという側面です。
もう一度言いますが、簿記上の「取引」を分解すると、8要素に分類できます。そして、簿記上の取引は、この借方要素と貸方要素の組み合わせになります。
必ずです。その意味でも仕訳の法則は、誰が考えたのか知りませんが完璧な法則といえます。
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<参考までに>
費用・収益は発生のみで消滅はないという考え方がありますので、取引要素は、資産・負債・資本の増加と減少、費用・収益の発生という8要素に分類されます。ただし、部分的取り消し(金額の誤りの訂正等)はあるので費用の部分的取り消しは、貸方そして、収益の部分的取り消しは、借方に記入されることになります。
それでは、具体例を使って仕訳をしてみましょう。
問題を解くその前に「仕訳の法則」を3分で完璧に覚えてください。
そして、「勘定科目表」を用意して覚えなおしてください。
問題1 銀行から現金100,000円を借り入れた。
1.2つ以上の取引に分解すると
?@現金という資産が10万円増加?A借入金という負債が10万円増加に分解
2.仕訳の法則に当てはめて借方と貸方に仕訳
(借方) 現 金 100,000 (貸方) 借入金 100,000
となります。
*残りの問題も同じように解いてください。