1.はじめに
今回は、いろいろな角度からリオデジャネイロ市について、まとめてみたいと思います。
2.リオデジャネイロ市の概要
リオデジャネイロ市はカーニバルで有名な都市です。世界的に有名な海岸を有し世界3大美港の一つに数えられる美しい都市です。都市周辺の美しい文化的遺産は、「リオデジャネイロ:山と海との間のカリオカの景観群」として2012年に世界遺産リストに登録されています。
都市のGDPは2010億ドルであり世界第30位、南米ではサンパウロ、ブエノスアイレスに次ぎ第3位です。
なお、1960年にブラジリアに遷都するまではブラジルの首都だったようです。以下に人口や面積等を示します。
・人口:6,323,037人(2010年現在、ブラジルではサンパウロ市に次いで2位)
・面積:1,260 km2(日本のいわき市とほぼ同じ)
・行政区:7行政区、33の小地域、160の街区から構成
・主な地域:セントロ、南部地域、北部地域、バラ・ダ・チジューカ地域、西部地域
・公共交通機関:バスと地下鉄2路線、郊外電車8路線、路面電車から構成
3.リオデジャネイロ市の治安
今回の投稿の本題です。在リオデジャネイロ日本国総領事館の「安全の手引き」に詳しい情報が掲載されていました。それをもとに要約して記載します。ちなみに「安全の手引き」をみましたが、「 リオには来るな! 」ぐらいの勢いです。
(1)治安の概要
リオデジャネイロ市は、「 世界有数の犯罪都市 」です。以下、治安の悪さを箇条書きで示します。
・リオ市大都市圏には1000を超えるファヴェーラ(スラム街)がある
・「 重火器で武装した麻薬密売組織間の抗争 」や「」がしばしば発生
・流れ弾によって多くの市民が死傷 ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
・一般市街地でも路上強盗、すり、引ったくり等の街頭犯罪が多発
・観光地や幹線道路等では集団強盗が発生
(2)治安情勢
?@殺人
2014年中にリオ州で4,942(前年比+197)件の殺人事件が発生しており、そのうち約63%に当たる3,103(前年比+25)件で銃器が使用されています。また、殺人未遂は6,366(前年比+1,418)件発生しており、いずれも前年を上回っています。傷害事件についても増加の一途であり、暴力事件の多発傾向は継続しています。
?A強盗
強盗事件は2008年以降減少傾向にありましたが、再び増加に転じており、2014年中に、リオ市内で79,262(前年比+16,065)件発生しています。人口10万人当たりの発生率は12,28.9件で、この数字は日本と比べて約510倍であり、1年間に市民のほぼ100人に一人が強盗の被害に遭っている計算になります。
内訳は、路上強盗、自動車強盗、携帯電話強盗、商業施設強盗、交通機関内強盗、の順です。来客で賑わう白昼のショッピングセンター内で強盗事件に起因する銃撃戦が発生することもしばしばあり、いつどこで事件が起きるか予測できません。
邦人の被害は、セントロ地区のほか、フラメンゴ地区、コパカバーナ地区、イパネマ海岸地区の海岸周辺での路上強盗被害が多く、特に週末・夜間のセントロ地区で旅行者の被害が多発しています。また、被害品では、現金のほかスマートフォン(特に高額で取引されるiPhoneシリーズ)が目立ちます。
?B窃盗
窃盗は2001年以降、一貫して増加しています。置き引き、スリ、ひったくりが目立ち、場所別では、空港、飲食店、コパカバーナ地区、イパネマ地区の海岸、路上、バス車内が大半を占めています。
?Cカードスキミング
カードスキミングとは、クレジットカードやキャッシュカードを使用した際にカードの磁気情報や暗証番号を特殊な機械に取込み、偽造カードを作成して使用する犯罪です。当地では、路上や商業施設に設置されたATMにスキマーと呼ばれる機器を取り付けてデータを盗み取る手口が主流です。大規模なイベントの前後の時期には特に被害が多発するので、信頼できる場所のみでATM を使用するようにしてください。→信頼できる場所ってどこ?
身に覚えのないカードの利用が過去にさかのぼって長期にわたって行われていたケースの報告が増加しています。この場合、少額の利用が多く、被害者は被害に遭っていることにすら気づかない場合があります。ご自身のカードの使用状況と使用明細とをこまめにチェックするようにしましょう。
?Dリオ市と日本の犯罪発生状況比較(犯罪件数はリオ州公安局HP、警察庁HPによる)
日本は治安が良すぎるので余り比較にはなりませんが、リオ市と比較したものがありましたので、その数字を掲載します。強盗が突出して多いです。
人口10万人当たりの発生率比較(2014年)
・殺人:日本23.1倍
・ 強盗:510.7倍
・窃盗:2.30倍
(3)基本的防犯対策
リオ市を訪れる際の基本的防犯対策です。
・危険な場所に行かない
・危険な行動をしない
・犯罪の傾向に関する情報を収集して危険を回避する
・不慣れな場所に不用意に行かない
・常に警戒心を持つ
・警戒心を態度で示す
・華美な服装や装飾品の着用は控える
・カメラやスマートフォンを公衆の場で不用意に使用しない
・旅行者と思われるような行動をしない
・事故や災害に巻き込まれた場合や犯罪者に襲われた場合を想定して対処を考えておく
・現金やカードは分散して保管
・財産に関する情報を人に知らせない
・行動のパターン化を避ける
(4)場所別の主な被害形態と対策
リオ市の場所別の主な被害形態と対策です。
?@空港
リオデジャネイロ国際空港では置き引きが多発しています。また、声を掛けたり飲み物やケチャップ等を掛けたりして気を引く役とこっそりと物を盗む役を分担する事例も多く見られます。荷物からは決して目を離さないでください。
また、空港到着者から標的を選定して空港から市内への移動途中を狙う 強盗団 も存在します。この種の被害を避けるために、到着時に華美な服装は控えるようにしてください。
空港のATMではカードスキミングが多発しています。特にブラジル国外で発行したカードが標的となっているので、空港のATM使用は避けてください。当面のタクシー代等が必要な場合は、ドル又はユーロの現金を持参して両替してください。
?Aホテル
フロントやロビーでバッグを盗まれる事例もあり、ホテル内といえども安心はできません。空港と同様、荷物から目を離さないことが重要です。
一流ホテルのレストランでも置き引きは発生しています 。席を離れるときは所持品を置いたままにしないでください。外出の際の持ち物は必要最小限とし、貴重品はホテル備付けの金庫等に保管してください。
?B路上
犯罪の7割以上は路上で発生しています。当地で多発している路上強盗やひったくり、すりを回避するために以下を参考にしてください。
・歩行しながら携帯電話で話したりビデオや写真を撮ったりしない。
・周囲に気を配り、時々振り返ってみるなど、警戒心を持っていることを示す。
・目立つ服装や装飾品の着用を避ける。
・人混みではバッグは背負わない。
・ズボンの後ろポケットに財布等を入れない。
・現金やカードはひとまとめにせず分散して携帯。
?C海岸
コパカバーナ、イパネマ等の海岸は観光客や市民にとって憩いの場となっていますが、週末には砂浜を中心にアハスタウン(地引き網)と呼ばれる集団強盗が発生することがあります。被害に遭わないよう十分注意して下さい。
?D車の運転
自動車強盗が多発しています。被害を回避するために以下を参考にしてください。
・夜間の運転は控える 。
・夜間は信号待ちで先頭にならないように速度を調節するなど注意する。
・窓は大きく開けない。
・車外から見えるところに貴重品を置かない。
・車に乗る前に付近に不審者がいないか確認する。
・鍵は車に乗り込む直前まで手に取らない。
・車に乗ったらすぐに発車。
・異音やパンクに気づいてもすぐに止まらない。
・追突されても慌てて車を降りない。
・生卵をガラスにぶつけられたらワイパーは使わない。
※信号待ちや渋滞で停車中に強盗に狙われるケースが多く報告されています。夜間は信号でもなるべく止まらなくて済むように速度を調節するようにしましょう。
また、時には信号が赤でも安全を確認して通過することも必要です。(リオでは夜間10時以降朝6時までは赤信号でも停止義務を免除される信号が多く設置されています。また、犯罪の発生状況に応じて、警察が(車両が停車しないよう)特定の信号機を点滅状態にする場合もあります。)
※車強盗で一番危ないのは乗降時です。犯罪者は運転手を車から降りさせるためにいろいろな仕掛けをしてきます。車を離れる時はキーを抜く習慣をつけましょう。
?D公共交通機関
?@)タクシー
リオではタクシーの台数が多いだけでなく、他の公共交通機関に比べて犯罪遭遇率も低く、利便性も高いですが、中には悪質な運転手がいるので注意が必要です。
・ラジオタクシーか、タクシー乗り場に駐留しているタクシーを利用する。
スマートフォンのタクシー検索アプリ(EZ TAXI,TAXI99等)の利用も有効。
・流しのタクシーを利用する際は、車体にグループ名が明記されており、車内に法律で義務づけられている運転手の写真付身分証がきちんと呈示されている車を選ぶ。
・呼び止めたタクシーの運転手や車内の様子を見て不安を感じた場合は、無理に乗らずにやり過ごす。
・運転手がメーターを不正に作動させていたりした場合には、目的地で車から降りてから苦情を申し立てる。走行中に口論しない。
?A)バス
路線バスはバスジャック他の車内犯罪が多発(2015年12月中のリオ市内おいて425件のバス車内における強盗事件が発生)しているほか、運転手及び乗客の質が悪い場合が多く、トラブルが多発しているので、利用はお勧めできません。
やむを得ず利用する場合には以下を参考に十分注意してください。
・セントロ地区発着の便で バスジャック事件が多発 。
・バスの利用は南部地区に限定する。
・予め走行経路を確認する。
・様子がおかしい乗客がいたらすぐに降りる。
・前方の座席を使用する(車内後方での犯罪遭遇率が高い)。
・長距離バスターミナル周辺は治安が劣悪。
・長距離バス内で居眠りしている間に所持品を持ち去られるケースが多い。
・リスクが高い乗り物であることを認識し、防犯対策をした上で利用する。
・窓際に乗車した際、車両停車時に外から犯罪者がジャンプして持ち物を奪い去るケースが多い。
?B)地下鉄・鉄道
・地下鉄は比較的安全だが、油断は厳禁。
・地下鉄でもマラカナン駅以北の利用は危険。
・Supervia鉄道は計8線あるが、沿線にはスラム街が多いほか、駅舎そのものがスラム街直近に位置し、銃器やナイフを使用した強盗事件が発生しているところもあり、利用には十分な注意が必要。
(5)強盗に遭遇した時の対応
・慌てず騒がず冷静に対処する
・相手の顔を直視しない
・急な動作をしない
・相手に無断でポケットや懐や鞄に手を入れない
・他人が襲われているのを見てもむやみに助けに行かない
・被害届の提出
※被害に遭ってしまったら、できるかけ速やかに警察に届けてください。被害届は保険請求だけのために提出するのではありません。被害届を出さなければ警察は事件を把握できず、治安上の問題を認識できません。
被害現場に呼ぶのはPolicia Militar(軍警察)、被害届を受け、事後の捜査をするのはPolicia Civil(文民警察)です。
・領事館への報告
(6)誘拐対策
2016年中にリオ州で90件の誘拐事件が発生していますが、うち89件は sequestro relampago(電撃誘拐)と呼ばれる短時間誘拐 で、身代金目的の誘拐は1件のみと発生は限定的です。
電撃誘拐とは、凶器等で被害者を脅し、身柄を拘束しながらショッピングセンターや銀行ATMでクレジットカードやキャッシュカードで限度額まで買い物をさせたり、キャッシングをさせたりする行為です。 誘拐の被害を防ぐためには、目立つ服装や高級車の使用を控えるとともに、行動のパターン化を避けることが有効です。
万一誘拐されてしまった場合は不用意に抵抗せず、身体の安全を優先してください。
(7)感染症対策
当地では、昨年からデング熱、ジカウイルス感染症等の感染症が流行しています。
?@デング熱感染者数
リオ州内(疑い例 ※2016年1月、リオ州健康局発表)
?@) 2014年中:7,717件
?A) 2015年中:68,659件(前年比約8.9倍)
リオ市内(疑い例 ※2016年1月、リオ市健康局発表)
?@) 2014年中:2,649件
?A) 2015年中:18,059件(前年比約6.8倍)
?Aジカウイルス感染症
2015年11月に妊婦がジカウイルスに感染している可能性があった場合の州政府への報告を州内各病院に義務付けて以降、2016年2月3日までの間に既に3,449件の報告があり、うち159件から実際にジカウイルスが検出されている。
?B対策
デング熱、ジカウイルス感染症ともに、有効なワクチンは存在せず、蚊に刺されないことが唯一の予防策。当館等からの最新の情報を入手するとともに、なるべく肌を露出しない服を着用し、肌が露出した部分や衣服に有効成分の高い昆虫忌避剤(虫除けスプレー等)を2〜3時間おきに塗布するなど、十分な対策が必要です。
4.リオデジャネイロ市の治安に関する参考動画
YouTubeにリオの治安に関する動画が多数投稿されています。
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