・ 1.はじめに
・ 2.富谷市が依頼したコンサルタントの報告結果の概要
・ 3.私が算定した輸送人員の結果
・ 4.既存路線の輸送人員
富谷市が依頼したコンサルタントの報告結果の概要を以下に示します。ちょっと気になったのは、ピーク時利用者数の想定です。1時間当たり片道3200〜5300人と設定していますが、この数字はかなり多いなと思った次第です。次項に私が勝手に算定した結果を示します。また、新交通システム(AGT)が近隣にないので比較対象外というのは乱暴ですね。私なら、地下鉄延伸案を本命とせず、AGT、LRT、BRTのいずれかを本命にしますね。最終的な妥協案は整備費用が安価で、早期に実現可能、宮城交通の協力も得られやすいBRT(連接バス)とするのが良いかと考えます。
・仙台市泉区泉中央−富谷市大清水間で4ルート(約5.3〜6.9キロ)を設定
・(1)地下鉄(2)ミニ地下鉄(3)モノレール(4)東京臨海新交通臨海線「ゆりかもめ」と同じ新交通システム(AGT)(5)ライトレール(次世代型路面電車、LRT)(6)バス高速輸送システム(BRT)−の6分類を比較
・ ピーク時利用者数を1時間当たり片道3,200〜5,300人、富谷市から仙台市中心部到達までの時間を35〜40分と想定。
・輸送力、速度の評価に加え「LRT、BRTは交通量を圧迫しハードルが高い」「LRT、モノレール、AGTは近隣に導入例がなくノウハウが活用できない」などとし地下鉄とミニ地下鉄の優位性を指摘
算定の元となる数値は、仙台市地下鉄の北仙台→北四番丁間のピーク時の輸送人員13,682人/時としました。
この人員ですが、泉中央から北仙台までの区間で全ての乗車人員が乗り続けると仮定し、各駅の乗車人員(人/日)の数値より按分して、泉中央駅のピーク時の乗車人員を算定してみました。算定の結果6,009人/時という結果が出ました。
次に、泉中央駅を利用する人員のうち、富谷方面の人員がどの程度いるか、算定してみました。これは、泉区の小学校区の人口と富谷市の人口をもとに、富谷方面からの乗車人員の割合を算出してみました。下図で薄い青の小学校区が、泉中央駅のみを利用すると想定される小学校区、橙色の地区は富谷方面に新交通システムができた場合に、その路線を利用する地区の人口です。橙の割合は、約49%です。
泉中央駅を利用する6,009人のうち、49%全てが新交通システムを利用した場合の数値は2,964人です。この数値だけでも上記の3,200〜5,300人を下回っています。当然、富谷→泉中央間のみの利用もいますので、その分を足す必要もあります。さらに、鉄路ができると、周辺の道路の交通渋滞は緩和するので、自動車利用の人数はゼロにはなりません。交通計画を考える際に一番悩ましい問題です。鉄路が出来ても、自動車には敵いません。
私の予想ですが、計算上、2,964人が利用する結果となりましたが、実態はもっと少な目の数値になると考えています。
次に、2,964人の乗車人数の元に、富谷→泉中央間の1時間あたりの運行本数を算出してみました。混雑率が100%以上となる本数は、1時間に5本です。5本ということは12分間隔で運行することになります。富沢〜泉中央はピーク時間は16本の列車が運行しています。何も考えず、16本の列車を富谷まで延伸させると、大赤字となります。このため、11本は泉中央で折り返し(または泉パークタウン方面へ延伸)、5本は富谷方面に直通というダイヤを組む必要があります。同一ダイヤは組めないこと、鉄路が仙台市域を越えることから、延伸区間は埼玉高速鉄道や東葉高速鉄道のような別会社とするか、第三セクターが運営するのではないかと考えられます。埼玉高速鉄道や東葉高速鉄道は運賃が恐ろしく高い路線です。
下の表は、ピーク時の平成27年度の既存路線の輸送力、輸送人員を表にしたものです。
富谷市から委託を受けてお仕事を行ったコンサルタントが設定した1時間当たり片道3,200〜5,300人が如何に多いかが解ります。
輸送力でみると、仙台近郊では、東北本線の松島→仙台間、仙石線の陸前原ノ町→仙台間に匹敵する輸送人員です。
また、首都圏の路線と比較すると、多摩都市モノレールや、新交通システムの埼玉新都市交通(新幹線の横を走行している路線)や横浜シーサイド並みの輸送人員です。とてもそのような路線に匹敵するような輸送人員があるとは考えられません。
精々、仙山線や広島電鉄の宮島線程度の輸送人員程度(またはそれ以下)なのかと考えています。
今後の需要予測結果を見守りたいと考えています。
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