母の「おシャンソン」
人生の半分は病気でしたが、それにもめげず、面白くて楽しい人でありました。
生前、母はお友達に誘われて シャンソンを習っていたことがあります。
元々音楽が好きな母でしたけど、歌を習うだなんて意外でした。
それまでは、せいぜい小さな声で鼻歌くらいでしたから。
それもサビの部分ばかりをエンドレスで・・・。(笑)
ところで母はシャンソンのことを 「おシャンソン」と呼んでいました。
まさに、 おフランスのおシャンソンです。
でもレッスンに通い出しても、家で真面目に練習している姿を見たことはほとんどなかったな〜。
母の場合は、シャンソンは歌うこと自体を楽しむというより、むしろ社交の一つだったのかもしれません。
ある年のこと。
発表会の写真を見せてくれた時のことです。
ステージ上の母はもう キンキラキンに着飾っていました。
「こんな服、どこに売っとったん?」っていうくらい・・・。
でも、母は(私に似ず)とても美人さんだったので、それなりに、なかなかキュートに決まっていました。
「ママ〜。キレイね〜。」と褒めると彼女はすっかりいい気になって
「でしょ〜!」
そしてそのあとで、ニヤッとしながらこう言ったのです。
「それに引き換えあんた、あたしの隣におる○○おばちゃんの衣装、見てごらんよ〜。」
○○おばちゃんとは、母をおシャンソンに誘ってくれた方です。
彼女も母に負けじとこれまたキラッキラ!!!
胸のあたりからフリルが幾重にもついた大胆極まりないドレスをお召しでした。
母は言います。
「こりゃーまるで 人間クリスマスツリーよね〜。笑える笑えるっ!!!」
出た〜〜〜〜っ!!
これぞオバサンの 「ドングリの背比べ的優越感」。
衣装の突飛さに関しては、まさに甲乙つけがたいんですけど〜。
しかも母ったら口が悪い〜〜。
でもそれ以来、私はそのおばちゃんが実家に遊びにいらっしゃるたび、(あ!人間クリスマスツリーがやって来た!)と思ってしまい、笑いをかみ殺すのに必死でした。
そんな母でしたが、とにかく茶目っ気があって人情家。
少々お人好しすぎるところもありましたが、周囲の人たちからとても好かれていました。
なにしろ葬儀の時には参列者が200人も来て下さったのですから。
「お母さんのおかげで本当に楽しかった。こんなに早く居なくなってしまうなんて。
さみしい、さみしい。」
と、皆さん、本当に残念がって泣いてくだっさった。
普通の主婦だったのに・・・恐るべし母の人気です。
さくらんぼの実る頃
作詞:ジャン・バティスト・クレマン
作曲:アントワーヌ・ルナール
歌・訳詞:加藤登紀子
普段は全然練習というものをしていなかった母が、珍しく楽譜を前にして歌っていたのが、この曲でした。
「今度の発表会で歌うんよ。あんた、ちょっとピアノでメロディーを弾いてちょうだい。」
ハイハイ、と軽く応じたものの、私がシャンソンで知っている曲はせいぜい「愛の賛歌」くらいなもので。
今この記事を書くにあたって、初めてちゃんと聴きました。
加藤登紀子さんのカバーですが、しっとりとした味があってステキです。
この曲が作曲されたのはなんと1866年!
日本で言えば、明治維新の二年も前のことですね!
この曲は、サクランボが実る頃のはかない恋と、その後の失恋の悲しみを歌にしたものです。
切ないな〜。
シャンソンですから原詩はもちろんフランス語ですが、日本語訳ではこんな詩です。
さくらんぼ 実る頃
鳥たちは浮かれて歌うよ
誰かに恋して・・・・
続く二番では
さくらんぼの耳飾り
燃える耳に飾る頃
どこかで聞こえる・・・
(訳詞:加藤登紀子)
ところで「さくらんぼの耳飾り」のくだりで思い出したのですが、ワタシにはちょっと情けないエピソードがあるのです。
数年前、フルーツをモチーフにしたアクセサリーがニューヨークのセレブの間で流行していたことをご存知でしょうか?
そのセレブ御用達のブランドをネット通販で買える!!と知った私は、
「べらぼーに高かったら、どんなに魅力的でもすっぱりと諦める!!」
と堅く決意して、チェックしてみました。
その中でひときわラブリーで、私の購買欲をかきたてたのが サクランボモチーフのネックレス 。
なんと一万円ぽっきりでした。
ニューヨークセレブ御用達のアクセサリーが一万円で買えるなんて、こんなに嬉しいことはない!!
躊躇なく購入ボタンをクリック。
ウキウキしながら待つこと、約10日。
しかし手元に届いたソレは、一目見て偽物であることが素人目にも分かりました。
いわゆる「パチモン」です。
ネットに載っていた画像は本家本元から不正に流用していたのでしょう。
「正規代理店」だなんていくらでも名乗れるし。
代金は前払いだったので、悔やんでも後の祭りです。
もっとも、それでもしかるべき法的手段に出ることも可能でしたが、めんどくさくって結局泣き寝入り。
私のようなおっちょこちょいの小市民が、彼ら「パチモン業者」の素敵なカモとなるのですねー。
あ、つい脱線してしまいました。
とにかく私はこのセンチメンタルソングを、
今は亡き母への レクイエム(鎮魂歌)として捧げたいと思います。
(あんた、また騙されてっ!!!って天国から母のため息が聞こえてきそうです・・・。)
新品価格 |
銀座千疋屋:「銀座ゼリー」
夫の知人で毎年、お中元にこのゼリーを送ってきてくださる方がいます。
千疋屋の「おゼリー」だなんて・・・ありがたや、ありがたや、です。
高級ゼリーなんだから大事に頂きましょうってことで、食べ盛りの息子の目につきにくいような場所に隠します。
でもお菓子に関する嗅覚ならば、我が家の飼い犬より断然優れている彼は、毎年難なく見つけ、すぐに食べてしまうのです。
しかも一人で何個も!
東京から帰省してきた今年の夏もそう。
さくらんぼゼリー だけは、かろうじて死守しましたが・・・。
最後までお付き合いくださってありがとうございました!
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