世界遺産 トランシルヴァニア地方の要塞聖堂のある村落群
Villages with Fortified Churches in Transylvania
Villages with Fortified Churches in Transylvania
翌日も菅原さんの案内で、再び世界遺産のひとつ ヴィスクリ要塞教会(別名エヴァンゲリカ教会)へ。
プレジュメール要塞よりも規模は小さめだが、防壁内部に建つ教会及び居住空間は、飾り気のないまるで小学校のような可愛らしい、そして素朴な造りだった。
何かお祭りのようなものが始まるのか、可愛らしい民族衣装を着たおばあちゃんやおじいちゃんたちが集まってきた。お年寄りしかいないのは、村に若者が残っていないからなのか…。
防壁になっている住居エリアには、当時の部屋の様子が再現されていて、どんなふうに生活していたのかを想像する助けとなる。
要塞教会巡りの最中、ルーマニアの牧歌的風景は見飽きることがなかった。途中ヤドリギの並木に出くわす。羊の移動に車を止めたり走り出したくなるような野原に出会ったり、素敵なドライブに感謝。でこぼこ欠陥工事道路も多いが、のどかな風景の中の未舗装の道を行くのもまた楽しい経験だった。
次は世界遺産 「トランシルヴァニア地方の要塞教会群」の目玉的存在、ビエルタンへ。ところが、駐車場に到着してみると、なんとこれまたツイていないことに、一番楽しみにいていた世界遺産 ビエルタンの要塞教会が年にたった一度の休み(ルーマニアなので勿論予告無し)!
世界遺産 シギショアラ歴史地区 Historic Centre of Sighi?oara
そして泣く泣くビエルタンを退散して向かったのは、ルーマニア人に訊くとほとんどの人が勧めるという、中世の街 シギショアラ。
世界遺産でもある 『シギショアラ歴史地区』のシンボルは、昔の市庁舎だったというどこからでも見える 「時計の塔」。時計のすぐ隣りからは毎時音楽に合わせて踊るからくり人形が飛び出す。この時計塔のゲートの下を通った時は、なんだかタイム・ワープでもしてしまいそうでドキドキした。
町全体が丘の上にあるが、更に写真左下の屋根付き階段を登ると山上教会がある。眺めが良く、屋根にこの街独特の目のような窓が連なる建物(少し上の写真)を見下ろせる。
町全体が映画のセットのような、中世の雰囲気を色濃く残すシギショアラ。レストランになっているヴラド・ツェペシュの生家がある広場では、ツーリスト相手に中世の衣装を着た人々がパフォーマンスの最中。衣装を扱うアンティークショップや気になる雑貨屋など可愛いグッズ探しにぴったりの街。時間がなく、珈琲1杯で帰らなければならなかったのが少し残念。
駆け足の世界遺産一日ツアーを終えてブラショフ市内へ戻ったあとは、宿の近くにあった地元で人気のルーマニア料理レストラン『 チェス・ラウ』で少し早めの夕食。 サルマーレ(ルーマニア風ロールキャベツ)が絶品でした〜。
6時前とまだ早い時間にもかかわらず、とても混雑していたのも納得。おひとり様でも店員さんの態度は親切で、入りやすいレストランだった。
その後、たまたまブラショフの旧市街で、日本人指揮者 Koichiro Kannnoさん率いる楽団が世界的バイオリニストGeorgy Vasilenkoさんを招いて開催されたコンサートへ。
なんとたった150円でモーツァルトの夕べを堪能。宿のオーナー菅原さんんがKannoさんのお知り合いなので、手配してくれたのだ。
コンサート会場はこじんまりとした可愛らしい建物(写真下右)。そんなに大きなホールではなかったしステージも小さかったけれど、たまたまその日そこに滞在していたために、ルーマニアでクラシック・コンサートを体験することができた。ラッキー、ミー
ブラショフ旧市街は、発展した現代的な雰囲気の新市街にある鉄道駅からはバスで10分と、かなり離れている。コンサートの後でもまだ明るかったので、余韻を楽しみながら宿まで歩いて戻ることにした。
2日間のプライベートツアー催行などで散財したし、ブカレスト入りからして列車がいきなり払い戻しもないままキャンセルされてタクシー代までかかるという不運に見舞われたり、ビエルタンの要塞教会が見られなかったりとツイてない感の多かったルーマニアだが、それを上回る親切と幸運にも恵まれた旅だったと思う。
楽団のコンサートに招かれたバイオリニスト、ジョージさんと共に楽団のメンバーの車に同乗してブカレストまでタダで戻れたことも、手を回してくれた菅原さんのおかげであり、相当ラッキーなことに違いない。
なのに、せっかくロシア人の世界的バイオリニストと親しくなる機会を持ちながら、恥ずかしがり屋で人見知りな性格と拙い英語力ゆえに、二時間半あまりの車中で寝てしまった自分が情けない…、ふがいなさすぎ…
そして再びドナウ河のキリンさん(ドナウ河畔は再開発の真っ最中のようだった)を見ながら、今度こそ列車で国境を越えた。
★ 『ヨーロッパ後編?Hプロヴディフのハウス・ミュージアム巡り』 へつづく…