同性愛者である原作者(アンドリュー・ソロモン)が語り手であり一登場人物(本作のプロデューサーでもある)。
それぞれの過去、日常にメイキングのようなインタビューを挿入し淡々と「幸せ」を抽出していく。
皆、俳優のように何かを表現しているかのように見える。
撮影されることによって彼らの思いが引き出されているように見えた。
しかし、彼らと世間の距離はまだまだありそうだ。
また本作では家族以外に友人たちの存在の大きさも映し出されている。
彼らには彼らだけの心地良い世界があるのだ。
自閉症の少年はタイピングを習得してから変化していくように見える。詩人のように想いを伝えるように見える。
低身長症の支援団体「リトル・ピープル・オブ・アメリカ」でお互いに分かり合える仲間に出会うシーンも印象的である。
こういった所ももう少し掘り下げて欲しかった。
息子が殺人を犯し、映画の元となった本「FAR FROM THE TREE」を読んだ父親は原作者に手紙を送ったそうだ。
本作に家族みんなで出演もしている。よく、撮影を受け入れたなと思うし、現在の息子は獄中からの声の出演のみであるため、違和感も感じたが、「家族」という大きなテーマとこの本を通して出会った人たちとして彼らの出演は必須だったのかもしれない。
これらをどう見るかは「世間」のそれぞれの考え方次第だろう。
ただ、「普通」やら「幸せ」というワードが少し薄くなってぼやけてくる。
それらが何だかまた分からなくなる。所詮、世間の中でどうなのかというちっぽけな指標があるだけなのだろう。
この映画は親が子供を愛している、という設定があって成立していると思う。
しかし、現実的には子供をうまく愛せない親もいる。
世間と比べられない「幸せ」。あると信じて生きていくしかない。
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