ズルズルムシャムシャガブガブスパスパしている女の子・エマから目が離せない。
ヤンとは誰なのか。登場人物がいつも想っているこのヤンという男の影をずっとこちらも追い続けることになる。
店の金を盗んで海外に高飛びしようとするバンとユリの逃亡に昭和を感じる。
彼らが辿り着いた場所はどこか理想郷のコテージのようだ。
ここではあまり考えつかないような所にカメラポジションがあり、少し不思議なカットバックになる。
雷のせいかと思っていた停電はそうでもなく停電し、画の色は部屋の暖色から外のブルーにパッと切り替わり、ドキッとする。
この時、当然暗いので人物は当然見えづらくなる。
懐中電灯のオンオフで見えたり見えなかったりもあるのだが。
なのでスリル感が増すのであった。
また、人物のバックショットも印象的でこの客観的なショットが緊張感と美しさを生んでいるのだなと思った。
彼らが溜め込んだものは見えそうで見えない。
ザ・テンプターズの「忘れ得ぬ君」じゃないけど、忘れられない記憶からは逃れられない。
廃墟に溜まる水のようにいつまでもヌルヌルとして。
そんな残像のようで狂おしい映画。
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