食用油を製造する際、不飽和脂肪酸を多く含む液状の食用油脂類を固形化したり融点を高めたりするため等の理由で、
加工過程において不飽和脂肪酸に水素添加を施し飽和脂肪酸に変化させるという化学反応によって発生する物質のことを言います。
天然に存在する脂肪酸は、ほぼ全部シス型という立体構造を成していますが、
この水素添加によって生成した飽和脂肪酸は、トランス型という天然にはほとんど無い構造を成します。
これが「トランス脂肪酸」です。
トランス脂肪酸の弊害として、悪玉コレステロールの増加による心臓病・動脈硬化・ガン発症のリスク増加が、多くの科学的調査によって検証されています。
また、ぜんそく、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎や、認知症の悪化にも関わっているという報告も有ります。
既に欧米諸国では食用油や油脂を使った食品に含まれるトランス脂肪酸の含量を一定値以下に規制する法制度が整備されてきており、
最近ではアメリカ食品医薬品局 (FDA) が2013年11月に部分硬化油(水素添加油)を食品目録のGRSA(generally recognized as safe:概して安全と目される)という分類から外す事を提議しています。
これが決定するとトランス脂肪酸を食品に使う側が食品の安全を証明しなければならない事となります。
日本でも平成23(2011)年2月21日に消費者庁が含有量表示のガイドラインを発表しています。
トランス脂肪酸は主にマーガリンや、ファーストフード・コンビニなどの揚げ物で多用されるショートニングに多く含まれていますが、日本国内の食品関連企業も対応を強化しつつあるようです。
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