ビタミンDは、女性にとっても、男性にとっても、妊活には重要な栄養素であることが判明しました!
反復着床障害の検査に、血液のビタミンD濃度を検査する項目がある事に納得です。
ビタミンDは、着床を助けるだけでなく、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の改善にも有効であることが分かりました。
また、女性だけでなく、男性の生殖能力にもビタミンDは関係が深いようです。
今回は男女の妊活におけるビタミンDの有効性や、ビタミンDを多く含む食品、効率的な摂取方法についてご紹介したいと思います!
★目次★
- 着床率を上げるビタミンDの働き
着床率を上げるビタミンDの働き
アメリカのコロンビア大学の研究チームが調査結果を発表しました。
ビタミンD濃度が30ng/ml未満だった女性は、濃度が高い女性よりも妊娠率や出産率が低く、
ビタミンDは子宮内膜の着床環境に関与していることが分かりました。
どのように関与しているかなどの具体的な要素は、まだ調査中のようですが、
ビタミンDは卵巣の反応性や胚の質には関連しなかったことから、
ビタミンDがもつ抗炎症作用や免疫調節作用が関係している可能性が指摘されています。
受精卵は男性の遺伝子が入って形成されている為、女性の体内にとっては「異物」となります。
それを受け入れる環境を整えるためにビタミンDが関係しているのではないか?という説です。
反復着床障害の検査で、血中のビタミンD濃度を検査する項目が実際にあります。
詳しくは下記記事を参照ください。
良好胚を移植しても着床しない原因と対策 (サイト内リンク)
排卵障害を改善するビタミンDの働き
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、若い女性の排卵障害では多くみられる疾患で、卵胞が発育するのに時間がかかってなかなか排卵しない疾患です。
LH(黄体化ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)のホルモンの分泌バランスが崩れている状態を指す内分泌異常と、
インスリンが大量に分泌され過ぎてしまうことで、女性ホルモンよりも男性ホルモンが優位になり、卵子が育ちにくくなる糖代謝異常の2つが原因であると言われています。
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける働きがあります。
カルシウム不足がインスリンの異常分泌に影響していることからPCOSの改善にはビタミンDが有効であるとされています。
LHとFSHの分泌異常は、卵巣機能の低下に影響します。
卵巣からは、下垂体前葉からの刺激ホルモ ンを受けて、卵胞ホルモンと黄体ホルモンが 分泌されています。
女性ホルモンの分泌異常は、卵巣や子宮内膜の生殖サイクルに悪影響を及ぼすだけでなく、
カルシムの吸収も阻害してしまうことが分かっています。
ビタミンD不足は、カルシウム低血症を引き起こすだけでなく、インスリンの異常分泌による糖尿病を発症させるリスクを高めてしまいます。
このような悪循環が、PCOSを引き起こす原因とされています。
ビタミンDはカルシウム不足の解消を手助けすると共に、女性ホルモンを総合的に正常にコントロールするのを助ける働きをもっているようです。
ビタミンDはAMH値を改善させる
AMH値が高いと、「卵巣年齢が若い」「卵子がたくさん残っている」というような説明を良く不妊治療では言われています。
AMHは、前胞状卵胞から分泌されるホルモンであり、その周期に発育する可能性のある卵胞数を予測するものです。
胎児の時に、卵子の素となる原始卵胞がつくられて、出生から成長をするにつれて、加齢によって減少していきます。
原始卵胞のうち、卵子が卵巣内で成熟することで前胞状卵胞となり、そこから選ばれた卵子が成熟卵胞として排卵される仕組みです。
原始卵胞が元々少なかったり、何らかの原因で卵胞が育ちにくい環境下にある場合にはAMH値は低くなる傾向にあります。
対外受精の採卵段階で、AMH値が低値だったり、卵胞の育ちが遅かったり、卵巣刺激剤にうまく反応しない方も多いと聞きます。
ビタミンDを摂取することで、前胞状卵胞が増える=AMH値が高くなるという調査結果があり、
新しい治療方法として注目され始めています。
前項のPCOSでも、ビタミンDが有効であり、卵巣機能を高める働きがあることが実証されていますので、
AMH値の改善にも期待が持てそうです。
ビタミンDと精子運動能力の関係
デンマークの研究グループは、ビタミンDが試験管内の精子内細胞のカルシウム濃度と精子運動能力、先体反応にどのように影響を及ぼすのかを調べました。
ビタミンD濃度が高いほど、精子の前進運動能力が高いことが分かりました。
ビタミンD欠乏(25nM未満)の男性は、ビタミンDが十分(75nM以上)な男性に比べて、精子運動率や前進精子運動率、正常精子形態率が低かったとのことです。
ビタミンDは精子内細胞へのカルシウム吸収を促進し、精子運動率を高め、卵子の中に進入するための先体反応を引き起こすことが確認されました。
<関連ページ>
【男性不妊】精子の運動率を改善させる裏技のような研究結果があった! (サイト内リンク)
紫外線とビタミンDの関係
紫外線を浴びることでも、体内でビタミンDが生成されます。
夏であれば15分、冬であれば30分程度が目安だそうです。
紫外線を浴びつつ、軽い運動もすることで幸福ホルモンであるセロトニンやエンドルフィン生成によって
精神面でもプラス効果があります。
自律神経を整える効果があり、卵巣機能や子宮内環境を整えることにも繋がります。
睡眠や食事は健康の基本です。
気分が落ち込むことで、睡眠がうまく摂れず、食欲も落ちてしまいます。
血流が悪くなれば卵巣機能の低下、着床率の低下といった悪循環に陥ることになりがちです。
不妊治療は、経済的不安や、身体的・精神的ストレスが多いので、
このようなメンタルの管理も重要な要素になりそうです。
<関連ページ>
おすすめ妊活エクササイズ (サイト内リンク)
セロトニンを増やす胸キュン?効果 (サイト内リンク)
ビタミンDを多く含む食品
・干し椎茸(100gあたり)・・・・・・・・17μg
・紅鮭(100gあたり)・・・・・・・・・・33μg
・いわし(100gあたり)・・・・・・・・・50μg
・しらす干し(100gあたり)・・・・・・・61μg
ビタミンD不足の方の1日摂取量の目安は下限5μgで,上限50μg程度です。
ビタミンDは脂溶性ですから、水洗いや、加熱調理で栄養が失われることが少なく、油脂に溶けやすく油脂と一緒に摂ることで吸収率がアップするという特徴があります。これを生かし油で炒める、オイルドレッシングなどで和えて一緒に食べるのが良いでしょう。
干し椎茸は食べる前にもう一度天日干しをすることでビタミンDが増えますし、毎日食べるとなると飽きてしまいやすいので、その対策として干し椎茸の戻し汁も使って味噌汁やスープにするなどの工夫をすると安定した摂取が可能となります。
下準備が面倒な魚は缶詰を利用すると手間が掛かりませんし、骨ごと汁ごと食べられます。そして、鮭などは皮の下に多く含まれているので皮ごと食べると摂取量が多くなります。
卵黄にも少ないですが、ビタミンDが含まれています。
ビタミンDはカルシウムの吸収を高めるので、カルシウムと一緒に食べることをおすすめします!
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