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2012年06月28日
善通寺
今日、6月28日はまゆみさんの娘の命日です。
今月のはじめに香川県の善通寺から1回忌の法要の案内が届きました。
日々娘のために供養してくださっていることに感謝の意を述べてから
生活が困難で香川までの交通費が捻出できないこと、健康面でも香川までの長旅に耐える体力がないこと、
本来ならばたった一人の母親である私がお参りに行くべきところなのに、参列できないことのお詫びの手紙を送りました。
すると下にあるようなものが善通寺から送られて来ました。
ところで、兵庫県で生まれ育ち後に青森に住んで、青森に本籍地のある娘の法要が何故香川県で執り行われているのかと言うと、娘は香川に仕事で転勤しましたが、香川をとても気に入っていました。
「あたしなぁ、生まれ育った明石も、お母さんのふるさとの青森も、ここが自分の居場所だと思った事なかってん。香川に来たらなぁ、あぁ、ここが自分のふるさとや、そう思ってん。」
生前からよくそう言っていて、亡くなる前の日に「あたしが死んだら必ず香川に来るんやで、電車賃だけは工面して必ず来るんやで。それからあたしが死んだらあたしの骨は香川に埋めてな」
そう言い残しました。
「わかった。」とは言ったものの、香川にお墓持ってないし、あったとしても私がお墓参りに行けない。
できることなら分骨して、香川のどこかに納めてもらいたい。
香川に向かう電車の中でそう思いながら、
片道分の電車賃と、家にあったご飯をおにぎりにしたものと、スーツと喪服、それだけを持って旅をしました。
電車の中で香川県警の人が、「葬儀屋さんを呼ばなあかんのですけどね、お母さんお金持ってないんやったら、市役所と連絡取ってもらって手配してもらえんやろか」
そう言われて連絡は取ったものの話が通じない。
また電話が来て、「娘さんの会社の人たちが自分たちで手作りの小さなお葬式をあげてやりたい、そういってますねんけどどないしはります?市役所にたのみますか?会社の方にお願いしますか?」
市役所はあてにならないし、会社の人たちの好意がありがたく、選択の余地はなく会社の人たちにお願いしました。
分骨して香川に骨を埋めてやりたいけれどお墓を持ってないし何とかならないものか
そのことも会社の上司に伝えました。
会社の上司は「風の音」という葬儀屋さんを選んで相談してくれました。
すると「善通寺に行けば永代供養をしていただけますよ」との返事でした。
お通夜には、東京の本社や、福島の上司、兵庫の上司たち、部長や次長の肩書きのつく人たちが社長の香典を預かってたくさん来てくれました。
「風の音」さんの葬儀は形式にとらわれないもの、「娘さんが好きだった音楽はありますか?」
そう聞かれて、ブルーハーツが好きだったこと、母の日には「母賛歌」という曲をプレゼントしてもらったことを話しました。
すると風の音さんは早速それらのCDをレンタルしてもらってきてくれました。
お通夜にはお坊さんを呼ばないで、お経ではなくブルーハーツを流しながら
娘の数々の武勇伝を語り合いながら、私にとっては会社の人たちはみんな初対面の人ばかりでしたが長年苦楽をともにした家族のように親しみを感じながら時間を共に過ごしました。
告別式では「母賛歌」を流しながら執り行われました。
さて分骨したお骨を持って善通寺へ行くと、
「弘法大師のご生誕の地」と書かれた看板がありました。
当時弘法大師に愛着を持っていた私は、娘が私をここに呼んだんだと思いました。
「お母さん、ここがお母さんの好きな弘法大師のお寺やで」と。
娘の会社の人たちにも、風の音という葬儀屋さんにも、善通寺にも
本当に感謝の思いは今でも薄れることはありません。
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