安倍晋三首相の辞任に伴う自民党総裁選が党員投票を省略した形で実施される見通しであることについて、疑問の目を向ける動きが同党の地方組織に広がっている。党費を納める党員に本来は認められる「最大の権利」(鳥取県連)といった声や、地方の声の反映を求める意見が上がる。10府県連が党員投票の実施を求める事態になっている。
実施を求めているのは岩手、山形、神奈川、岐阜、三重、滋賀、大阪、兵庫、鳥取、島根の各府県連。神奈川県連が提出した要望書は総裁選で投票できることを「党員唯一とも言うべき利点」と表現した。記者会見した土井隆典幹事長は「党員があってこそ県連が成り立っている。ないがしろにすることはできない」と説明する。滋賀県連の川島隆二幹事長も「党費を納める時に総裁を決める選挙権があると言っている。党員の意思が反映されなかったら、政党として駄目だと思う」と指摘した。
一方、総裁選で地方の声を反映させるために党員投票を求める県連もある。「国会議員は東京など都市部選出の議員が多い。地方の声を反映するためにも党員投票にすべきだ」と岩手県連の岩崎友一幹事長は語る。島根県連の絲原徳康(いとはらとくやす)幹事長も「経済や人口減少問題など厳しい地方の声を反映させられるようにしてほしい」と強調した。
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