イスラム教の国では「犠牲祭(IdulAdha)」の時期に独特の風俗がある。
富豪がイスラム寺院にいけにえの羊(Kurban)を寄付すると庶民がその肉をもらっていく。
インドネシアの電子商取引会社トコペディアはいけにえの羊を寺院に配送するサービスを出した。
富豪が汚れた寺院を訪ねることを敬遠するという点に着眼した。
ジャカルタ市内の衛生と交通環境改善効果までもたらしたこのサービスはヒット商品になった。
斬新なアイデアでショッピング族に食い込んだトコペディアは2009年の設立から6年で取引額1兆ウォンを超えるほど急成長した。
2014年にはソフトバンクなどがインドネシア企業史上最大となる1億ドルをこの会社に投資した。
タイのフィンテック企業オミセは2015年に「オミセゴー」という仮想通貨を発行した。
このICO(仮想通貨公開)には実に2500万ドルの投資金が集まった。
タイ財務省の「キャッシュレス決済政策」と「Unbank the Banked(銀行中心から抜け出そう)」を旗印に掲げたオミセのフィンテック戦略が合致した。
イーサリアム基盤で汎用性と決済便宜性を確保したオミセゴーは現在タイ国内のマクドナルド、バーガーキングやコーヒーショップなどで決済手段として使え、航空券を買ったり送金することもできる。
アイデアと技術力で武装した東南アジアのスタートアップが投資誘致と成果で躍進している。
これに対しIT強国といわれる韓国の企業は東南アジア企業にも大きく遅れていることが明らかになった。
韓国貿易協会が15日に出した「アセアン4カ国TIMSスタートアップ分析と示唆点」と題する報告書にはこうした現実がそのまま盛り込まれた。
TIMSはアセアン主要4カ国であるタイ、インドネシア、マレーシア、シンガポールを意味する。
報告書によると、TIMS4カ国でこの10年間に年平均ベンチャーキャピタル投資増加率は54%に達した。
成長の兆しが見られるスタートアップがそれだけ増加しているという意味だ。
この期間に韓国のベンチャーキャピタル投資増加率は2.2%にとどまった。
TIMSの投資増加率は韓国の25倍に達した。
アセアン各国はスタートアップ市場でそれぞれ長所を持っている。
貿易協会関係者は「タイは安い創業費用、インドネシアはスマートフォン使用人口9000万人という巨大市場、マレーシアは効率的なITインフラと高級人材、シンガポールはグローバルフィンテックとブロックチェーンハブ化が際立っている」と説明した。
企業価値が10億ドルを超えるスタートアップである「ユニコーン企業」の誕生を比較するとこの差が目立つ。
オミセゴーやトコペディアのほかにも東南アジアでウーバーを超えたシンガポールの配車アプリのグラブ、バイクデリバリーで成功したインドネシアのゴジェックなどが最大で2兆ウォン以上の投資を誘致した。
これに対し昨年の韓国国内のスタートアップで1000億ウォン以上の投資金を誘致した企業はなかった。
投資を最も多く誘致した韓国企業は宿泊アプリ会社の「ヤノルジャ」で2回にわたり800億ウォンが投じられた。
ネイバーが投資したウーワブラザーズも総誘致金額は350億ウォンにとどまった。
配車アプリのプーラスは220億ウォンの投資金を集めたが営業時間拡大が議論を呼び事業拡張が難航している。
報告書はIT強国だった韓国が第4次産業革命時代を迎え発展スピードが遅くなっていると指摘する。
韓国企業の基礎技術力は高いが、文化的・地理的な閉鎖性と不必要な規制がスタートアップ生態系の足を引っ張っていると分析する。
マッキンゼー韓国事務所のキム・スホ氏は「この1年間の累積投資額基準で世界上位100社が韓国に進出する場合、規制に引っかかり43社だけが事業をできる」と分析した。
報告書はスタートアップ生態系の活性化に向けた政策対案として、▽ブロックチェーン産業化▽グローバル化と開かれた政策(Openness)▽規制緩和▽投資誘致強化——を提案した。
具体的にはブロックチェーン産業振興基本法を制定することと、創業投資会社の海外投資要件緩和、規制政策実名制、新成長スタートアップに対する差等議決権制度導入などを考慮する必要があると強調した。
貿易協会のアン・グンベ貿易政策支援本部長は、「第4次産業革命を単純に新技術開発や生産性向上からアプローチすればベンチャー生態系強化という根本的競争力を育てるのが不十分になりやすい。
ベンチャー政策と再投資文化などをグローバル水準に変えていくことが先行しなければならない」と話した。
引用元:Forbes JAPA https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180515-00000012-cnippou-kr