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2018年05月28日

ビットコイン以外の仮想通貨では、どうやって報酬をもらっているの?

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実物通貨と仮想通貨、日常と非日常、ヒトとAIの境界線がどんどんなくなりつつある今、私たちはどうやって生きていけばいいのか?
構想・執筆に2年。「愛」がテーマという注目のエンターテイメント小説『マルチナ、永遠のAI。』が話題を呼んでいる。
ビットコイン、ブロックチェーン、ディープラーニング……正確な技術論と、その道の世界的権威の見解をもとに緻密に描いた作品で、SFではない、小説風の解説書という。
『エフエムふくやま』でも、「ページをめくる手が止まらなかった」と紹介された大村氏の特別寄稿をお送りする。


● 仮想通貨「報酬」を 獲得する3つの方法


前回、第25回連載では、ビットコインは「総当たり方式」「早い者勝ち」の「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)である」という話をしました。

そして、この方式ではマイナー(採掘者)は、「我先に」とより多くのコンピュータでより多くの計算をしようとするために、莫大な電気が消費され、環境保護の観点から問題視されている向きもあるということにも触れました。

しかし、仮想通貨は日々、新しいものが生まれては不要なものが消えているので、もはや正確な数など誰にもわかりませんが、1000種類以上あるのは確実です。

そして、ビットコイン以外の仮想通貨では、PoW以外の方式で報酬が得られるものもあります。

 今回は、その中でも主なものを3つ紹介しましょう。

 1 プルーフ・オブ・ステーク(PoS)

プルーフ・オブ・ステーク、「PoS(Proof of Stake)」は、簡単に言ってしまえば、その通貨の保有量に応じて報酬がもらえる方法です。

PoWのようにコンピュータをフル稼働して皆が同じ土俵で競争するわけではありませんので、大量の電気を消費するというPoWのデメリットは解消されます。
一方で、通貨を保有すればするほど有利になるために、投資家がその通貨を手放さずに流動性が乏しくなるというデメリットがあります。

現在、ビットコインと並んで二大巨頭と言われるイーサリアムは、2018年中にPoWからPoSに移行することを表明しています。

 2 プルーフ・オブ・インポータンス(PoI)

プルーフ・オブ・インポータンス、「PoI(Proof of Importance)」は、PoSのデメリットで指摘した「流動性が乏しくなる」という欠点を補うために考案された方法です。

「Importance=重要性」というのは、PoSのようなその通貨の保有量だけでなく、取引量や取引回数なども加味して報酬を与えることで、通貨の流動性を高めようというものです。

PoIを採用している代表的な仮想通貨がネム(単位は「ZEM」)ですが、ネムの場合にはマイニングとは呼ばずに「ハーベスティング(収穫)」と呼びます。



● リップルのみが採用しているPoC方式


 3 プルーフ・オブ・コンセンサス(PoC)

 最後に、リップルで採用されているプルーフ・オブ・コンセンサス、「PoC(Proof of Consensus)」を紹介します。

 これは、発行主体が認めた機関だけが取引サーバを立てることができ、かつ、合意も彼らのみで行われるという方法です。

 この方式は、「皆で仮想通貨を生み出そう」という、特にビットコインのPoWの基本理念とは到底相いれないもので、「PoC方式のリップルは仮想通貨ではない」とまで言う人もいます。

 実際に、PoCでは権限が与えられたサーバがダウンしてしまったらおしまいなわけですが、リップルの場合には2018年3月現在、約50の機関に権限を与えており、発行主体のリップルが仮に倒産しても、仮想通貨としてのリップル(単位は「XRP」)の流動性は維持されるようになっています。

 PoW、PoS、PoIの場合には発行主体がありませんので、時に開発者グループやマイナーたちの意向に左右されることがあります。

 そして、意見が食い違い、開発者グループの一部やマイナーが、「もう志を同じくできない」となったときには、その通貨は分岐して(これを「フォーク」と呼びます)、新しい仮想通貨が生まれることになります。

 実際に、ビットコインは2017年8月に分岐して、「ビットコインキャッシュ」という新たな仮想通貨が生まれました。その後も、「ビットコインゴールド」が生まれ、このあたりまでは知っておいたほうがいいと思います。
 しかし、その後の「ビットコインダイヤモンド」のような、「ビットコイン〜」という名称の通貨は10種類以上ありますが、私はまったく意識していません。

 この「フォーク」が仮想通貨の最大の懸念であり、絶対にフォークしないリップルしか信用しない、という人もいますが、主要通貨に限れば、現時点でフォークによって元の通貨が消滅してしまったという例はありませんので、この点をもってPoCが一番優れているとは評価できないと私は思っています。

 ただし、リップルは銀行送金の手段として大いに期待され、ある意味、現在一番成功している仮想通貨ともいえますので、発行主体が有能であれば、PoCという方法は当然一つの選択肢になりえるでしょう。




● IoT時代に AIと仮想通貨は両輪の技術


 さて、仮想通貨というと現在は投機の対象として取り沙汰され、「怪しいモノ」というイメージがついて回りますが、これはれっきとしたテクノロジーであり、パラダイムシフトすら起こしかねないイノベーションだと私は個人的に評価しています。

 そして、すべてのものがインターネットにつながるIoTの時代が到来したら、そのときの決済手段は仮想通貨になると思われます。

 たとえるなら、AIを搭載した冷蔵庫が自分で牛乳を注文し、ドローンがそれを運んできて、受け取り確認をした瞬間に仮想通貨が自動的にウォレットから引き落とされるというイメージです。
 すなわち、IoTを実現するカギは仮想通貨とAI技術の両輪です。

 このAIは、「ディープラーニング」と呼ばれる自力学習をする「子どものAI」と、人が一から教えて丸暗記させる「大人のAI」に分かれます。
 同じAIといえども、両者でどれほどの違いが出るのかは、第1回連載の中で「子どものAI」であるGoogle翻訳と、「大人のAI」である別の翻訳サービス(X翻訳)に同じ英文を日本語に翻訳させて、まったく異なる結果になるケースを紹介していますので、そちらを併せてお読みいただけたら幸いです。




大村あつし
IT書籍から小説まで幅広く手がける作家・ライター
エクセルのマクロ言語の解説書の売上部数は150万部を超えている。1997年に、その後国内最大規模となるマイクロソフト・オフィス製品のポータルサイト「moug」を一人で立ち上げる。2003年にはIT系資格試験の「VBAエキスパート」を中心メンバーとして創設。2007年に処女小説『エブリ リトル シング』が17万部のベストセラーとなり、中華圏や韓国での翻訳出版や2回の舞台化(2008年井上和香、2009年内山理名主演)。『エブリ リトル シング』は、第1話の「クワガタと少年」が多くの私立中学の入学試験に出題され、全国の予備校で話題となり、YouTubeで再生回数が18.5万回の人気動画に。第2弾小説の『無限ループ』も5万部に。2006年に、TOKYO MX(東京メトロポリタンテレビジョン)やテレビ神奈川など全国13の独立放送局で、AIとIoTをテーマとした90分の特別番組「IT その扉の向こうに」の司会に抜擢されたことでAIやIoTに傾倒する。著書に、ベストセラーとなった『かんたんプログラミングExcel VBA』シリーズ(全16冊)、『Excel VBA本格入門——日常業務の自動化からアプリケーション開発まで』『人生は数式で考えるとうまくいく』『仕事がうまくいく0.7の法則』など多数。静岡県富士市在住。






引用元:ダイヤモンド・オンライン
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180527-00166257-diamond-bus_all




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