目を見れば分かる?早期パーキンソン病
網膜の薄さで発症を予測
2018年08月25日 06:00
ドパミンは運動の制御に必要な神経伝達物質であり、
パーキンソン病(PD)患者では、この神経伝達物質を放出する脳細胞であるドパミン神経細胞が徐々に失われていくことが知られている。
韓国・Seoul National University Boramae Medical CenterのJee-Young Lee氏らは、網膜の菲薄化がドパミン神経細胞の減少と関連しているとNeurology(2018年8月15日オンライン版)に報告した。
目は早期PDを映す脳の窓
今回の研究の意義について、Lee氏は「網膜の菲薄化がPD進行の予測因子であるドパミン神経細胞の減少と関連することが初めて明らかになった。
また、網膜の薄さがPDの重症度と関連することも分かった。
今後研究が進めば、眼の画像検査を実施することで、運動障害を来す前の早期にPDを診断できるようになるかもしれない」と説明している。
Lee氏らは、平均2年以内にPDと診断された未治療の患者49例(平均年齢69歳)と年齢をマッチさせた対照54例を比較した。
参加者に対し、徹底した眼科的検査に加え、黄斑の光干渉断層撮影(OCT)を実施し、網膜の各層を高解像度で画像化した。
また、PD患者のうち28例に対しては、ドパミントランスポーターのPET画像検査も実施し、脳内のドパミン神経細胞密度を測定した。
黒質の神経細胞減少と関連
その結果、PD患者では5層の網膜のうち特に内側の2層が薄いことが明らかになった。
例えばPD群では、ある領域の網膜の最も内側の層で厚みが平均35μmであったのに対し、対照群では37μmであった(P<0.05)。
網膜菲薄化は黒質のドパミン神経細胞の減少と関連しており(P<0.001)、
さらにPDの重症度とも関連していた(P<0.05)。
PDの重症度はHoehn-Yahrの分類で1〜5のスコアで表される。
網膜菲薄化が最大(網膜厚30μm未満)の参加者では、同スコアの平均値が2をわずかに上回ったが、最小(同約47μm)の参加者では約1.5であった。
Lee氏は「今後、より大規模な研究を実施して今回の知見を確認するとともに、
ドパミン神経細胞の減少と網膜菲薄化がなぜ関連するのかを明らかにする必要がある」と指摘。
「これらが確認されれば、網膜の画像検査によりPDの早期治療が始められるだけでなく、
治療効果の正確なモニタリングによりPDの進行を遅らせることができる可能性もある」と期待している。
今回の研究の限界として、測定したのは網膜の限られた領域のみであった点、長期の追跡ではなかった点が挙げられるという。
(谷本真幸)
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2018年09月17日
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