「目覚め方および体内リズムを整えることの重要性の啓発」
睡眠改革で睡眠上手な日本へ
提供元:ケアネット 公開日:2018/09/11
先進国で一番睡眠時間が短い日本
平均睡眠時間の国際比較によると、日本人の平均睡眠時間は7.4時間とOECD諸国の中でも一番短い。
また、日本人の5人に1人は「日中、眠気を感じた」「睡眠時間が足りなかった」「夜間、睡眠途中に目が覚めて困った」など睡眠の問題を抱えている(厚生労働省 平成25年国民健康・栄養調査)。
「良質な睡眠とは『リズム、量、質』が充足された睡眠である。
睡眠のリズムには、すっきりした目覚めが深く関係している。
睡眠関連で約15兆円の経済損失
睡眠には、
疲労回復、
エネルギー保存、
身体の成長、
免疫機能増加など
の役割があるが、
睡眠不足や不眠になると
倦怠感や頭重感、
交通・産業事故の誘因、
仕事・学業の能率や生産性の低下などを来し、
さらには生活習慣病やうつ病の誘因・増悪、
認知症発症の誘因を起こすとされている。
米国の研究では、わが国の経済損失は約15兆円といわれ、GDPに占める割合ではワースト1位となっているという。
とくに仕事などのパフォーマンスに注目すると、慢性的な睡眠負債では眠気を自覚しにくく、徐々にパフォーマンスを低下させるとし、
たとえば17時間覚醒では、血中アルコール濃度0.05%のパフォーマンスに相当し、
24時間覚醒では血中アルコール濃度0.10%に相当するという1)(血中アルコール濃度0.05〜0.10%はビール1〜2本、日本酒1〜2合に相当)。
「睡眠の最大の役割は、心と体のメンテナンスにある。
充実した1日を過ごすためにも、睡眠の役割を正しく認識することが重要」
夜のブルーライトは体内リズムに影響
体内時計は、
さまざまな生理現象を調節する機能を持ち、
体内リズムを作り出している。
そのため睡眠においても、
「メラトニン分泌→睡眠→深部体温低下→コルチゾール分泌→覚醒」の順番を保つリズムが重要であるという。
また、体内リズムと光の関係につき、
朝の強い光はリズムを進行させ、
夜の光はリズムを遅らせるとともに、
夜の青い光(ブルーライト)は体内時計に強く作用することから、
夜のスマホやゲームは体内リズムに影響を与えると警告する。
「ソーシャルジェットラグ(社会的時差ボケ)」
ソーシャルジェットラグとは、
蓄積した平日の睡眠負債を返済するために、
休日に寝だめなどを行った結果、
体内リズムが乱れ、
起床困難、入眠困難、蓄積疲労などが起こる現象である。
そして、ソーシャルジェットラグは、心身の健康に影響を与えることから、これを避けるためにも、
「起床時間を休日でも変えない」
「6〜8時間の睡眠時間の確保」
「朝日を浴びて、体内時計をリセットする」など
体内リズムを整えることが重要
「昼間、生き生きと過ごすために、
朝、すっきりと目覚めることが大事」
■文献
1)Dawson D, et al.nature.1997;388:235-237.
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