「眉間のしわ」は心臓病のサイン?
「しわの深さを示すスコアが高いほど心血管疾患で死亡するリスクは上昇することが分かった」
提供元:HealthDay News 公開日:2018/09/17
眉間のしわは心臓の状態が悪い徴候である可能性を示したフランスの研究結果が、欧州心臓病学会(ESC 2018、8月25〜29日、ミュンヘン)で発表された。
年齢の割に眉間のしわが深い人は心臓病が原因で死亡するリスクが高く、
さまざまなリスク因子で調整後でも、
眉間にしわのない人と比べて最も深いしわがある人では心臓病で死亡するリスクが
10倍近く高いことが分かったという。
この研究は、トゥールーズ大学病院センター(フランス)労働衛生学准教授のYolande Esquirol氏らが実施したもの。
同氏らは今回、心臓の健康状態のマーカー候補として額のしわについて検討した。
額のしわに着目した理由は「極めて単純で、相手の顔を見るだけで危険を察知できるから」だとしている。
Esquirol氏らは、就労している約3,200人の健康な成人を対象に額のしわを評価し、その後20年間にわたって追跡した。
研究開始時の年齢は32歳、42歳、52歳、62歳のいずれかであった。
それぞれのしわの程度は“しわスコア”で0点(しわは全くない)〜3点(深いしわがたくさんある)に分類した。
年齢や性、血圧、心拍数、糖尿病の有無などのさまざまな因子で調整して解析した結果、
しわスコアが2点および3点だった人では、0点だった人と比べて心血管疾患で死亡するリスクは9.6倍だった。
また、しわスコアが1点以上だった人では、しわがなかった人と比べて心臓の問題が原因で死亡する確率が5倍以上であることも分かった。
以上の結果から、Esquirol氏は「しわの深さを示すスコアが高いほど心血管疾患で死亡するリスクは上昇することが分かった」と結論づけている。
こうした結果が得られた原因は不明だが、同氏は、動脈硬化に起因しているのではとの見方を示す。
「しわの形成と動脈硬化にはいずれもコラーゲンの変化や酸化ストレスが関与している。また、額の血管は極めて細いため、プラークの蓄積による影響を受けやすい可能性がある。
このことから、しわが血管年齢の上昇や血管の硬化の初期徴候として現れると考えられる」と同氏は説明している。
ただし、この研究は額のしわが心血管リスクを高める原因であることを証明したものではない。
また、心臓病の専門家からはEsquirol氏らの研究に懐疑的な声も聞かれている。
その一人で米アイカーン医科大学循環器学教授のRoxana Mehran氏は「より多くのエビデンスが集積されるまでは、重視すべき研究結果であるようには思えない」と話し、日常的に不安やストレス、怒りなどで眉をひそめる表情をすることが多い人は、心臓により大きな負担がかかっている可能性があることを指摘している。
また、米ケンタッキー大学公衆衛生学部のDonna Arnett氏は「今回の解析で用いられたモデルでは加齢や喫煙による影響が完全に考慮されていなかった可能性がある」と話している。
それでも、Esquirol氏は研究結果を検証する必要性を認めた上で、「費用はかからずリスクを伴うわけでもないため、医師は心血管疾患の危険信号として患者の額のしわをチェックしてもよいのではないか」と話している。
なお、学会発表された研究は通常、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。
[2018年8月27日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.
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