「細切れでも、とびとびでも運動は、効果がありますよ」
「仕事が忙しくて、運動する時間がない」という患者さん【糖尿病外来NGワード】
公開日:2016/12/06 企画・制作 ケアネット
Dr. 坂根がレクチャーする糖尿病外来でのNGワードシリーズ。
■外来NGワード
「運動する時間をつくりなさい!」
「休みの日なら運動できるでしょ!」
「運動できないなら、もっと食事に気を付けなさい!」
■解説
「仕事が忙しくて、運動する時間がない」という言葉の裏には、
「運動したいと思っているが、まとまって運動する時間がとれない」という気持ちがあります。
まずは、「若いころはどんなスポーツや運動をやっていたのですか?」
と過去の運動歴を確認してみましょう。
運動習慣がある人なら、ウォーキングや筋トレなどの運動方法は、熟知しているはずです。
次に、「運動は20分以上しないと効果がない」と勘違いしていないかを確認します。
もし、「20分以上、運動しないと脂肪は燃えない」と勘違いしているようなら、
最新の運動に関するエビデンスを紹介し、
1回10分×3回の細切れ運動でも、1回30分の運動と同等の体力や減量に効果があることを説明します。
運動は習慣化が重要です。
最初は1日に2回の細切れ運動からスタートします。
「1日の中で10分の運動ができる時間帯はありますか?」と尋ねてみます。
1駅前で降りることで、通勤時の行き帰りに10分×2回の運動ができる人がいます。
休み時間に運動の時間をつくる人もいます。
これらの患者の心理とエビデンスを知ったうえで、「仕事が忙しくて、運動する時間がない」という患者さんには、次のように話してみてはいかがでしょうか?
■患者さんとの会話でロールプレイ
医師:運動のほうはいかがですか?
患者:運動不足なのはよくわかっているんですが、運動する時間がなかなかとれなくて…。
医師:なるほど。若いころはどんなスポーツや運動をされていましたか?(過去の運動歴の確認)
患者:学生時代はサッカーをしていました。
医師:そうでしたか。それなら、走れる体力はありそうですね。
患者:それが、なかなか走れる時間がとれなくて…。
医師:なるほど。それなら、いい方法がありますよ。
患者:それは何ですか?(興味津々)
医師:「昔は20分以上、運動しないと脂肪は燃えない」と考えられていたんですが、
実はそうではないんです。
患者:私もそう思っていました。
医師:1回30分の運動でも、1回10分の運動を3回する細切れ運動でも、
トータルで30分なら同じような効果が得られるそうですよ(細切れ運動を紹介)。
患者:そうなんですか!?
医師:そうなんです。それを週に5回行うことができれば、
週に150分の運動となり、減量や血糖改善に効果が上がると思いますよ
(週当たりの目標を説明)。
患者:それなら、スキマ時間に歩くようにしてみます(うれしそうな顔)。
■医師へのお勧めの言葉
「細切れ運動でも効果がありますよ!」
参考文献
1)Murohy MH, et al. Med Sci Sports Exerc. 1998;30:152-157.
2)Schmidt WD, et al. J Am Coll Nutr. 2001;20:494-501.
3)Jakicic JM, et al. Int J Obes Relat Metab Disord. 1995;19:893-901.
4)Jakicic JM, et al. JAMA. 1999;282:1554-1560.
5)Vlachopoulos D, et al. BMC Public Health. 2015;15:361.
6)Eguchi M, et al. Ind Health. 2013;51:563-571.
7)Samuels TY, et al. Prev Med. 2011;52:120-125.
講師紹介
坂根 直樹 ( さかね なおき ) 氏
京都医療センター 臨床研究センター 予防医学研究室長
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2018年10月23日
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