高齢者の健康長寿には魚が有益
/BMJ
提供元:ケアネット 公開日:2018/10/29
高齢者における血中濃度の連続測定で、
魚由来のオメガ3系多価不飽和脂肪酸
(n3-PUFA: エイコサペンタエン酸[EPA]
、
ドコサペンタエン酸[DPA]
、
ドコサヘキサエン酸[DHA]
、
EPA、およびDPA(魚由来のDHAや植物由来のα-リノレン酸ではない)の上積みが認められると、
健康長寿
(healthy ageing)でいられる可能性が高いことが明らかにされた。
米国・タフツ大学のHeidi TM Lai氏らによる 前向き長期コホート研究
(Cardiovascular Health Study)の結果で、
BMJ誌2018年10月17日号で発表された。
健康長寿は、慢性疾患、認知・身体機能障害がない生存
として定義される。
魚および植物由来のn3-PUFAは、生理機能に良好な影響を及ぼし、健康長寿に有益である可能性が示唆されていた。
また、自己申告に基づく食事性のn3-PUFA高値とベースラインバイオマーカーとしてのn3-PUFA高値は、
心血管疾患のリスクと逆相関することが示されていた。
今回の結果を踏まえて著者は、
「高齢者は、さらなるn3-PUFAを含む食事(魚)の摂取を、
というガイドラインを支持する結果であった」
とまとめている。
平均74.4歳の健康長寿高齢者のn3-PUFA値を1992〜2015年追跡測定
検討は米国内4地域で1992〜2015年の間に行われ、
n3-PUFAの連続測定値と健康長寿の関連が調べられた。
参加者は、1992〜93年のベースライン時に健康長寿が認められた2,622例で、
平均年齢は74.4歳(SD 4.8)、
女性63.4%であった。
被験者の血漿リン脂質n3-PUFA値をガスクロマトグラフィで、
1992〜93年、
1998〜99年、
2005〜06年に測定し、
植物由来のα-リノレン酸、
魚由来のEPA、DPA、DHAなど全脂肪酸を%算出した。
主要評価項目は健康長寿で、
慢性疾患(心血管疾患、がん、肺疾患、重度CKDなど)や
認知・身体障害のない生存、またはその他の要因
(65歳以降の健康長寿アウトカムの一部ではない)
による死亡と定義した。
イベントについては、医療記録や診断検査に基づき中央で判定または確定した。
n3-PUFAの高値群の非健康長寿リスクは18%低下
線形モデルを用いた評価において、
長鎖n3-PUFAの高値群ほど
非健康長寿リスクは低い傾向がみられ、
時間変化曝露および共変量で多変量調整後の五分位範囲で
18%(95%信頼区間[CI]:7〜28%)の低下
が認められた。
個別にみると、
DHAでは関連がみられなかった
が、
EPAおよびDPAではリスク低下との関連が認められた
(それぞれ15%[6〜23]、16%[6〜25])。
植物由来のα-リノレン酸は非健康長寿と関連していなかった
(ハザード比:0.92、95%CI:0.83〜1.02)。
(ケアネット)
原著論文はこちら
Lai HT, et al. BMJ. 2018;363:k4067.
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2018年12月10日
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