北朝鮮との国境の町・丹東の市場(日本にも輸出される乾物)/(提供写真)
日刊ゲンタイDIGITAL2017年9月15日
北の資金源に…マツタケと覚醒剤がミサイルに化けている
昨年10月、韓国の国防相(当時)は、国会で〈北朝鮮が1回の核実験で使う費用は500万ドル(約5億円)程度〉と発言していた。もちろん、設備や研究費を入れたらこの数十倍、数百倍はかかる。
また、韓国外務省によると、各種の弾道ミサイルの発射に、昨年だけでも約2億ドルを使っているという。
GDPが2兆円程度の貧乏国が、どこからお金を出しているのか? 元韓国国防省分析官で拓殖大学国際開発研究所の高永テツ研究員がこう言う。
「現在、主な資金源は中国との国境貿易で輸出する石炭、砂金、レアメタルなどの鉱物資源ですが、ほかにも有力なルートはあって、覚醒剤、麻薬の密輸、マネーロンダリングです。その筋からは、マリフアナなど北朝鮮製は品質がいいことで知られ、現在も日本で取引があります。また、中東・東南アジアには、弾薬やピストルなどの武器販売をしています。北朝鮮で資金が途切れることはないのです」
北朝鮮事情に詳しいジャーナリストも「中国・丹東では、鉄鉱石を買い付けに来ていた日本の商社を見たこともあります。“中国経由”の鉱物資源の多くは北朝鮮産の可能性があり、日本企業にも“需要”がある」と言う。
■禁輸しても“中国産”に化けて流通
当然、地道な外貨稼ぎも行っている。日本政府は北朝鮮への制裁措置で、2006年から輸入を全面禁止にしているが、今も中国経由の“偽装食品”が日本国内に数多く出回っているという。
有名なのは、マツタケだ。一部報道によると、昨年秋には北朝鮮産のマツタケが日本に150トン程度密輸され、15億円ほどの利益を得たという。ほかに高値で取引されているのは、漢方の原料である高麗ニンジン、そして海産加工品だ。
「中国・丹東の海産物市場を取材すると、実は新鮮な活魚のほとんどが北朝鮮海域で取れたものです。北朝鮮の業者は、中国の業者に対し、漁業権を売るという方法と取れた魚介類を新鮮なまま、または加工品として売る方法を取っていました。中国の海は汚染されているためです。イカとホタテなどは加工して日本に輸出していると話していました。タラ、特に干しダラも流通してます」(前出のジャーナリスト
居酒屋チェーンの“珍味”も、中国経由の北朝鮮産が多いという。
「例えば、居酒屋や大手スーパー、デパートで扱っている『いなごの佃煮』や『蜂の子』は、ほとんどが“中国産”です。現地の業者などに取材すると、中国が北朝鮮から輸入していることが分かりました。関西地方では居酒屋メニューとして定番の『スズメ』も北朝鮮産。中国で毛をむしって塩漬けにしたものを日本に輸入します。 中国業者と取引する日本の業者は実態を知らないことが多い」( 食品問題に詳しいジャーナリストの吾妻博勝氏)
蜂蜜も人気だという。関東の業者が言う。
「北朝鮮産は海外産の中でも、品質の良さに定評がある。新鮮で濃厚です。当然、日本には『中国産』として輸入されるわけですが、本物の“中国産”は精製蜂蜜で質が落ちる。偽装蜂蜜は5倍、10倍の値が付くこともある。中国産なのに“高級品”なら、北朝鮮産だと考えていいでしょう」
日本人が飲み食いしてくれた“恩恵”を受けて 、 北朝鮮はミサイルが飛ばせるのだ。
(おわり)
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タグ: 北朝鮮
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