北朝鮮は徹底的に洗脳教育を行っている(C)AP
北朝鮮船漂着の裏で囁かれる 日本政府の“猿芝居”と“黙殺”
日刊ゲンダイDIGITAL 2017/11/28
「北朝鮮に帰りたい」——。木造漁船で漂着した北朝鮮の漁師の言葉に「本気か?」と思った人もいるだろう。
この漁船は今月23日に秋田県由利本荘市の船舶係留施設で発見された。乗船していた男性8人が保護され、警察の事情聴取に「北朝鮮から漁のために来たが、船が故障して漂着した。北朝鮮に帰りたい」と話したという。
同じようなケースは15日、能登半島沖でも起きた。転覆した小型船が発見され、北朝鮮の男性3人を救出。このときも男性は「帰国したい」と語った。これが真意なら、脱北の意思はなかったことになる。
今月13日、板門店で脱北を試みた兵士が銃撃されて世界的ニュースになった。命懸けで逃げる人がいる一方で、日本に流れ着いても北に戻りたがる人がいる。
この違いはやはり「洗脳教育」にあるようだ。
元韓国海軍少佐で拓殖大学研究員の高永テツ氏によれば、北朝鮮国民の3分の1は国家と金正恩を命懸けで守りたいと本気で思っている。彼らは朝鮮労働党の党員や幹部の子女が多いそうだ。そうした愛国心の強い人が日本や韓国に漂着したのち帰国すると会見が開かれ、愛国者や英雄として勲章を受けることもある。
■北朝鮮と日本政府、それぞれの思惑
ただし、こうした漂着の一部が仕組まれた猿芝居だというビックリな見方も存在する。
「北の工作員が船の故障や天候不良を装って日本に漂着し、声高に『祖国に帰りたい』と言うケースがあるのです。これによって世界に『北朝鮮は生活が苦しい国ではない』と訴えかけることができ、北朝鮮国内の結束を促すこともできる。難破船の漂着は工作員のミッションなのです」(高永テツ氏)
一方、日本政府の発表に懐疑的なのは国際ジャーナリストの太刀川正樹氏だ。
「日本にたどり着いた人たちが『亡命したい』と希望しても、日本政府が黙殺し、帰りたがっていると発表して無理に帰国させている可能性があるのです。もし亡命を受け入れたら、北朝鮮有事が起きた場合、難民が日本に押し寄せるかもしれない。そうならないように拒絶の姿勢を示しているのではないかと思われます」
先日、麻生副総理が北朝鮮有事に関して「警察で対応できるか。自衛隊、防衛出動か。じゃあ射殺か。真剣に考えたほうがいい」と発言して物議を醸した。
日本政府は射殺を口にするほど亡命や難民を警戒している。漁船漂着の裏にはさまざまが事情がありそうだ。
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