アチコチ報道を拾い読みしました、下記どうですか?
2017/6/20 3:30日本経済新聞 電子版
政局占う「仁義なき戦い」 号砲、都議選(ルポ迫真)
2017/6/20 3:30日本経済新聞 電子版
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS14H4P_U7A610C1SHA000/?dg=1
「文書があるの無いの、共有のファイルに入っているのどうのと国会最終盤でもめました……」。
東京都知事の小池百合子(64)は18日、JR立川駅前での街頭演説で声を張り上げた。
23日告示—7月2日投開票の都議選に向け、自らが代表を務める地域政党「都民ファーストの会」の候補を応援する場だったが、なぜか話題は学校法人「加計学園」問題。都議選の小池の戦いはいま、国政にも矛先が向かう。
都議選は小池にとって政治生命を左右する負けられない戦いだ。1年前の都知事選で圧勝し、今年2月の千代田区長選でも、自身が支援する候補が勝利した。だが都議選で負ければ、すべて水泡に帰しかねない。
あくまでも都の政策を決めるのは定数127の都議会だ。小池が豊洲移転や都政改革を唱えても、都議会が認めなければ、具体化のための条例も予算も成立しない。「笛吹けども踊らず」で小池はレームダック(死に体)になってしまう。
「将来の国政復帰を考えている」「首相を狙う」。小池について、永田町ではこんな観測があるが、都政が行き詰まれば次にはつながらない。短期的な都政運営でも、将来への布石でも、都議選で小池支持勢力が過半数(64議席)をとることが譲れない一線になる。
日本経済新聞とテレビ東京が16〜18日に実施した世論調査では小池を「支持する」は66%。4月の68%から5月に61%に下がったが、持ち直してきた。小池の都議選は世論の風頼みの要素も大きい。高水準を維持している小池人気を都民ファーストへの支持にどう結びつけるかが焦点だ。
「小池さんが来たっ」。5月30日、足立区で同会から出馬する候補が開いた会合。
小池が姿を現すと、参加者は大歓声と拍手で迎えた。用意した200席は満席で、立ち見も約100人。
「ここまで入るとは」と陣営幹部も目を見張った。
だが小池が約10分で離席すると、参加者の多くが小池と共に会場外に。
会合の最後に候補が叫んだ「ガンバロー」の掛け声の時には、100人程度しか残らなかった。
街頭演説でも小池が話を終えると、人の群れはさっと引く。小池人気と裏腹に、肝心の都議選候補が浸透しない、と小池周辺は心配する。陣営幹部は「投票用紙に『小池』と書かれては困る。圧倒的な人気を、個々の候補者にどう結びつけるか」と頭を悩ます。
小池が狙うのはメディアを使う「空中戦」だ。
都民ファーストが決起大会を開いた1日。小池は自民党に離党届を提出した。守旧派とみなす自民党との決別を宣言し、マスメディアは対立構図をこぞって報じた。最近の小池は、首相の安倍晋三(62)の名前を出すことは避けながら、加計問題への言及も始めた。
「豊洲と築地の比較はもういい。アウフヘーベンしてほしい」。12日午後、都庁7階の知事執務室。小池は判断を保留してきた市場移転問題について事務方から説明を受け、こう話した。
アウフヘーベンとは矛盾する論を統合し、解決する意味の哲学用語。豊洲移転か築地建て替えかの二者択一から離れ、第3の道を目指す意味だ。
自民党は豊洲移転を求め続けてきた。同党都連会長、下村博文(63)は「(小池が)決めないために100億円以上のカネが無駄になった」と訴えてきた。もし豊洲移転だけを決めれば、この批判が直撃する。一方で築地を何らかの形で存続させれば、築地再整備派の支持もあるかもしれない。告示直前に小池は判断を示す見通し。世論はどう評価するだろうか。
負けられない戦いなのは自民党も同じだ。
「(小池は)進退伺を出したが党が決めてくれないと言う。出処進退は自分で決めるべきなんですよ、これは!」。4日。都内の会合で官房長官、菅義偉(68)は声を荒らげた。「いかにも小池さんらしい。知事就任後、なかなか物事が決められないというのが広がっている」とも皮肉った。
都議会自民党はいま56議席。都議は国政選の「選挙マシン」。欠ければ都選出の自民党国会議員の地盤に響く。都議と国会議員は「運命共同体」(都連関係者)だ。
都議選は当面の国政運営にも、来年12月までに必ずある次期衆院選にも影響しかねない。「都議選という『仁義なき戦い』は今後の政権力学を変える力をもっている」。自民党幹部は身構える。(敬称略)
【このカテゴリーの最新記事】