ゴーン会長、投資名目資金で自宅購入か 20億円超
2018/11/20 6:47 (2018/11/20 8:38更新)日本経済新聞 電子版
日産自動車会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)が報酬を過少申告したとして金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で逮捕された事件で、ゴーン会長がベンチャー投資名目で海外子会社をつくり、自宅用の高級住宅を購入させていた疑いがあることが20日、関係者への取材で分かった。東京地検特捜部も同様の事実を把握しているもようだ。
関係者によると、日産は2010年ごろ、オランダに子会社を設立。資本金約60億円は日産が全額出資した。社内会議ではベンチャービジネスへの投資が目的と説明されていたが、目立った投資実績は確認されていないという。
一方、10年以降、この海外子会社の資金を使って、ブラジル・リオデジャネイロの高級マンションとレバノン・ベイルートの高級住宅が相次いで購入され、いずれもゴーン会長に無償で提供された。購入費に加え、維持費や改装費も日産側が負担しており、総額は20億円超になるという。
一連の取引は代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者(62)=同容疑で逮捕=が主導したという。
リオはゴーン会長が幼少期まで、ベイルートは幼少期から高校時代まで過ごした都市。ベイルートにはゴーン氏が会長を務める仏ルノー、日産、三菱自動車のいずれの主要拠点もない。
関係者によると、投資資金を流用したリオやベイルートの住宅購入とは異なる方法で、ゴーン会長が別の海外子会社からパリやオランダ・アムステルダムでも住宅の提供を受け、賃料を一部免れた疑いもあるという。
ゴーン会長逮捕 西川社長「長年の統治の負の遺産」
日産自動車は19日、カルロス・ゴーン会長らが逮捕されたことを受けて、西川広人社長が記者会見した。「長年の統治の負の遺産」とした上で、ゴーン氏の日産会長と代表取締役の解任を取締役会に提案すると発表した。
ゴーン会長とケリー役員は11年3月期〜15年3月期、ゴーン会長の報酬が実際には計約99億9800万円だったのに、計約49億8700万円と虚偽の記載をした有価証券報告書を提出していた疑いが持たれている。
日産は19日夜の記者会見で社内調査の結果、▽ゴーン会長の役員報酬の過少記載▽日産の投資資金の私的流用▽日産の経費の不正支出——の3点を「重大な不正行為」として確認したと説明している。
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