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伊藤惇夫政治アナリスト
1948年、神奈川県生まれ。学習院大学卒業後、自民党本部事務局に勤務後、新進党、太陽党、民政党、民主党の事務局長などを歴任。「新党請負人」と呼ばれる。執筆、テレビ・コメンテーターなど幅広い分野で活躍中。
「安倍1強」だと官僚まで腐敗墜落する構図
日刊ゲンダイDIGITAL公開日:2019/08/18 06:00 更新日:2019/08/18 06:00
かつて、「政治は三流だが、官僚機構がしっかりしているから大丈夫だ」というのがこの国の“常識”だった。だが、今や完全に「過去の神話」となってしまった。 霞が関のモラル崩壊は 目を覆うばかりである。
財務省の前事務次官は女性記者に対し、耳にするほうが恥ずかしくなるようなセクハラ発言を繰り返し、上司である麻生財務相は「セクハラ罪という罪はない」と言い放つ。経産省、文科省のキャリア官僚は覚醒剤、大麻所持で逮捕、文科省の局長(当時)は便宜を図った見返りに自分の息子を医大に不正入学させ……。
ただ、これらはいずれも人間の道を踏み外した個人が犯した過ち、犯罪だ。より大きな問題は組織ぐるみで引き起こした不祥事のほうだろう。防衛省のイラク日報隠蔽疑惑、森友問題での財務省による公文書改ざん、加計学園の獣医学部認可を巡る文科省、内閣府、厚労省絡みの疑惑、厚労省による裁量労働制に関するデータ不正(捏造?)……。ここ数年、中央省庁が引き起こした不祥事は数えきれないほど。これほど連続的に省庁が不祥事を連発したことなど過去に例がない。なぜ、こんな事態に陥ったのか。背景を探っていくと、やはり「安倍1強」に突き当たる。
これらの不祥事に共通しているのは、安倍政権に都合の悪いデータ、資料は「なかったことにする」であり、なかったことにできないものは「改ざん」してしまう。
一方、政権に都合の良いデータは無理にでもデッチ上げたり、数字を操作してごまかす、である。そこに見えるのは、安倍政権に対する「忖度」であることは言うまでもない。
もともと官僚は政権の強弱に敏感だ。強力な政権には迎合し、全力で支える一方、弱体・短命だと見た政権に対しては巧妙にサボタージュし、足を引っ張る。また、キャリア官僚の最大関心事は自らの出世だ。入省したキャリア官僚の多くは、「せめて局長、できれば事務次官」が人生の目標となる。
そんな官僚たちが、「安倍1強」体制の中で、野党はもちろん、国会や与党さえも無視し、ひたすら「官邸」にひざまずくのも当然だろう。まして、2014年から導入された内閣人事局制度によってキャリア官僚の人事権は官邸が掌握してしまったから、歯向かうことなどできるはずがない。
政治に対する信頼は地に落ちている。その中で、本来なら「公僕」として、国民のために公正、公平な行政を行うはずの官僚機構がここまで劣化してしまったとしたら、国民はなにを信用すればいいのか。今、この国はとんでもない泥沼にはまり込もうとしている。
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タグ: 日本人の正義感
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