マイナンバーカードの申請が急増している
マイナンバーカードと、マイナンバーの通知カードは別物です。ですが、通知カードのナンバーで申請できたと・・日経記者の記。下記でどうぞ。
マイナンバー、「ナンバーあれどカードなし」の残念
日本経済新聞電子版 (写真 同)
「ここか? いや、あっちか? ない、ないっ!」。連休中、もしくはその前のリモートワーク中、1枚の縦長の「はがき」を求めて家の中を探し回った人は多いだろう。自分もその一人。探し物はかれこれ4年以上も前の2015年10月に届いた、自分のマイナンバー(ダブり感あり)を知らせる「通知カード」だ。
「私以外私じゃないの〜♪」のフレーズとともに記憶に刻まれたマイナンバーは、日本に住民票があれば必ず付与される12ケタの数字自体のこと。社会保障や税の行政効率化のため、本人の意向とは関わりなく全員に割り振られ16年から稼働している。そういえば当時会社に届けたけどそれっきり、という人がほとんどのはずだ。
■マイナンバー≠マイナンバーカード≠通知カード
今話題の「マイナンバーカード」はそれとは別物だ。
新型コロナウイルス対策として配られる1人当たり10万円の特別定額給付金が「持っていれば迅速にもらえる」というマイナンバーカードは、顔写真付きのプラスチック製カードだ。電子的な個人認証機能(電子証明書)がICチップに搭載されている。
みんなが持ってるマイナンバー、に対してマイナンバーカードを持っているのは申請した人だけ。その申請に必要なのが4年半前に配られた1枚の縦長のはがき「通知カード」だったのだ。
■申請は結構、簡単だが…
「あった!」
めでたくはがきが見つかればラッキー。あとはQRコードを読み込んでスマホで簡単に申請できる……という触れ込みだが、そこは各自のIT(情報技術)リテラシーとのご相談。自分はなぜかスマホで写真をアップロードできず、パソコンに切り替えてようやくゴール。それでも所要時間は30分程度だったから、簡単といえば簡単だ。
一方、はがきが見つからなければ一手間かかる。「紛失届」を出した上で住んでいる自治体に「通知カード」(正確にはその下についている「個人番号カード交付申請書」)を再交付してもらうのが正式な手順だ。
■急増する申請件数
コロナ禍が深刻になる前の3月1日時点で発行済みだったマイナンバーカードは約1973万枚。人口に対する普及率は15.5%にとどまっていた。
低普及率の理由は「持ってて良かった」のお得度の弱さだ。カードをつくる利点は身分証明書代わりになることや、住民票や印鑑証明などの行政書類がコンビニで取れる程度。今年からはスマートフォン経由の確定申告にも使えるようになったが、万人に必要な機能とはいえない。
そこに降ってわいた今回の「コロナ給付金」。マイナンバーカードがあればサイトからオンライン申請が可能で郵送によるやり取りの時間を短縮して10万円を手にできる。当然、申請数は急増。例えば4月21日の申請件数は約5万8200件と2万2000〜2万3000件だった1〜2月の1日あたり平均申請件数から倍増した。
■残念(1)〜間に合わない
自分を含む駆け込み申請者にとって残念なお知らせは、カードが手元に届くのはどんなに早くても6月以降になること。申請が無事に受け付けられ、自宅に「個人番号カード交付通知書」が届いたら、わざわざ予約を取って自治体窓口に出向く必要がある。
平時でも1カ月はかかったので今なら2カ月待ちもありそうだ。しかもこの時期、各種申請でただでさえ「3密」と言われる混みっぷりの自治体窓口。カードがまだ手元にない人の給付金の申請は結果的に郵送の方がいいかもしれない。
■残念(2)〜世帯主ですか?
「いや自分は既に持っているので」という抜かりのない6人に1人の日本人(最新の普及率は4月29日時点の16.3%)も世帯主でなければ今回は利便性を享受できない。個人ベースのマイナンバーカードに対して、給付金の支払いは世帯ベース。世帯主が全員分をとりまとめて申請するので、例えば世帯主でない妻がマイナンバーカードを持っていても今回は迅速給付には直接つながらない。
■今後はお得が目白押し
それでも作っておいて損はない。コロナで情勢がやや不透明だが、昨年10月の消費増税を機に導入されたキャッシュレス決済に関するポイント還元は6月に終了。9月にはマイナンバーカードを使ったポイント還元策にバトンタッチする計画だった。最大5000円相当の上限付きとはいえ還元率25%というお得度だ。さらに来年3月からはマイナンバーカードが健康保険証として使える制度も始まる予定。コロナ禍が迫る日本が先送りしてきた「宿題」の解決。個人にも密接に関わっている。
山本由里(やまもと・ゆり)
1993年日本経済新聞社入社。証券部、テレビ東京、日経ヴェリタスなど「お金周り」の担当が長い。2020年1月からマネー編集センターのマネー・エディター。「1円単位の節約から1兆円単位のマーケットまで」をキャッチフレーズに幅広くカバーする。
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