以下の、日経の記事は、アメリカの株価の変動が、日本の株価に与える影響を懸念している記事だ。
私が注目したのは、最後の節だ。青字で紹介する。
中曽根康弘政権や小泉純一郎政権など過去の長期政権の終わりは、混迷の時代の幕開けでもあった。アベノミクスの成果は雇用の拡大だとされるが、新政権はコロナがもたらす「雇用蒸発」という新たな難問を突きつけられる。それにいかに取り組むか。米株が変調を来すなか、日本株の行方を占ううえで欠かせない視点だ。
今度の安倍首相の辞任は、体調不良が原因と言われている。政権が行き詰っての辞任ではないから、困惑の時代の幕開けではない。と・・・・・・・。思えるだろうか。
私は、記者の記事の通り、過去の『長期政権の交代は、困惑の時代の始まりだった』と、そして今度も同じだと見える。理由は簡単だ。体調不良の原因は首相を取り巻く事情が変わったからで、行き詰まりは、同様だからだ。
米株変調、バブル崩壊の衝撃 日本の新政権に
日経QUICKニュース 編集委員 永井洋一2020/9/4 14:27日本経済新聞 電子版
3日の米株式相場が突然、大きく崩れ、4日の東京株式市場でも日経平均株価が下落した。財政・金融緩和をテコに4月以降、一本調子で上昇してきた米株にバブル的色彩が強まり、終わりが近づいているとの指摘もある。日本では安倍晋三首相が辞任を表明して、新たな政権が始まる。新政権は日本が抱える課題に真剣に取り組まなければ、米株バブル崩壊という衝撃波の影響が大きくなりかねない。
米株の高値波乱が近いと予想する市場関係者が増えている。バロメーターの一つがナスダック総合株価指数の200日移動平均との乖離(かいり)率だ。2日時点で28.7%と2000年3月以来の過熱状態を示した。
過去、乖離率が25%を超えた局面は00年までのITバブル期や1980年代前半のレーガン政権時代など5回あったが、ITバブル期は乖離率がピークに達してから1年で約60%、レーガン時代は17%下落した。
3日の米株急落は、スマホの投資アプリ「ロビンフッド」を利用する米個人投資家のデリバティブ(金融派生商品)による損失拡大で現物株や上場投資信託(ETF)に売りが波及したのが一因だ。個人マネーがかく乱要因になるのはバブル期の特徴でもある。
今後の相場のカギを握るのは米連邦準備理事会(FRB)だ。大半の市場関係者は金融緩和の長期化を疑わない。だが、そうした前のめりの市場とFRBとの間で温度差が広がっている。
先月27日、パウエルFRB議長は完全雇用の復活を唱え、FRBも新たな金融緩和の政策指針を発表した。しかし、その際に量的緩和の拡充など具体的な方法については一切、示さなかった。大和証券の谷栄一郎チーフ・ストラテジストは「FRBは雇用回復のために金融緩和を続けるが、何が何でも資産価格を支えるのが目的ではないというメッセージ」と受け止めた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、アトランタ連銀のボスティック総裁は3日、「資産インフレを助長するために金融政策があるのではない」と語った。
翻って日本。「アベノミクスでも30年に及ぶレンジ相場は抜け出せなかった」。スフィンクス・インベストメント・リサーチの別府浩一郎代表取締役は、世界の機関投資家のベンチマークであるMSCI株価指数のグラフを示し、こう語る。日本は円高効果もありドル建ての国別指数だと69年末以降、20年程度で約40倍になったが、その後はほぼ横ばい。かたや米国は上昇が続き、今年7月末には約49年ぶりに日本を逆転した。イノベーションの創造や市場の新陳代謝機能といった点で日本は米国に大きく後れを取っている証拠だ。
「市場ではアベノミクスの継続を期待する人が多いようだが、そのことにむしろ危機感を覚える」。トータルアセットデザインの寺本名保美社長は話す。アベノミクスが始まった当初、日銀の大胆な金融緩和は異次元と呼ばれたが、いまや多くの国の中央銀行が同様の手段を採用し、陳腐化した。FRBは、より雇用の拡大を促す政策へとアクセルを踏み込んでいる。
世界の政策指導者の最大の課題はコロナ禍で失われた雇用をいかに取り戻すかに集まっている。人材教育に十分な時間をかけたり、新たな雇用を創出したりという激変緩和措置なしにデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速。このまま職に復帰できない人が大量に取り残される可能性がある。それは日本も例外ではない。
単にデジタル人材を増やせばいいという問題でもない。寺本氏は、「従来型の仕事であっても、都市機能を分散し、地方を活性化すれば、大都市から地方に雇用機会が広がるはず」と考える。
中曽根康弘政権や小泉純一郎政権など過去の長期政権の終わりは、混迷の時代の幕開けでもあった。アベノミクスの成果は雇用の拡大だとされるが、新政権はコロナがもたらす「雇用蒸発」という新たな難問を突きつけられる。それにいかに取り組むか。米株が変調を来すなか、日本株の行方を占ううえで欠かせない視点だ。
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