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2010年09月21日
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カテゴリ: 邦画(09~)
時々見逃した作品をDVDで見て後悔することがある。たとえばこの作品がそうだ。


監督 金子修介
出演 ステファニー 満島ひかり 及川光博 渡辺大 由紀さおり キムラ緑子

一条ゆかりの原作「プライド」である。少女マンガ含めてどのマンガも一応全部読んでいた時期、唯一受け付けなかったマンガ家の一人が一条ゆかりだった。そういう偏見があるものだから、何度も予告編は見ていたのだがパスしたのである。主演女優のことを何も知らなかったのもパスした理由だった。

これこそ映画の醍醐味が満点の作品である。二時間弱、起承転結がハッキリしていて、四人の男女をめぐるジェットコースター物語である。オペラから始まって、途中から「お水もの」になり、最後はポップスの舞台で終わる。日本が韓国にお株を奪われた愛憎劇の伝統をここで復活してくれている。しかも、韓国とは違い最後は主演女優二人の笑顔で終わっているところ、なんとも日本らしい。

「BECK」 ではマンガの原作の「夢」を壊さないという「配慮」からボーカルの声だけを消すというバカな事をしているが、この作品は二人とも見事に歌っている。オペラパートはさすがに吹き替えだけれども、きちんと声を合わせていて、違和感はひとつも無い。ポップスパートでは、プロのステファニーは別として、満島ひかりが3曲歌っていて、全然引けをとっていない。金子修介監督はDVD特典で言っていた。「漫画は繰り返し読める。けれど、映画では時間は止まらない。受け止め方は全然違う。だから映像にするのは難しい。マンガには絵の力がある。映画には芝居の力がある。芝居の力で、マンガとは伍しあるいは越えていくことが重要である。この作品、歌も映画的空間になると、対決していた二人が歌の間だけは融和している、それは映画ならではなの描き方だった」堤監督にいってやりたいような言葉だ。

満島ひかりは改めて凄いと思う。金子修介はなんと「モスラ2」の子役のときから目をつけていたという。(この人の女優を見る才能は異常です)「ウルトラマンMAX」でつばをつけて、「デスノート」で端役に使い、ここでダブル主役に抜擢した。しかも、そのあとブレイクしつつある。宮崎あおいと生年月日がまるきり同じということで私が勝手にライバル扱いをしているのだ。ここでは、金子修介は彼女を思いっきり使っている。彼は怪談映画も撮っているから、彼女のホラーの部分も大いにあり、底辺から這い上がろうとする執念、時に怖く、時にしたたか、時にかわいく、うまいこと撮っていると思う。次の「悪人」が楽しみだ。





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最終更新日  2010年09月21日 10時20分06秒
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