【不眠症カフェ】　Insomnia Cafe

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2008.08.04

ベトナム戦争　あれは麻薬だったのか

(14)

テーマ：考えたこと　想い出したこと　読んだ本(435)

カテゴリ： 🔴 【ベトナム戦争サイゴン駐在時の想い出】

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昔の海外での話だが、「ひょっとしたらあれは麻薬の一種だったのではないか？」と思う様な経験を、二度ほどしたことがある

「おれとヘロインの間にさあ、何かがあってもいいような気がしたんだ」
　　（村上　龍著　　『限りなく透明に近いブルー』より）

これは楽天のある日記のタイトルである
『限りなく透明に近いブルー』
これは私も読んだはずなのだけれど、なにかブランドもの紹介みたいな小説という印象があった
そうか、ヘロインなどについても語っていたのか？

いくら冒険好きでも、私はもちろんヘロインなんかには手を出した事はない
というか、その機会にも遭遇しなかった
ただ、昔海外で、「ひょっとしたらあれは麻薬の一種だったのではないか？」と疑う様な経験はした

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サイゴン駐在時代には、毎晩のようにサイゴンの繁華街に飲みに行った
飲みに行く・・・と書くと簡単に聞こえる
しかし実際には、かなりの危険をかいくぐる事になる

まず、宿舎の前で乗り物をひろう
昨日のブログで説明したが、当時のサイゴンの乗り物としては、下記のオプションがあった
○　シクロ
○　シクロマイ
○　タクシー

乗り物としてはシクロ（人力車）は人力だからサイゴンの街まではちょっと長距離で無理
それに針金のように痩せているシクロの運転手を見ると不憫で長距離は頼めなくなる

シクロマイ（バイクの前に座席をつけたような乗り物）
これはけたたましい爆音で爆走するので、暑いサイゴンの夜には快適な乗り物ではある
しかし危険度は最大

タクシー
超年代物でボロボロなんだけれど、やはり乗り物としてはこれが無難である

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ま、とにかくタクシーに乗ってサイゴンのピチピチ・ミニスカート・愛嬌度最大のサイゴン・ガールの待つ繁華街に向かうのだが、途中が危険でイッパイなのだ
治安がそれほど悪いわけではない
何しろ街中に兵隊・憲兵・警官が溢れているから犯罪者もそうそう自由に歩き回れない

しかしその兵隊・憲兵・警官が怖いのである
犯罪者以上に怖い
彼らは随所に検問所を作っていて、これが「怖い」のだ
むやみに通行者を止めて「怪しい者」をチェックする
現地人はどうだか知らないが、私たち外国人だとパスポートをチェックされる
ビザの有効期限はちゃんとあるから、何も不備はないはずである
しかし彼らは決まってなんらかの文句をつけてくる
文句をつけているように思える
ヴィトナム語を少し話す私も、その「ニャオニャオ」と聞こえるヴィエトナム語は聴き取れない。
ま、聴き取れるように話しているわけでは無くて、要はお金が欲しいのだ
小遣い稼ぎなのだ
一種の非公式通行税である

それはこちらもわかっているから、パスポートを見せる時にはパスポートに紙幣をはさんで手渡す
目の前で堂々とはさむのだ
見えるようにはっきりお金をはさむというところが大切なのだ
それをじっと見ている彼らは「ニャオニャオ」言うのを止める
私たちが差し出したお札入りのパスポートを注意深く、誠実にながめて、紙幣をスッと引き抜く
あとは「行け！」とアゴをしゃくるのである

★　反省点
このように私は海外での贈賄の罪を数え切れないほど重ねてきた罪人である

この検問所の前を通過する時に目をつけられると「ピ～～ッ　！！！」と、笛を吹かれる
運転手がパッと車を止めると彼らが車に寄ってくる
普段はこれでいいのだが、運転手の中には自分の車が笛を吹かれていると言う事に気がつかないやつがいる
状況的には、【検問拒否】　→　【逃走】　と見られてもしょうがない

「ピ～～ッ　！！！」
「ピ～～ッ　！！！」
激しく連呼？されてもまだ他の車だと思っているバカ運転手がいる、たまにいる
そうなると兵隊・憲兵・警官のピストルや自動ライフルが火を噴く
今の段階なら威嚇射撃だが、そのうちに本気で撃つ（はずだ）
私は必死に運転手の肩を揺すって
「止めろ！止めろ！止めろ～～！」と叫びながら弾丸をさけてかがみ込む

実際には弾丸は私の肉体にめり込まなかった
だから今こうして書いているのだが
こんな検問所が途中に一・二カ所はある
兵隊検問所を通過しても次は憲兵検問所、更に次はポリス・・・という具合だ
こういう経験を通じて、今の冷静沈着で・・・、ワイロ体質の私がいるのである

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話がまた回り道だが
要するにそーゆー危険をくぐり抜けて、サイゴン・バーに行き着く
そこで歓楽を尽くし、哀感多く、帰路につくことになる
プチ玄宗である
それからまた障害物競走のような、度胸試しのような検問所網をくぐり抜けて宿舎でタクシーを降りる

日本人男性の【歓楽】の後はラーメンと決まっている
ただサイゴンにラーメンはない
しかし、今では日本でも有名になったフォー（米粉の麺）というものがあるのだ
私の宿舎の近辺にはフォー屋が無い
しかし宿舎の近くの路地で「夜泣きフォー屋」が屋台を出すのだ
そこに私は必ず顔を出す
アルコールの酔いをさましながら牛肉フォー（フォーボー）をすする
香草などのハーブが必ずひとつかみ入っている

私はその当時、ほんの片言だがベトナム語を少し話した
「語彙は少ないが発音は正確・・・に近い」と言うのが私の特技
片言だが会話はなんとかなりたった
通い慣れると人間関係もできる
一番仲がよくなったのはあるお爺さんだ
この人は酒を飲んでいる様子もないのにフォーを毎晩食べに来る

「美人で若い女の子、いるでしょう？　紹介してよ」
ある晩、私の一番得意な話題に入っていった
バーガールとは、サイゴンティーをおごれば、一応おつきあいができる
しかし、私は素人の女性に興味がある
素人の女性に接近する事は、いまだにできないでいた
「うん、その内にな・・・」

お爺さんのその仮約束をとりつけて私はうれしかった
次回からは「いつ？いつ紹介してくれるの？」
会うたびにそう聞いてみた
そのお爺さんは、そのうちについにこう言い出した
「そんなに女と会いたければ、私の家に来い」
「行く　行く」

私はしっぽを振りながらお爺さんの後について行った
まもなく一軒家に着いた
ベトナムではなかなかの家といえる
豪邸とまでは行かないが、お爺さん、かなり資産家だね

部屋に通されたら、フォー愛好家のお爺さんと同年配のお爺さんが（ややこしいかな？）二・三人いる
みんなソファーにすわってテレビを見ている
挨拶をして、しばらくテレビを一緒に見た

ただ、どうも若い美女がいるという雰囲気が感じられない
爺さんばかりである
それが気になる
これでは老人倶楽部ではないか？
ピチピチギャルが来る場所ではない

「お爺さん、約束の美女は？」
こう切りだそうと思った時だ
私の心を見透かしたように、屋台フォー友人のお爺さんが私を手招きした
黒いビロードで囲まれた小部屋に案内された
これは立派に妖しい雰囲気である
清純な美少女と言うより、妖麗な女王系の肉体派が登場しそうだ

（肉体派も好きなので不都合はない）
（清純な美少女を食前酒に、妖麗女王肉体派をメインというのもいい）
（スケスケの黒のレースのドレスなんかで、美脚が足の付け根まで見えて・・・）

期待感に胸をふくらませている私の目の前に、老人クラブテレビ同好会の連中が入って来た
座布団を敷いて車座になる
おいおい、せっかく妖麗肉体派女王（形容詞の順番がちがっているかな？）が出てくるのに、枯れ木のようなお爺さん達の目の前では、することもできないではないか～
何がすることなのかは、この際、問わないで欲しい

不本意な気持ちでいると、車座の各人に木の枕と象牙の大きなパイプが配られた
真ん中にアルコールランプが据えられる
フォー屋台友達のおじいさんが、なにやらアスファルトの様な小さな黒いかたまりを持ってきた
その黒い固まりを針の先に刺して、クルクル回してアルコールランプであぶり始めた
あげくに、その溶けたものをパイプの火口につけて吸って見せてくれた

「うまいの？」
「うまい」と保証してくれる

木の枕に頭を載せて寝そべって象牙のパイプを吹かしてみる
なんだかチョコレート味のようである

「テレビ視聴・喫煙同好会」を去る時に、お爺さんがこう言った
「今晩は眠れないかも・・・　吐く事もあるかも・・・」と言う
なんだかうれしそうである
それでもその夜はぐっすり眠れたし吐き気もなかった

あのお爺さんにはその後も数度、自宅招待を受けて喫煙のおつきあいもした
妖麗美女はやはり出てこなかった
清純美少女やピチピチギャルはもちろん出て来なかった
私はもうあきらめて、その代わりに、パイプの「象牙色の肌」をなでるだけだった

考えてみるとあれは阿片（オピオム）だったかもしれない
でも習慣にはならなかった
ならなかったから、いまの生真面目な私があるわけだが

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中東のある国で、水煙草を吸った
あの長いホースのついたやつだ
屋外にカフェテリアのような水煙草喫煙屋があって、料金を払うと水パイプを貸してくれる
アラブの男達が世間話をしながら、のんびりプカプカ・ボコボコやっている
やはりチョコレートのような味がした
一回でかなり長期間、楽しんで吸う事ができる

吸い終わって宿舎に帰ろうとすると、ちょっとフラフラする
しばらくは食欲が無くなる

一度、この店で店員が水パイプのアラジンのランプみたいな本体部分を開くのを見た
そうして、煙草の素？を入れている所を見つけた
インド産(Made in India)と書いてある小さな缶詰の中から、いつかどこかで見たようなコールタール状のものを取りだす
それを本体部分に充填する
私がそれをカメラで撮影しようとしたら店員が大あわてで制止した

ひょっとして、あれも阿片なのかな？
アラブでは一般の男性はみな吸っていたけれど、みんな阿片なのかな？