【不眠症カフェ】 Insomnia Cafe

【不眠症カフェ】 Insomnia Cafe

2011.04.24
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中国人記者は被災地で何を見たか」
と言う記事をコピペする

著者は福島香織さん
元産経の北京特派員
いろいろ物議を醸す記事を書いた人である
中国政府から北京追放にもなった
そうか、もう産経は辞めたのか
その経歴から、彼女の主戦場は中国事情である

福島 香織(ふくしま・かおり)
 大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。おもに中国の政治経済社会をテーマに取材。著書に『潜入ルポ 中国の女―エイズ売春婦から大富豪まで』(文藝春秋)、『中国のマスゴミ―ジャーナリズムの挫折と目覚め』(扶桑社新書)、『危ない中国 点撃!』(産経新聞出版刊)、『中国のマスゴミ』(扶桑社新書)など。


       ―――― 記事 ――――

 東日本大震災から1カ月が過ぎた頃、私はちょうど香港、広州を旅行中だった。地元の記者、編集者らと会うと、自然に大震災取材の話となった。

 今回ほど各メディアが勢力的に現地に記者を派遣したケースはまれだと言う。日本大使館の発表では3月11~14日の間、記者を対象に臨時で発行した緊急取材ビザは60件以上で、中国メディアの東京特派員やちょうど別件で東京出張取材を行っていた記者なども含めれば初期段階に100人以上が被災地入りし取材したと聞いている。

 CCTV(中国中央テレビ)は私が聞いただけでも地震発生後2日目から5組のカメラクルーが入っている。聞けばヘリコプターをチャーターして最前線取材を行ったそうだ。香港衛星テレビのフェニックステレビも少なくとも2組のカメラクルーが入り、防護服も用意していたという。そういう潤沢な資金で縦横無尽に取材する大メディアだけでなく、地方の都市報や週刊誌まで精力的に記者を被災地に派遣した。

 3月23日付のこのコラム「疑う中国人、信じる日本人」で、私は放射能の影響を恐れて被災地から逃げ出す中国人について紹介したが、退避命令が出るまで最前線で取材していた記者も確かにいた。うち何人かは私もよく知る記者たちだ。今回は、そういう記者たちが東日本の被災地でどのように取材し、何を見て何を感じたかを紹介しよう。

◆  彼女が持っていた現金は7万円

 ある広東の地方紙Pの女性記者A氏は地震発生当時、別件の取材のためにちょうど東京に出張中だった。矢吹晋・横浜市立大学名誉教授と都内の日中友好会館で面談していたところ、強い揺れを感じた。

 広東ではほとんど地震がない。「あまりに強い揺れで、びっくりしたけれども、教授が平常心で話を続けたので、てっきり日本は地震が多いから、このくらいの地震に驚かないのだと思った」とA記者は言う。

 矢吹教授との面談をそのまま終えて、異変に気付いたのは、次の取材約束の相手が時間になっても現れなかった時だった。「時間に厳しい日本人が無断で約束に送れるなんてあり得ない」。確認のために携帯電話をかけようとしてもつながらず、ただごとでないと感じた。しかしまだ、その時はさっきの地震の影響だとはピンとこなかったという。

 やがて取材相手から電車が動かず、約束の場所に行けないとメールがあった。ホテルに戻るとエレベーターが止まっていた。パソコンで電子メールを開くとデスクから、「無事か。すぐに被災地に取材にいってくれ」と指示があった。

 彼女は四川大地震の取材経験があったが、被災地取材の準備など全くしていなかった。装備をそろえる間もなく翌早朝、単身で羽田空港に行き、青森県三沢空港行きと青森空港行きの飛行機のキャンセル待ちに並んだ。午後1時半の三沢行き飛行機にやっと乗ることができた。この時、彼女が持っていた現金は7万円。「泊まるところはどうするつもりだった?」と私が聞くと、「考えてなかった。とりあえず現場に駆けつけなきゃ、と」

 三沢空港で運よく朝日新聞の記者と出会い、車に乗せてもらい岩手県久慈市に入った。午後7時。暗闇の中、コンクリートの建物は津波の力で窓が破られ、窓枠はひしゃげ、木造の建物は梁ごと流されて、その残骸が道路の上に散乱している様子がぼんやり見えていた。「こんな破壊し尽くされた光景を見たことがなかった」

逃げださなくてはならない状況なら、市民がまっ先に逃げ出すはずだ。編集長の判断より、現地に暮らす人たちの勘を信じよう」と思ったという。「被災者たちの落ち着いた姿が私を落ち着かせてくれた」

取材中、一番印象に残ったのは、被災地の近くの都市の差だという。

 「福島市もホテルは営業しており、コンビニやスーパーに物もあった。山形県はさらに普通の生活があった。未曾有の大被害を受けた被災地からそう遠くない地域と隣り合わせの都市で、人々が日常とあまり変わらない生活が営んでいることが驚きで、感銘を受けた。中国で同じような状況が起きれば、みんな争って街から逃げ出して、道路が大渋滞になっていただろう」

◆ 「中国メディアは日本が危ないと煽りすぎだ」

 広東紙のZ記者は地震発生13日夜に東京に入り、14日早朝、カメラマンら3人で宇都宮、福島、仙台とタクシーを乗り継いで被災地入りした。最初の夜は福島市の避難所で過ごした。「避難所の清潔さに驚いた。学校施設を利用していたが、床が磨かれて光っていた。みんな靴を脱いで中に入っていた。整理整頓も行き届いていて、日本人はこんな時でもきちんと生活している」

 避難所は覚悟していたほど悲惨な空気が漂っておらず、穏やかだった、と言う。爆発があった時、市内で取材していたが、誰もパニックに陥っていなかった。

 「むしろ、本社の編集長が慌てて、『早く帰ってこい』と何度も電話をかけてきてね。最後は編集長と喧嘩しましたよ。『いったい誰がそんなに危険だ、と言っているんですか。日本政府は大丈夫だと発表していますよ』と。そして『私は日本政府の発表の方を信じます』とたんかを切りましたよ」

 福島ではタクシーが普通に動いており、タクシーを捕まえて翌日には仙台に移動した。しかし、仙台では長距離を移動してくれるタクシーもなく、事実上の足止め状況に陥った。

 食べ物や水は東京からもってきたスナック菓子やパン、チョコレート、ペットボトル飲料で食いつないだ。3日目にタクシーを見つけた。その日は燃料が足りないというので、翌朝にもう1度迎えにきてくれるという約束をした。

 「一番感動したことは、そのタクシーがきっちり時間通りに来てくれたこと。こんな非常時でも約束を守ってくれて、しかも値段を吹っかけたりしない。すばらしい」

 避難所に泊まっていて被災者とトラブルになったことはないかと聞くと「なかった。むしろ被災者から受けた親切が非常に印象に残っている。中国の留学生らからは怒られましたよ。『中国メディアの報道は、日本が危ないと煽りすぎだ。自分たちは日本に居続けたいのに、親らが早く帰って来いといって聞かない』とね」と言う。

 「避難所では誰も泣きわめいたりしていなかった。怒鳴り合いもなかった。中国の被災地では、泣きわめいたり、争ったり、人を罵ったりしている人が多いのに。日本人はセルフコントロールするのがうまいのだとつくづく思った」


◆ 「短時間で日本はここまで復興した、と報道したい」

 福島の原発事故を受けて、中国大使館が避難勧告を出したこともあり17日までにほとんどの中国人記者は被災地から撤退した。半ばパニックになって帰国する記者もいれば、もっと取材すべきだった、と後ろ髪を引かれる思いの記者もいた。行状の芳しくない記者もいたらしく、批判的な噂を耳にすることもある。

 しかし、私が知る記者たちは、ロジスティックスの不十分な中で、片言の日本語を頼りに、限られた取材費と時間の中で果敢に取材していた。そして多くが、極限状態の前にも冷静で前向きの被災地の人たちに感銘を受けている。

 「もう1度、被災地に行きたい。この短時間で日本はここまで復興した、と報道したい。日本のこの経験に中国が学ぶことは非常に多いだろう」。そう口を揃えている。







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最終更新日  2011.04.26 01:17:45
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