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2017.08.30
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中日の名捕手であり監督でもあった谷繁氏
現役時代は憎らしいだけだったが(笑)
解説者としては実に中身のある事をしゃべる



元中日・谷繁が語る、「本当の結果」を出す方法

「繰り返し成果を挙げる」ためには何が必要か


谷繁 元信 :野球評論家  

2017年07月23日


「元中日・谷繁が語る、「本当の結果」を出す方法 「繰り返し成果を挙げる」ためには何が必要か | スポーツ -


中日ドラゴンズでキャッチャーと監督を兼任していた2015年当時の谷繁元信氏。キャッチャーとして長年活躍する中で培った細かな目配りが、その思考法に取り込まれています(写真:共同通信社)

日本プロ野球で2015年まで実に27年間の現役生活を送り、史上最多の通算3021試合出場を果たした谷繁元信氏。横浜ベイスターズ、そして中日ドラゴンズでチームの要であるキャッチャーとして長期間にわたって活躍しました。監督としても中日で2014年から選手と監督を兼任、引退後の昨シーズンは専任監督を務めました。

プロフェッショナル集団のリーダーは、チームとともにどのような心構えで練習や試合に臨んだら良いのか。そして、周囲にどのように目を配り、どうコミュニケーションを取るべきなのか。著書『谷繁流 キャッチャー思考』にも記されている、ビジネスの世界にも通じる「準備」と「復習」に立脚したプロの思考法を明かします。

今年の春に、プロ入り後初めてスーツを着てキャンプ地を訪れました。これまでは自分が所属したことのあるベイスターズとドラゴンズの練習しか知りませんでしたが、このキャンプで初めて他球団の練習を見ることになりました。当然ながら、自然と目が行くのはキャッチャーの練習風景です。

ある球団では、キャッチャー陣がホームからのノックを1塁ベース付近で受けて2塁や3塁に送球する練習をしていました。その時にふと気になることがありました。ノックを受けたらすぐに球を右手で持って、一度キャッチャー座りをしてから立ってスローイングしていたのです。

しかし、実際の試合では、キャッチャーはそのような動きをしません。キャッチャー座りから立つ際に球を持ち替えているのであれば、走者を刺す時の実践練習にはなりますが、そのような練習はしていませんでした。

また、3塁ベース付近でノックを受けて1塁に投げる練習では、捕球して2、3歩ステップしてから送球している姿が見られました。しかし、実際の試合では、キャッチャーは一歩で投げないと走者をアウトにすることはできません。その送球に対して「ナイスボール!」と誰かが叫んでいましたが、どんなにナイスボールであっても、ステップを踏んでいたら間に合わないのです。

「練習のための練習」に陥っていないか

その球団がどういう意図でそういった練習をしていたのか、聞いてみないと真意はわかりません。でも、長年キャッチャーとして経験を積んできた僕の目には、それが「練習のための練習」のように映りました。

別の球団では、投内連携(投手と内野手の連携守備)での併殺の練習を見学させてもらいました。キャッチャーは3人いましたが、3人なら2人分のインターバルがあるのでそこまできつくないはずです。しかし、3人とも一塁へのバックアップに3歩くらいしか動いていませんでした。

僕が現役時代にその練習をやっていた時は、練習であっても当たり前のように1塁ベースの後ろまでバックアップのために走っていました。なぜならば、練習で繰り返した動きが、試合にそのまま反映されるからです。また、ランナーが3塁にいるにもかかわらず、キャッチャーは座ったままピッチャーに返球していました。

もしも球を離した瞬間に暴投となり、一瞬のスキを突かれてホームに還られたらどうするのでしょうか。おそらくその選手たちは、試合になればちゃんとできると思っているのでしょう。しかし、そういった行いは、必ず試合のどこかに出てきます。

小さいミス、防げるミスは、絶対にしてはなりません。だからこそ、日頃の練習からそれを防ぐ癖をつけておかなくてはいけない。そう僕は思っています。

選手たちは「本番になればできる」と軽く考えているのかもしれません。しかし、試合では瞬時の判断が必要です。考えている時間はありません。だからこそ、体が勝手に動くようにしておかないといけないのです。体に覚え込ませるには、練習から本番どおりの動きで反復練習をしておくしかありません。

大切なのは「もしかしたら」の緊張感

プロだからといって、練習を流してやっていいわけではない。中学でも高校でもやるような当たり前のことを、プロでも同じようにやるべきです。「もしかしたら」をつねに考えて、緊張感を持って練習するべきなのです。

1打席ごとに違う局面を迎えるのが、野球です。似たような場面はあっても、まったく同じ場面は二度と来ません。その状況に合った答えをその都度、その場で出していく必要があるのです。

そして、試合の中には「ゲームをつくる1球」があります。簡単な例で言うと、コントロールの悪いピッチャーが初回にデッドボールを当ててしまったとします。すると、相手チームのベンチは「俺にも当てられるかもしれない」という意識が働き、それがバッティングにも影響します。もちろん、デッドボールを与えてしまったピッチャー側にも影響が出ます。

結果として「あの1球が勝負の分かれ道だった」ということになるケースがとても多い。それが、野球というスポーツの特徴です。だからこそ、1球のミスも許されない。そのことに気づいてから、1球にかける思いはさらに強くなりました。

とはいえ、僕もベテランになってから、実は大きなミスをしたことがあります。

ドラゴンズ時代の試合でランナー1塁の際に、ピッチャーに対して僕はストレートのサインを出しました。その時の僕は少し気が緩んでいて、「ランナー1塁だったら後逸しても進塁1で済む」と思ってしまっていました。

そこでピッチャーが投げたのは、サインどおりのストレートではなくフォークだったのです。ランナーはすでにスタートを切っていました。僕はストレートが来ると思ったところにフォークが来たので対応が遅れてしまい、跳ね上がった球の行方を一瞬見失ってしまいました。その間にランナーは3塁に走っていました。

球は3塁側ベンチのフェンスの間に転がっていったので、「そのままベンチに入るだろう」と思いました。球がベンチに入った場合はランナーに進塁2が認められます。そのため、僕はランナーが3塁で止まると思い、走らずにゆっくりと球のほうへ歩いていました。すると、その球がフェンスにコツンと当たり、ベンチに入らずに小さく跳ね返ったのです。そして、その間にランナーがホームに還ってきてしまいました。

その時の僕は、いつも考えていたはずの「もしかしたら」を考えていませんでした。そういう気の緩みは、キャッチャーには絶対あってはならないことです。どんなに経験を積んでも、ほんの少しの油断でそういうことが起こるわけです。キャッチャーというのは恐ろしいポジションなのだと、改めて痛感しました。

その時は1球の重さを痛感し、「いつまで経っても完璧になれない。まだまだ未熟だな」と猛省しました。その一件で、僕は今でも「ボールを捕りに行かない谷繁」とファンにたたかれます。しかし、それは自分が招いたことなので真摯に受け止めています。


「プロの世界では結果がすべてだ」とよく言われます。ですが、僕はプロセスのほうが大事だと思っています。

そして、「偶然生まれたよい結果」よりも「根拠ありきで考えた末の失敗」のほうが次につながると信じています。結果がよかったからそれでいいという考え方では、次の勝利にはつながりません。

プロセスを把握していれば、同じ「結果」を出せる

「プロセスを知る」ことは、「結果の出し方を知る」ということ。プロセスありきの結果であれば同じ結果をまた出すことができますが、ラッキーで生まれた結果をもう一度繰り返すのは難しいものです。

それが、連勝・連覇するチームと、一度勝っても勝ち続けられないチームの差です。勝利の根拠となるプロセスがないと、勝ちは続かないのです。とっさの勘が働いて「結果オーライ」となることもあるでしょう。では、どうしてとっさの勘が働くのでしょうか。

それは、無意識にきちんと根拠を持っているからです。根拠もなく、ただの勘だけを頼りに試合に出るのは、プロが絶対にやってはいけないことです。

一般企業でも、根拠がないのに「これは絶対売れますよ」と言っても取引先には見向きもされません。きちんとしたデータを示して、「こういう理由があるからこれは売れます」と説明して初めて、ビジネスとしての会話が成り立ちます。それとまったく同じ話です。

お伝えしたように、「なぜそうしたのか」という根拠を示せるのであれば、ミスがあったとしても僕は構わないと思っています。

たとえば、内野手がポジショニングでミスをしたとします。その時、「自分にはこういう根拠(データ)があって、なおかつこの場面でキャッチャーがこのサインを出してピッチャーがこの球を投げたから、それを踏まえてその場所にいました」と説明できるのなら、打球がほかのところに飛んでいって捕れなくても、それは仕方がないということです。

特にプロの世界では、どうしても結果、結果で、プロセスが軽視されてしまいます。指導者も結果だけを見てプロセスを評価しようとしません。プロセスをきちんと評価しないと、やっている選手も継続が難しくなります。



筆者の近著『谷繁流 キャッチャー思考』(上の書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

1990年代初頭のことです。横浜ベイスターズの抑え投手で、絶対的「守護神」だった佐々木主浩さんの信頼を得ようとした時、僕が毎日のように練習している姿を評価してくれたピッチャーがいました。

当時、バッテリーコーチを務めていた大矢明彦さんも、これでもかというくらい練習につきあってくれました。

それが僕のモチベーションになり、まわりからの信頼へとつながって、試合でも結果を出すことができました。反復練習の中では自分なりの根拠も見つけることができたし、独自の理論を構築するステップも踏めていたと思います。

プロセスがどれほど大事かということを、僕は実体験をもって理解しているのです。






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最終更新日  2017.08.31 06:21:14
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