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習近平氏の中国、気になるTPP11
国際・アジア2017/11/10 7:00日本経済新聞 電子版
【ダナン=張勇祥】9日、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は北京でトランプ米大統領との会談に臨んだ。米中企業が交わした総額2500億ドル(約28兆円)あまりの契約を土産に、トランプ氏から「米中関係ほど重要な関係はない」との言葉を引き出した。米国と「大国関係」の構築に歩を進めた習氏だが、気になるテーマが1つある。米国を除く11カ国による環太平洋経済連携協定(TPP)だ。
習氏がこう主張したのは1月、世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)の席だった。トランプ氏が米大統領に就任する直前。米国第一を掲げ、保護主義をいとわぬトランプ氏に対し、中国が自由貿易の新たな旗手になり得ると名乗りを上げた。
5月には「一帯一路」を巡る国際会議を開催、巨額の資金拠出を表明し喝采を浴びた。一方のTPPは米国が離脱を表明、漂流状態にあった。米国がアジア太平洋への関与を弱めている間隙を縫う――。一帯一路だけでなく、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)なども駆使して勢力圏を押し広げる。習氏の思惑通りにみえた。
想定外だったのが、中国の入らない「TPP11」の動きだ。
中国と離れたところで貿易・投資の自由化や経済のルールづくりを進め、9日夜に大筋合意に達した。
韓国や台湾など新たな国・地域が加われば、存在感は一段と増す。
9日にダナンで記者会見した政府系通商団体、中国国際商会の孫暁部長は「自由貿易の推進は賛成だが、皆に恩恵がなければならない。RCEPなどの道もある」とTPP11へのけん制を忘れなかった。
訪中前、安倍晋三首相が掲げる「自由で開かれたインド太平洋戦略」にトランプ氏が賛同したことも気がかりだ。
トランプの賛同を取り付けた事は
日本にとって、中国の南沙侵略に対抗する手段として
大きな成果だった
トランプ氏が2国間交渉を好むスタイルは今も変わらないが、地域間の連携を視野に入れるとすれば、狙いが中国けん制であることは明らかだ。
「確かに意外感があった」。上海にある政府系シンクタンクの幹部は、トランプ氏の言動に驚きを隠さない。幹部は上層部に対し、「トランプは言ったことを守らないことが多いが、変容もする」とのメモを執筆するという。
共産党大会を終え、習氏は「1強」ともいえる権力集中に成功した。「今後はより長い時間軸で交渉に当たってくる」。ある外交筋は、韓国との関係改善で合意したことをこう分析する。
習氏が10日に訪れるダナンでどのようなメッセージを発するのか。大国らしさを見せるため、おうように振る舞う可能性もある。だが、習氏が見据えるのは建国100年を迎える2049年に、経済や軍事などあらゆる分野で米国に並ぶ「強国」になる目標だ。その発言を注意深く読み解く必要がある。
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