【不眠症カフェ】 Insomnia Cafe

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2018.12.15
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記事 宗教 

イスラム教もキリスト教も、なぜ戦後日本でうまく根付かなかった のか​

『月刊Wedge』 2017/07/31 ​​
佐藤優(作家・元外務省主任分析官)
×出口治明(ライフネット生命創業者)(前編)
構成/菅 聖子

 ライフネット生命会長・出口治明さんが「歴史」や「教養」をテーマに、
さまざまな有識者をゲストに迎える対談企画「出口さんの学び舎」。

技術革新やグローバル化により変化の激しい現代で、ぶれない軸を持って生きていくために必要なものとは何か、対話を通じ伝えていく
​――。
佐藤優のおしゃべりや本は
無駄に饒舌
自慢話が大半
ここでも例外では無い


       ―――― ◇ ――――


出口:お会いできることを楽しみにしていました。
いきなり本題に入りますが、
人はなぜ宗教を求めるのでしょうか?

佐藤: 端的に言うと、死ぬからですよね。死んだ先のことがわからないから。でも、もっと重要なのは、近代に生きている人間は、宗教とは自覚していなくても、みんな宗教を信じていると思うんです。


出口:どういうことでしょう。


佐藤:一番近い宗教は「拝金教」。お金を信じている。

出口:お金はあったほうがいい、と。

佐藤:ええ。でも、何のためにあったほうがいいかとは、あまり考えません。

出口:確かに考えませんね。

佐藤:それと、もう一つは「出世教」ですね。とにかく上に行きたい。おそらく、霞が関の中央官庁の課長たちを全員集めて、「年収100万円減らすけれども局長になりたい人いる?」と聞いたら、全員手を挙げると思います。

出口:ハハハ。

佐藤:出世教と関係しているのは、「受験教」ですね。そのような宗教はたくさんあると思うんだけど、一番重要なのは、宗教という形をとらないと思うんです。

出口:というのは?

佐藤:戦前において、「国家神道」つまり伊勢神道は宗教ではありませんでした。日本臣民の慣習だった。だからみんなが神社に行かないといけないし、お札も取らなきゃいけない。そういう感じで事実上の国教にしちゃったわけです。
 そういう伝統的国家神道とか、拝金教とか、出世教とか、受験教が、日本にはうわ~っと浸透している感じがするんですよね。

出口: 「戦後の日本で、なぜキリスト教が広がらなかったんですか?」という質問を受けたことがあります。
 僕は「戦後は、イスラム教も仏教もそんなに広がっていません。生活が豊かになって、普通にごはんが食べられるようになった。現世のいろいろな楽しいことがあるから、宗教はあまり流行らなかったんじゃないですか」と、いいかげんに答えた記憶があります。

佐藤:イスラム教もキリスト教も、戦後の日本でうまく根付かなかったのは、商売につながらないからですよ。実は、明治時代は結構イスラム教徒が多かったんです。なぜならイスラム教徒にはイスラム金融が使えたから。利息とか関係ないんです。
 私はいろいろな宗教を見てきましたが、ある程度ビジネスと相性のよい宗教じゃないと残らないんですよね。

出口:なるほど。

佐藤:もう一つの理由は、薩長土肥(alex99注 単に 薩長土肥の中、では不足で「 薩長土肥 体制」と言わないと理解できなくなる)の中でエリートになれなかった青年たち(alex99注  薩長土肥以外の青年達) が、明治維新のときにキリスト教に行っているんです。能力はあっても薩長でなければ、軍でも官僚でも出世しない。新島襄にしても、植村正久にしても、みんな佐幕派なんです。

出口:確かにそうですね。

佐藤: だから、今の日本のキリスト教は根付かないと同時に、政府に対してちょっと後ろ向きの姿勢を取る。左翼と右翼というよりも、明治維新の恨みがあるわけです。

出口:そこに理由があったのですか。

佐藤:意外とそういう要素は無視できないと思うんですよ。だから薩長が嫌いなんですね、日本のキリスト教は。

出口:じゃあ逆に、なぜキリスト教は、世界的な宗教になることができたかというと……

佐藤:いいかげんだからですね(笑)。

出口:それは、まったくそうだと思います。

佐藤:たとえば、みんなクリスマスのお祝いをするでしょ。

出口:セント・ニコラウスですね。

佐藤:ええ、そうです。あれは1950年代からなんです。それまでクリスマスなんて祝わなかった。アメリカで、つい最近起きた習慣ですからね。

出口:伝統って、だいたいそんなものですよね。

佐藤: キリスト教の教義では、神様が一人のはずなんだけど、一方で「父なる神」と「子」と「聖霊なる神」の3つである 、というね。

出口: 「三位一体」 は、わかったようでわからない考え方ですね。

佐藤:そうでしょう。それから、 イエス・キリストが、人間なのか神なのかもよくわからない。真の神と真の人。教義の根本のところが、ものすごくいいかげんなんですよ。

出口:不思議ですよね。

佐藤:わからない中にも傾向がありまして。 正しく理屈で説明できるようになると、それは異端で火あぶりになるんです。

 たとえば、父なる神がいたとき子と聖霊はいなくて、子なる神がいるときは父と聖霊がいなくて、子なる神キリストがいなくなったら聖霊になったんだ、という考え方が昔からあるのですが、それは異端でかなりの場合、火あぶりになっているんです。
 あるいは、神様がキリストを養子にしたという説もある。これも異端とされました。 理屈で説明できるのは、全部ダメなんです。
 ビジネスの世界では、論争したとき理屈で正しい人はどれくらい勝ちますか?

出口:これは難しい質問ですね。僕はよく「 数字、ファクト、ロジック 」と言っているのですが、データに基づいて科学的な判断をしたほうが、長い目で見ると勝つと思っています。

佐藤:なるほど。

出口:ただ、人間は感情の動物なので、常にそうとは限らない。時間軸をロングランでとらえれば、合理性が勝つと思うのですが、そうでないときはやっぱり時の勢いに押されますよね。
 僕も経験があるのですが、バブルが崩壊した時は「みんな大変やで!」という風潮でした。当時は、体力のある日本で一番大きな保険会社に勤めていたので、「20年後を考えて世界展開したほうが会社は大きくなる」と主張したのですが、「こんなに大変な時は、世界に出て行くより国内を固めないと」となって、完敗してしまった。
 みんなが大変だと思っていると、大変だという気持ちが勝ってしまうんです。歴史においても、長期的に合理的な判断が出来る人が現れればいいですけれど、人間はそんなに賢くないので、ついついその場の雰囲気や時代の空気に流されてしまう気がします。


リテラシーを高めることの必要性

佐藤:私もそう思います。最近の現象だと、総理大臣も官房長官も「北朝鮮が大量のサリンを作っている」と言うでしょ。これは事実だと思うんですよ。でもその先で、「サリンを弾頭に乗せて飛ばすかもしれない、大変だ」とか言っているわけです。だとしたら、記者から質問が出るはずです。

出口:どんな質問が?

佐藤:高校の化学レベルの話ですが、サリンは熱に弱いんです。生物兵器もそうですが、高熱に弱いんですよね。サリンを大量に作って弾道ミサイルにつけたとしても、着弾したときには全く無力化しているはずなんですよ。

出口:打ち上がったときには大変な殺傷力を持っているけれど……。

佐藤:爆発した瞬間の熱も、上がったときの摩擦熱もすごい。

出口:大気圏から再突入するときも、たいへんな熱が生じますからね。

佐藤:だから、毒性はないはずなんです。本来、記者は「総理、サリンは熱に弱いんじゃないですか。それとも弾頭の高熱に耐え得る新しいサリンが開発されたんですか?」と聞かなきゃいけないのですが、みんな「大変だ、大変だ!」ってそれだけです。

出口:それは、政治部の記者が化学の知識がないということですね。

佐藤:ええ、関係していますね。でもこれは高校レベルまでの化学の知識がいかに重要かってことなんです。

出口:みんな忘れちゃうんですね。

佐藤:だから忘れないようにリビューしないといけないんです。こういうのが、本当の応用問題ですよ。その先で、安倍さんや菅さんが嘘をつくことはありません。北朝鮮に関してどういう脅威があるかということを、リストアップした防衛省に言ったはずなんです。防衛省も積極的に嘘をつくはずがないですから。

出口:知らないんですね。
alex99注 
こういう些少な事を、さも鬼の首を取ったかのように
自慢げに言い立てるところ

​​佐藤優の性格だ​


佐藤:シリア問題では、アサド政権の空爆でサリンが使用されたと言われています。おそらくアメリカでは、耐熱性のサリンができているのではないかという仮説を持っているんじゃないでしょうか。

出口:なるほど、なるほど。

佐藤:それだから、ロシアが関与しているのだ、と言っている。オウム真理教のとき、サリンはビニール袋に入れて傘で突きましたよね。

出口:ええ。

佐藤:ということは、もしサリンで攻撃するのだったら、複葉機に載せて、低空飛行で、入れ物に入れたサリンを結び付けて、ナイフで切って落とせば効果があるはずなんです。そうじゃなくて、弾頭に入れて高いところから落としたなら、その熱が影響を与えるはずです。

出口:なるほど、やっぱりリテラシーって大事ですね。

佐藤:ちょっと面白いと思いませんか? 納得いく説明がなかなか難しいですけれど。理屈がわかって、総理のやっていることについて文句を言うと「じゃあお前は、北朝鮮の脅威がないのか」と言われても面倒くさい。だから黙っちゃうんでしょうね。

「小保方さんの件で起きたことは、錬金術と同じなんです」

佐藤:リテラシーの大切さでいえば、小保方晴子さんの件です。これは、なぜ理研の人たちが騙されたかという話ともつながってきます。重要なのは、錬金術に関する知識学なんですよ。
 古代ギリシアっていうのは、観察がすごく重要だったんですよね。

出口:そうですね。

佐藤:アリストテレスの著作で、岩波文庫に入らないような雑品集があるんですよ。その中では、たとえば「糞と小便」の研究がある。時間が経過すると糞は臭いが薄れるのに、小便はもっと臭くなる、とか。いろんな理屈をこねているんですね。

出口:それが観察ですよね。

佐藤:ええ。もう一つ面白いのは、「好色な男性はなぜ髪の毛が薄いのか?」という研究もある。頭の中にはスケベな液体が入っていて、それが加齢と共に頭蓋骨の中にすき間が空いてくるので、頭に染みてきているのだ、と。

出口:ハハハ!

佐藤:アリストテレスは、延々とそれを論じているんですよ。でも中世になると、観察でガタガタ言うのを嫌ったんです。実験が重要な時代になる。

出口:はい、それが錬金術ですね。

佐藤:そうです。錬金術師は必ず研究所を持っていないといけないんですよ。そこで、乾いた道と湿った道、2つの方法で実験します。
 この錬金術に注目すると、カール・ユングが『心理学と錬金術』という本を書いています。面白いのは、錬金術はいくつも成功例がある。しかし、非金属が金属に変わるはずないでしょう、という。
 なぜ成功するのか。それは、「錬金術師が研究室のメンバーの無意識の領域まで支配したときに完成する」と。

出口:なるほど。

佐藤:つまりこれは、 「みんなは金属の変化のほうに注目しているけれど、そうじゃない。心理を変化させる技法だ」 というんです。研究室にいる人が、錬金術師を全面的に信用した場合、「ほら鉛が金になったよ」と言ったら、その部屋にいる人はみんな信用しちゃうんですよ。これ、小保方さんで起きたことと同じですよね。 錬金術師的な才能を持っていると、狭い集団の中で磁場を変化させられますから。

 私はそういうふうに思っているんです。錬金術というとみんなナンセンスだと思うんだけど、心理学で見るなら正しい。そうなるとやっぱり、錬金術について勉強しておいたほうがいいんです。

出口:科学の進歩を考えてみたら、スタートは観察で、その次が実験で、次は人間の目だけではダメだから顕微鏡や望遠鏡などの機械を使って、その次がシミュレーションですよね。

佐藤:ええ、そうです。ところが、そこにはタイムラグがあるわけですよ。仮説というのは、化学的な仮説なのか、それとも一種の妄想なのかということは、わかるまでに時間がかかるわけです。そのすき間に小保方さんはうまく入ったな、と。

出口:なるほど。それにしても、実験と心理学、錬金術と心理学という佐藤さんの指摘は、すごく面白いですね。

佐藤: 私というより、カール・ユングですけどね(笑)。彼はそういう意味では上手な形で精神分析という巨大なマーケットを創りだすことに成功したんです。

出口:ある意味で、錬金術師として大成功したわけですね。


「キリスト教の独身制や東洋の宦官と、国家公務員試験制度は同じ」

出口:元のテーマに戻ると、 僕はキリスト教が世界に広がったのは、寄生階級を組織化していたからではないかと思っているんです。 たとえば、イスラム教では、牧師さんはみんな仕事を持っていますよね。八百屋のおじさんとか。

佐藤:はい。

出口: キリスト教は、ローマ教皇から始まり、寄生階級をたくさん抱え込んでいる。そうするとお布施がなかったら生きていけません。たとえばルターの改革で、ドイツや北ヨーロッパを失ったら、どこかを取り戻さないと自分たちが生きていけない。

佐藤:その通りです。 取り戻すため、拡大しようとした一つが日本だった。宗教改革がなければ、ザビエルが日本に来ることはなかったですからね。

出口: 要するにどんどん領土を広げなければ、ごはんが食べられないという構造があったから、世界宗教になったのではないかと。

佐藤:その要素は確かにありますね。 帝国主義と結びつくことができたのが、キリスト教が広がった大きな理由でしょうね。
あと、カトリック教会は厳しい独身制を敷いていますよね。独身制を敷くというのは、基本、権力があるということなんです。
 どういうことかというと、外で子どもを作るかもしれませんけど、自分の子どもはいないことになっている。つまり、子どもに財産や権力を相続できないんです。東洋やイスラム諸国では、独身制を敷く代わりに宦官を置いていたわけですね。去勢しちゃえば物理的に子どもができないので。
私は、戦国時代からの武将の同性愛
アレも、財産分与を防止する制度の一種だと思う
女性の愛人を作ると財産分与の必要があるが、同性愛は、生産的で無いから
(オイオイ)
財産分与の危険性無しのセックスが楽しめる
私は楽しんでいないが(コレコレ)

私は財産分与のリスクを冒しても女性をとる
(分与すべき財産など無いのだが)(オイオイ)

 ちなみに、日本で近代以降、宦官や独身制と同じ役割を果たしているのが、国家公務員試験じゃないでしょうか。

出口:どういうことでしょうか?

佐藤:要するに、試験に合格しなければ、いくらお父さんが財務次官だって、息子が次官になれるわけではない。そういった形の一種の去勢です。

出口:社会的な去勢、ということですね。

佐藤:はい。それは選挙制度や試験制度や独身制など、いろいろな形でできるんですよね。やっぱり権力があるから必要なんです。

出口:キリスト教はお金もあって、国家権力もあったから。

佐藤:意外と知られていないのは、宗教改革が起きたのはドイツですが、ドイツのルター派の牧師は、今も基本的に公務員です。ドイツには教会税というのもある。だから最近は無宗教だと申告する人が多いようです。教会税を取られないために。

出口:なるほど。

佐藤:それから、ドイツ連邦の文部大臣って聞いたことないでしょう?

出口:はい、ありません。

佐藤:実は、連邦に教育関連の大臣はいないんです。

出口:州でやっているんですよね?

佐藤: 州の教育大臣っていうのは、牧師出身者や神学出身者が多いんですよ。たとえばメルケルも牧師の子で、ガウク前大統領も牧師。ガウクは現職の牧師でした。国家と宗教がものすごく近いんです。
 深井智朗さんが『プロテスタンティズム』という本に書いているのですが、ドイツでは最近ルター派教会に来る人が増えたそうです。

出口:なぜですか?

佐藤:そこが白人社会だから。白人で、ドイツ語しかしゃべらない。移民がいない場所なんです。そこに来て、みんななんとなくホッとしている。ここに本来のドイツがあるんだ、と。ちょっと危ない要素が入っているんです。

出口:へえ。宗教と権力の関係って、面白いんですね。

「イスラム教を理解するためには、キリスト教の知識が必要」

出口:ここまでキリスト教のお話をうかがってきましたが、次はイスラム教のことをお聞きしたいと思います。イスラム教は一般にわかりにくいと言われていますが、教義はキリスト教と同じですよね。

佐藤:同じところと、違うところがあります。とりあえず日本では、一神教で手っ取り早くわかるのはキリスト教です。だから、イスラム教を理解するためには、キリスト教に関する標準的な知識があるといい。イスラム教独特のものと言われても、実はキリスト教も同じ部分がたくさんあるから。

出口: イスラム教はキリスト教のどのグループと似ているのでしょうか。

佐藤:カルヴァン派です。生まれる前に神様から選ばれる人たちと、選ばれない人たちが決まっているという考え方(二重予定説)があります。

 似ていると、磁石ってN極とN極で反発するんですよ。 実は、トランプはカルヴァン派なんです。

出口:えっ、トランプが?!

佐藤: ええ。長老派です。 20世紀以降、アメリカの大統領でカルヴァン派は3人しかいません。ウィルソン、アイゼンハワー、そしてトランプ。この3人は特徴がありますね。たとえばウィルソンだったら、国民に「何やってるの?」と思われながら、「神様から言われたからやっている」という思いで国際連盟を作りました。結局アメリカ議会の反対で加盟できなかったんですが、そういうエネルギーはカルヴァン派特有です。

出口:選ばれたから、頑張るしかないという。

佐藤:アイゼンハワーも、ノルマンディー上陸作戦なんて周囲はやらないほうがいいと思っていましたからね。それが、彼のものすごく強いイニシアティブで実現したわけです。やっぱり神がかり的なところがある。

出口:なるほど、トランプも神がかりなんですね。

佐藤:ええ。 だからトランプを理解するには、彼自身が「自分は神によって選ばれている」という理想を持っていることを知ること 。不動産業で成功したので、普通に考えればそれだけでいいんだけれど、彼は「世のため人のために大統領になった」と思っているんです。だから面倒くさいんです。

出口:何かを信じている人とは、なかなか普通の話ができないですよね。

佐藤:もう一つ、 クリスチャン・シオニズムという考え方があります。
 ユダヤ教とキリスト教はヨーロッパでは仲が悪いんですが、アメリカでは仲がいいんですよ。
 イスラエルというのは、選ばれた人によってできた国であると、聖書に書いてある。この世の終わりに最後の審判が起きて、みんなが楽園に入る前にイスラエルが現れる、と。

出口:メシアだと。

佐藤:そうです。それと同時に われわれが作ったアメリカも、同じような国だ。だからイスラエルを支持しよう。この考え方がトランプの中で強いですからね。だから、娘がユダヤ教に改宗することを全然気にしなかった。 たぶん、富士山に登るのに、山梨から登ろうと、静岡から登ろうと、目指している頂上は一緒、くらいの感覚でしょう。

出口:なるほど、そうか。トランプがカルヴァン派だということを知れば理解しやすいんですね。イスラムも近い。

佐藤:N極とN極だから、イスラムの国とは非常に相性が悪い。反発し合うんです。でも、似た者同士の反発なので、ある程度相手の考え方はわかります。
*後編(8月1日公開予定)へ続く
▼特別対談企画「出口さんの学び舎」
・木村草太(憲法学者)
・森本あんり(神学者、アメリカ学者)
・池谷裕二(脳科学者)
・中室牧子(教育経済学者)





 現職大統領による国家機密漏えい事件で大きく揺らぐ韓国社会。朴槿恵大統領はなぜ、怪しげな宗教者の言いなりとなったのか。産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏が、韓国社会に浸透する「信仰心」の罠に斬り込む。

* * *

「朴槿恵─崔順実スキャンダル」は、ネットを中心に“ムーダン疑惑”として嘲笑の対象になっている。
ムーダンとは、韓国の伝統的な霊媒・占い師のこと。
「朴と崔」の関係は、崔の父・崔太敏が“牧師”と称し、霊媒師紛いの言辞で朴槿恵の心を掴み、その後、一家をあげて彼女に食い込んだことから始まった。

 ちなみに韓国でのムーダン文化の一端を紹介すると、筆者の知人の祖母がムーダンの病気治療や人生相談に凝っていて、ある時、ムーダンの言いなりになって300万ウォン(約30万円)を献金したという。「日ごろ子供たちからもらっている小遣いを貯めていて、それをみんなはたいてしまった。ったくもう……」と知人は大いに嘆いていた。

 先年、不正経営で逮捕された某大財閥の首脳が、企業投資の展望を専属のムーダンに頼っていたとして話題になっている。それを笑ったところ、別の知人は「日本でも会社や家庭に鳥居や神棚があって拝んでいるそうじゃないですか」と逆襲(?)してきたが。
 ところで、「魏志倭人伝」に登場する有名な邪馬台国の女王・卑弥呼は「鬼道に事え、能く衆を惑わす」とある。「鬼道」とは霊媒・占いのこと。 大昔、原始集団において王の支配権を支えたのは、そうした呪術的超能力だった。卑弥呼も朝鮮半島系だったか?


​​​ ただ、現在の韓国は正統派のキリスト教が社会的、政治的に大きな影響力をもっている。ムーダンなどの“伝統宗教”は邪教的として表向きは非難、排斥されがちで、現実政治に入り込む余地はない。
いや
私はこれは違うと思う

私の考えでは
ムーダンは、韓国のキリスト教に入り込み

その土俗的な呪術的な要素を持ち込んで変形させ
キリスト教に帰省して生き延びている


​​​
 現実政治への影響では、日本流に言えば陰陽道である「風水」信仰の方だ。
山や川などの自然環境から人や国家の運勢を占うものだが、大統領選をはじめ韓国の政治や社会を左右してきた地域対立には、この風水説があると言われてきた。

地域対立とは簡単に言うと、韓国南西部の全羅道に対する差別意識のことである。 全羅道は金大中政権(1998-2003年)誕生で1000年ぶりに権力を握りはしたが、今なお野党勢力の牙城であり、社会的に他地域における差別意識は消えていない。
その差別の背景には高麗朝(10-14世紀)の始祖・王建が残した遺言があるというのだ。
「全羅道は人に背く地勢だから権力に近付けてはならない」という、まさに風水説である。今も韓国社会に残る全羅道差別意識の根源は「信用できない、いつかは裏切る」だ。 外国人にはなかなか実感できないけれど。







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最終更新日  2018.12.15 11:36:15
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