ブッシュがイラク攻撃を開始した昨夕、私は、アメリカ大使館前にいた。5時に新宿で打ち合わせが終わり、ともかく、アメリカ大使館に抗議に行こうと思って一人で出かけた。
アメリカ大使館のある 虎ノ門の地下鉄から大使館への道路は、機動隊が封鎖していた。
私のように居ても立っても居られず集まってきた人も、行く手をふさがれプラカードをかざしウロウロしていた。革マルの旗を掲げた大学生のグループが、機動隊ともみ合っていた。
ど うしたら大使館前までいけるかと探っていたら、フッと警備が手薄になった道ができたので、デモルックではない私は、通勤者のふりをし通り抜けた。大使館前にはすでに、200人くらいの若者が、キャンドルを持ちながら「戦争やめろ」「罪のない人を殺すな」「劣化ウラン弾を使うな」「ブッシュは恥を知れ」などと叫んで抗議をしていた。
どういう人たちが中心なのか分からないけれど、労組とか、政党とかの主導でない雰囲気で、「大使館員がまだいるこの時間に発言しましょう」といわれて、高校生や、アメリカ人や、人間の盾になっている人の友人が話した。
私も、マイクを取り、ベトナムの枯葉剤被害の子供たちのことを話し、同じ過ちを繰り返すなと大使館に向かって叫んだ。
2時間ほどいて、地下鉄の駅に戻ろうとしたら、地下鉄付近の人たちの数が膨れ上がっていた。大使館に行かせないために機動隊が何重もの人垣をつくっていて、あたりは騒然とした雰囲気。機動隊の背中側からそれを見て、これを突破して帰るのは困難と思って、ビルに入り食事をした。
居酒屋に入ると中年のサラリーマンたちが外の「戦争やめろ」の動きにも無関心に酔って楽しげに喋っていた。私は、食事をしながら、その酔っ払い達の声に不思議に心が安らいだ。
そうなんだ。これが普通なんだよ。戦争のために命が奪われることは非日常なんだ。必死に声を荒げ「戦争やめろ」と、機動隊ともみ合い叫んでいることも非日常だ。 でも、声をあげて叫ばなければ、戦争はさらに拡大していく。イラクでもアメリカでも、日本でも繰り広げられているこんなささやかな日常を奪われないためにも、戦争を止めさせなければと、私は、黙々と、「さば味噌煮定食」を食べていた。
今朝の新聞によると、昨夕アメリカ大使館前で公務執行妨害で逮捕された人は5名とあった。機動隊の数は、抗議者の数より多かった。放水車まで出している。日本が世界に比べ反戦デモの参加数が少ないといわれているのは、こうした人々の「戦争やめろ」「人を殺すな」という当たり前のささやかな声を、政府が機動隊を総動員して封殺しているからではないか。
今日は、5時半から新宿西口で緊急抗議行動「STOP戦争、守ろう平和、トークin新宿21」で歌います。