遊心六中記

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2018.12.15
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カテゴリ: 探訪
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西側の 「月華門」 に近づくと、北側に 紫宸殿 が見えます。門から見えているのが 「左近の桜」 です。

回廊沿いに南西角まで進み、西の回廊を眺めると左の景色です。左端に少し見えているのが、「新御車寄」の建物の東端です。
回廊の南西角に近いところに、門扉が設けられています。


                           御所・南側の 「建礼門」


切妻屋根の側面です。宜秋門の装飾金具や懸魚の意匠と対比してみてください。
亀にのる仙人 
  仙人と神亀
こちらの 蟇股 はまた異なった場面が採りあげられています。

                    築地塀の端に施された装飾彫刻


東側の築地塀には、「建春門」があります 。こちらは 切妻屋根に唐破風 が付いた形です。  


こちらの装飾金具には、御車寄の唐破風に使われている意匠と同じ部分がある一方で、兎毛通や脇懸魚の意匠は異なっています。木鼻はこちらもシンプルです。


            こちらは 空想上の動物 が彫刻されています。

西の月華門に対し、 東側は「日華門」 です。 日華門から紫宸殿の南庭に入ります

日華門のある東側回廊は「宜陽殿」の外廊から紫宸殿への敷石廊下(軒廊: こんろう )へと繋がっています。紫宸殿の前、東側に 「左近の桜」 が位置します。

南面する紫宸殿の前には、幅の広い階段が設けられています。

西側の前面に見えるのが、 「右近の橘」 です。

「紫宸殿」と記された扁額 が正面に掲げてあります。そして、現在時点では、 紫宸殿内の北側の障壁画が見える状態です。

    ハンディなデジカメで、ズームアップして何とか撮れたのがこの1枚。

これは月華門の近くに設置されていた「 高御座・御帳台 (たかみくら・みちょうだい) 」の写真です。これが普段はこの紫宸殿内に置かれていますので、庭から背後の障壁画を見られる機会はありませんでした。
勿論、高御座・御帳台も部分的に見えるだけだったのですが。

拝観当日いただいたリーフレットに掲載の写真を切り出して、引用します。
室内に、普段はこういう風に置かれているようです。
これらは、即位礼などで用いられる調度品 ですので、新聞報道にありましたが、 現在東京に搬出されています。2019年に、皇居宮殿での即位の儀式に使うための準備が進められているということでしょう
 通年公開に切り替わってからのリーフレト
表紙に紫宸殿の正面全景と 左近の桜が満開の景色 が載っていますので序でにご紹介します。

紫宸殿を眺めた後、日華門を出て、清涼殿に向かいます。
以前の一般公開では、紫宸殿の西側を回り込み、清涼殿に進むという一方通行の順路が設定されていました。このあたりも、相違点です。



日華門北側の回廊に接する形で 「宜陽殿」 が建っています。この建物の北側を西に回り込んで行くことになります。

宜陽殿の北側にはこの入口が見えます。内部には東西方向に壁面で仕切られた2つの敷石廊下(軒廊; こんろう )が見えます。それぞれ東端に扉が設けてあります。
この入口の手前は左右に屋根付きの空間になっています。どう呼ぶのか知りませんが、回廊の一部でしょうか、一種の待機スペースのような感じです。拝観順路は、右側の建物の外周を回り込むことになります。
 左折して、西方向に進むと、
先ほど右に見えていた敷石廊下の北側を通ることになり、左斜め前に、紫宸殿の屋根が見えます。

紫宸殿の背後から、小御所ほかへの渡り廊下の下を通り抜ける形で清涼殿の東庭に入っていくことになります。

庭の西端に、東面する 「清涼殿」 があります。

南端の回廊、清涼殿への外縁の入口あたりに、 「年中行事の障子」 が設置されています。

清涼殿の南側前方に左の「漢竹 (かわたけ) 」があり、北側前方に「呉竹 (くれたけ) 」が植えられています。



清涼殿の中央部だけ畳が敷かれていて、御帳台とその前に狛犬が置かれています。 ここが天皇の日常の御座 だったそうです。「 昼御座 (ひのおまし) 」と称する場所です。


          南側の狛犬と北辺の襖をズームアップしてみました。

清涼殿の北東隅に2種の障壁画が展示されています。
「荒海障子」 と称されています。

この案内板の隣りに、別の説明パネルが設置されていて、更に詳しい解説が施されています。
その要点だけ記しますと、この展示品が1855年に御用絵師・土佐光清が伝統的な図柄に基づいて描いたものの模写であること。襖は下地の木組みが地獄組み、13枚の和紙を重ねた仕上げで、引手は鹿皮という安政当時の工法・技法を復元したものであること。保護の目的でガラスで覆ってあるそうです。

清涼殿の北側のこの一画は、 「滝口」 と称されています。
「(滝の落ち口の意。清涼殿の東北方の御溝水<ミカワミズ>を滝口と言い、そこに詰め所があったことから)昔、蔵人所<クロウドドコロ>に属して御所を守護した武士」 (『新明解国語辞典』) という意味があるそうです。

余談です。『平家物語』巻十の「八 横笛の事」に 斎藤時頼 が登場します。時頼は滝口の武士として宮中に出仕した人。斎藤時頼は建礼門院の雑仕横笛と恋仲になるところから悲恋が生まれます。時頼は出家し、 瀧口入道 と称されます。この話を小説にしたのが、高山樗牛作『滝口入道』です。 (資料1,2,3)
嵯峨の祇王寺の傍に 「滝口寺」 というお寺があるのを思い出しました。念の為ネット検索で確認してみると、やはり記事を書かれている事例を見つけました。 (資料4)
また、高野山別格本山 「大圓院」 が「瀧口入道と横笛」のゆかりの寺院だということを知った次第です。 (資料5)

『平家物語』には、瀧口入道が歌を詠み横笛に送ったという一首と、横笛の返歌が記述されています。
  そるまでは恨みしかども梓弓まことの道に入るぞうれしき
  そるとても何か恨みん梓弓引きとどむべき心ならねば
瀧口入道は後に高野の聖と人々が呼ぶようになります 。一方、横笛は奈良の法華寺にあっていくほどもせず没したと記す他に、桂河に身を投じて死んだと伝える書もあるようです。参照本は前者です。 (資料1)

序でに、ふと 西行法師 を思い出しました。出家する前は「 北面の武士 」でした。北面とは何? 今まで気にしていなかったことが、気になりました。辞書を引くと、公の場で天子は南面します。その天子に対するためには、北に向くことになります。北面するのは「臣下の地位。臣下として従うこと」を意味するそうです。紫宸殿が南面するのはそこに理由があるのでしょう。北面する武士のことを「北面」とも略すとか。さらに、上皇に仕えた、北面の武士の詰め所も北面と呼ばれたようです。 「北面の武士」は白河院の時に設置されたそうで、上皇・院の御所を守った武士という位置づけです 。西行は、佐藤義清と言う名で、鳥羽上皇に仕えていた武士でした。 (『日本語大辞典』講談社)

もとに戻ります。
 滝口側に描かれている襖絵です。

右下に描かれた部分図。魞 (えり) と称される装置の一種でしょうか。 定置漁具 が橋の川下側に仕掛けてある風景です。

清涼殿側から、東の庭というか空間を眺めた景色。北と東を渡り廊下の建屋で囲われています。

         南側は紫宸殿の背面になります。

清涼殿に来た道を戻ります。渡り廊下の下をくぐり、 次は小御所や御池庭のある区画の拝見です
そことの境は東西方向の塀で仕切られています。



つづく

参照資料
「京都御所」案内リーフレット 宮内庁京都事務所
1) 『平家物語 下巻』 佐藤謙三校注 角川文庫ソフィア p143-146
2) ​ 滝口入道 ​  :「コトバンク」
3) ​ 滝口入道 ​  :ウィキペディア
4) ​ 滝口寺(京都市右京区) ​ :「『歌枕』ゆかりの地を訪ねる」
5) ​ 大圓院 ​ ホームページ

補遺
京都御所 ​ :「宮内庁」  
 ​ 施設の概要図 ​ 
 ​ 京都御所の拝観について ​  公開日のカレンダーが掲載されています。
建礼門 ​  :ウィキペディア
建礼門 ​  :「コトバンク」
建春門 ​  :ウィキペディア
建春門 ​  :「コトバンク」
瀧口入道 ​  高山樗牛  :「青空文庫」

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探訪 京都御所を11月久しぶりに訪れて -1 宜秋門・御車寄・諸大夫の間・新御車寄 へ
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こちらもご覧いただけるとうれしいです。
探訪 京都御所細見 -1 宜秋門・御車寄・諸大夫の間
  2016年の春の一般公開での探訪を8回シリーズでご紹介しました。
 この年の7月から通年公開に公開方針が変更されたことになります。
     (報道を見聞していなかったのでしょう。2年余も知らずにきました。)
 対比的にご覧いただけると、おもしろいかもしれません。



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Last updated  2018.12.18 17:28:12
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