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2023.08.03
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カテゴリ: 探訪

京阪電車三条駅で下車して、川端沿いに北に向い、御池通を西に向かいます。
御池大橋から鴨川の上流側、北方向の景色 です。
7月17日(月)、熱中症警戒アラートが発令されていました。

御池大橋上から、 鴨川の下流側、三条大橋を眺めた景色

山鉾巡行を河原町御池近辺から見物しようと考え、この交差点付近が10時20分頃の予定なので、それに間に合う位で出かけてきました。
当初は、適当に場所を移動しながら巡行を眺めようと思っていたのですが、現地に到着して写真の撮りやすそうな場所を探していて、たまたま比較的良い立地を見つけました。
河原町御池の北東側 です。
その結果、 巡行の最初から最後まで、同じ位置から今年の前祭山鉾巡行を観覧 することができました。定点で最初から最後まで観覧したのは久しぶりでした。

「祇園會」の幟につづいて、「長刀鉾」の幟が先頭を進みます

長刀鉾は古来より「くじとらず」とされ、前祭の先頭をきる鉾という決まり事になっています。
四条麩屋町での注連縄切りは山鉾巡行の始まり報道のハイライトの一つです。
その 長刀鉾が四条通と御池通の辻に入ってきました

長刀鉾には、 現在唯一の生稚児が鉾の舞台正面に 乗っています。従者の稚児二人と共に。


ここから、辻回しの準備が始まります
鉾の車は軸が固定されているために前に回転するだけです。そのため、四条通を北に進み、御池通を西に進むには、この河原町御池の中央寄りで、車輪の下に竹を敷き並べ、竹の表面に水をかけて滑りやすくして、鉾の曳き手が結集して力を合わせ、いわば強引に鉾の向きを変えさせるのです。ほぼ30度くらいずつ、 通常3回で、鉾の方向を90度回転 させます。これが 「辻回し」 です。
この熟練技と全員一致の引きにより、鉾が向きを変えるきしみと揺らぎ、ぎゅーっと鉾が動く瞬間のパフォーマンスが見せ場の一つになっています。 裏方さんの活躍です
鉾の上、舞台では囃子方が変わらずにお囃子を継続しています

鉾の曳き手が御池通側に移動 していることがお解りでしょう。


1回目の辻回しを終えると、すぐに2回目の準備 が始まります。
車輪と竹の位置関係を次のズラシがうまく浮くように調整配置が行われます。水の供給のため、手提げ桶が行き来します。



回転作業をくり返すたびに、観客からどよめき が起こります。
この「辻回し」が終わると、


胴懸 は、 中国玉取獅子図絨毯 十華図絨毯の復元品 が使われています。
下水引は緋羅紗地五彩雲麒麟図刺繍 で、1755年製作の作品の250年ぶりの復元新調。計画的に全面新調され平成20年度(2008-2009)に新調完了したと言います。 (資料1)

長刀鉾は正面を御池通に向け、御池通を巡行する大勢に入ります。
御池通には観覧席が設けられています。
50有余年、祇園祭の山鉾巡行を見続けています。しかし、観覧席から巡行を眺めたことはありませんねえ・・・。



見送は伊藤若冲原画の「旭日鳳凰図」綴織 です。若冲生誕300年を迎えた年(2016年)が、長刀鉾保存会設立五十周年であり、それを記念にこの見送が新調されたそうです。 (資料2,3)


2番は「山伏山」 です。


山は 裾幕 で下部が隠れていますが、 小さめの車輪 が付いています。巡行中の直線道路では山を押していく形で巡行しますが、 各辻にかかると、担ぎ手が山を持ち上げ、辻のところでくるりと360度山を担いで回って見せます 。そのパフォーマンスで、観客は山の四周、全体を眺めることができます。こんな具合です。

見送は龍波濤文様の綴錦 。1999(平成11)年に復元新調。



   前の水引は桐竹霊獣図刺繍
  側面の水引は養蚕機織図綴錦 で、2020(令和2)年に復元新調。

山が回わされはじめると、観客は鉾の辻回し同様に自然と声を発し、どよめきが起こります。
この観客の呼応が大きいと、山の担ぎ手も一段力が入ることでしょう。

御池通への向きが整いました。


3番は「白楽天山」 です。
     河原町御池の辻の手前で待機中。
辻に入ると、山を担ぎ上げ、山を回すパフォーマンスの実施です。
     観客の興奮が跳ね返ります。






右の胴懸 は、 18世紀ベルギー製のタペストリー「女狩人」

見送は山鹿清華作「北京万寿山図」の綴織
    左の胴懸は 17世紀のフランドル地方製ゴブラン織「農民の食事」
     1978(昭和53)年にフランスから輸入されたものだとか。

前懸はトロイアの戦争物語毛綴織のを今年(2023)復元新調
   2160年ぶりに新調された。
前水引は西洋唐草文様毛綴織 。これも同時の復元新調品。 (資料4,5)




つづく

参照資料
*図録『京都 祇園祭 町衆の情熱・山鉾の風流』 京都文化博物館 2020
*企画特集「祇園祭」 京都新聞
*​ 長刀鉾 ​  :「祇園祭」
*​ 山伏山 ​  :「祇園祭」
*​ 白楽天山 ​ :「祇園祭」
*​ 山鉾の魅力細見 -長刀鉾- ​  :「京都市下京区」
*​ 山鉾の魅力細見 -白楽天山- ​ :「京都市下京区」

1)​ 祇園祭・長刀鉾の幕を新調/下水引後面、250年ぶり ​ :「四国新聞社」
2) ​ 長刀鉾の装飾品 ​ :「公益財団法人 長刀保存会」
3) ​ 祇園祭・長刀鉾の見送を新調 伊藤若冲の「旭日鳳凰図」が原画 ​ :「産経新聞」
4) ​ 祇園祭 山鉾「白楽天山」の飾り「前懸」160年ぶりに新調 ​ :「NHK」
5)​ 祇園祭 白楽天山 の 前懸・水引が完成しました 祭礼幕の復元新調 ​ :「KAWASHIMA」

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Last updated  2023.08.10 12:09:31
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