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2024.01.28
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カテゴリ: 観照

洛東の三条通から 東大路通の馬町まで飛びます 。馬町は五条通の少し南です。
京都女子大学の学舎に囲まれた形で、 「香雪院」 (天台宗、上馬町)があります。
山門前の左側に 「東山聖天尊」と刻された大きな石標 が立ち、門の柱には 「大歓喜聖天」 と墨書された提灯が吊されています。妙法院の塔頭の一つです。

山門を入り、左折すると、境内地の南端近くに 「鐘楼」 があります。
ここで眼を惹かれるのが 鐘楼の彫刻 です。

ダイナミックに躍動する龍 が、鐘楼の頭貫とその下の貫との間全体に、丸彫りの透かし彫りとして嵌め込まれています。 鐘楼の二面に龍がいます。


もう一面がこちら。





残りの二面には


      雲文が彫刻され、その一面には宝珠が 彫刻されています。
        四面で雲龍と宝珠が彫像されていることになります。


梵鐘は、撞木と龍頭懸ける鈎との関係をを眺めると、 龍頭は2つの撞座と同じ方向に向いている とわかります。この梵鐘、昭和24年5月に鋳造の刻銘があります。

池ノ間には、蓮華座の上に種子が記されています。梵字を判読できませんので、どの仏菩薩を示しているのか。私にはわかりません。残念!

下帯のこちらに造形されているのは 龍のように見えます 。少し不確かですが・・・・・。

見応えのある鐘楼です。

馬町から百万遍に飛びます 。東大路通を北上すると、今出川通との交差点に至ります。
この辺りが百万遍の中心でしょうか。この交差点で東に進めば、

                   2011.5.4            
浄土宗大本山「百万遍知恩寺」 (田中門前町)があります。
​「鐘楼」​ はごくシンプル​です。
撞木側
反対側
この二枚を見ますと、 龍頭が2つの撞座と同じ方向であること がわかります。
また、池ノ間の箇所には阿弥陀如来と天女が描かれていますが、 龍はいません。


龍頭 は撮りやすかったです。

ここから 真っ直ぐ西方向、花園にある妙心寺境内に飛びます
 2015.2.20
訪れたのは塔頭の一つ 「衡梅院」 (臨済宗妙心寺派)です。
鐘楼・梵鐘の部類に入らないのですが、鐘の縁でここに加えておきたいと思います。
鐘について読み直すあるいは見直す時に便利ですので。

拝観した時に、建物の 廊下の近くに吊されたこの鐘 に気づきました。 半鐘 と呼ぶのでしょうか。禅寺ですので、平常の修行行為と絡めた伝達の道具として使われるのでしょう。

この半鐘の反対側、 撞座の左側に龍が 象られています。
また、龍頭は見づらいですが、鈎側の金具の方向を見ると、 龍頭は撞座の方向とは直交しているように 見えます。

ここから、 南へ。京田辺市へ一気に飛びます。

「西念寺」 (浄土宗、田辺北里 )というお寺があります。

この梵鐘の龍頭の部分を切り出してみますと、

2つの撞座の方向に龍頭を引っかける鉄棒が延びているのが見えますので、 龍頭の長軸線は撞座とは直交する形で 付いていることがわかります。
また、撞座の左右の下帯部分を切り出して、部分拡大してみました。分かりづらいので色調補正の画像処理をしてみると、

撞座の左右には、龍が象られている ことが明瞭になりました。
この梵鐘には龍頭以外に ここにも龍がいました!

さて、 近江の湖西、海津にひとっ飛び します。

湖岸近くに、 「西栄寺」 (真宗大谷派、マキノ町西浜)があります。   2020.2.27

ここの鐘楼に龍が いました。 

虹梁の上の束の左側に龍が 立ち上がるような姿勢で胴体が束の背後から右側に回って伸びています。雲龍図という趣です。梵鐘については未確認。

最後は琵琶湖を越えて、湖東の守山市に飛びます。

「最明寺」 (時宗、勝部町)というお寺があります。史跡探訪講座で訪れたお寺でした。

     ここの 鐘楼に、同様に龍が います。
     頭貫の上、蟇股の位置に龍が彫刻されています。

これで、私が探訪した範囲の寺院の鐘楼・梵鐘に棲む龍のまとめとします。

梵鐘に棲む龍について調べていて、梵鐘そのものについて知ったことがいくつもあります。前回の参照資料等から学んだことです。
余談として、その要点のご紹介 を加えます。梵鐘についてのご関心が高まるかもしれません。
主要点を幾つか列挙します。「」は引用文。それがないのは理解した内容のまとめです。
*梵鐘を数える単位は「口」。一口、二口、・・・・。
*「鋳造品の鐘は大きさにより呼称が違う。大きい順から梵鐘・半鐘・喚鐘という。つまり、梵鐘とは鐘高55㎝(1尺8寸)以上、口径76㎝(2尺5寸)以上、重量375㎏(100貫)以上を指した。それ以下のものが半鐘、口径約30㎝以下のものが喚鐘となる」 (資料1)
*飛鳥・奈良時代の梵鐘で銘文があり、現存するのは梵鐘は4口だけ。   (資料1,2)
  京都市妙心寺の梵鐘(文武天皇2年 698年)
  奈良市興福寺の梵鐘(神亀4年 727年)
  福井県越前町劔神社の梵鐘(神護景雲4年 770年)
  千葉県成田山市出土の梵鐘(宝亀5年 774年)
 なお、その時代の作と鑑定されているのは、上記4口を含め全部で16口。
*「梵鐘には別称がある。洪鐘(こうしょう)、蒲牢(ほろう)、鯨鐘(げいしょう)、巨鯨(きょげい)、華鯨(かげい)など鯨の名がつく。鯨にたとえられるのは、その大きさにあるようだ。なかでも蒲牢は竜の子といい、鯨に追われて大声で鳴くことにちなんで、懸吊部にかたどられたのだという。梵鐘には、より大きな音が鳴ることを期待した意味合いが込められたようである」 (資料1)
*鐘の音色で最も格式の高いのは、黄鐘調(オウジチョウ)と言われている。
 兼好法師が『徒然草』の第220段の最後の部分に、「凡そ鐘の声は黄鐘調なるべし。これ、無常の調子、祇園精舎の無常院の声なり。・・・・」と記している。 (資料3)

まだ寺社の境内地には龍の居所があります。

つづく


参照資料
1) ​ 梵鐘の概要 ​  :「織田文化歴史館」
2) ​ 梵鐘 ​         :ウィキペディア
3)『改訂 徒然草 -付 現代語訳』 今泉忠義訳註 角川文庫 p127

補遺
東山聖天参道【道標】 ​  :「フィールド・ミュージアム京都」
香雪院(京都市東山区) ​ :「京都風光」
百万遍知恩寺 ​   ホームページ
百万遍知恩寺 ​   :「京都観光Navi」
妙心寺 衡梅院庭園 ​  :「おにわさん」
浄土宗向旭山西念寺 ​  ホームページ
最明寺 ​  :「滋賀・びわ湖 観光情報」
徒然草 第二百二十段 ​ :「徒然草 (吉田兼好著・吾妻利秋訳)」

  ネットに情報を掲載された皆様に感謝!

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その点、ご寛恕ください。)

こちらもご覧いただけるとうれしいです。

「観照 辰年 時空を跨ぎ龍の棲息地へ」 記事一覧





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Last updated  2024.01.28 00:10:07
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