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2024.02.10
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カテゴリ: 観照

これは 巡行中の「木賊山」 です。

船鉾から少し南に下り、新町通と仏光寺通の辻で右折して、西に進みます。
新町通の一筋西、西洞院通を越えれば、「木賊山町」 です。 「木賊山」 のあるところ。
この山は、謡曲「木賊」を題材とし、木賊を刈る翁が登場します。

山鉾巡りをし始めた大昔、駒札に「木賊」の漢字に「とくさ」とルビが振ってあったので覚えたのですが、私には難読漢字の類いです。
上掲の御神体の人形が右手に鎌を持っています。この木賊を刈ることを題材とした山です。
手許の辞書で「とくさ」を引くと、説明の末尾に古来の用字が木賊と記されていて、「とくさ」の項のすぐ下には、[『砥草(トクサ)』の意」とまず記述されています。「中空の茎が根から直立する常緑多年生のシダ植物。節に葉が退化したさやがある。昔、物をみがくのに使った。[トクサ科]」 (『新明解国語辞典第五版』三省堂) と説明されています。物をみがく、それで砥草の意・・・なるほどです。

龍は この山の 欄縁の飾り金具に います。
 2017.4.15

   宵山の会所飾りを拝見して、撮っていたのはこの2枚です。
駒札には「欄縁金具は緻密な雲龍文様で、角金具は唐団扇(トウウチワ)、木賊と銀兎文様のものが用いられてている」という説明があります。

木賊山から、仏光寺通を西に歩めば次は、 油小路通と交差する辻 です。この辻に立って 南を見れば「太子山」、北を見れば「油天神山」 が見えます。

まずは、油小路通を下り ます。仏光寺通と一筋南の高辻通までの間が 「太子山町」 です。
 2017.7.15
油小路通の南側から撮った景色。

透明の保護カバーが覆っていて見づらいですが、 波濤に 飛龍文様の見送 です。
 2023.7.16
こちらの方が少し見やすいかもしれません。保護シートが被せてありますが。
部分拡大しますと・・・・
上部に正面龍、下部に向き合う龍 がいます。ここに描かれた 龍は5本爪 です。
この見送、2023年の巡行では使われていません。後でご紹介するように、別の見送が山を飾っていました。こういう点も宵山探訪の楽しみになります。


下水引にも龍がいます。

 2023.7.16 
 2017.7.15
毎年のように眺めて来ましたが、 「泰家」の前に 立てられた赤傘と太子山と白抜きされた赤提灯には情緒を感じます。
祇園祭での <太子山会所飾り>をこの泰家が担われ、通りに面した「店の間」で展示 が行われています。 (資料1)

余談ですが、「秦家住宅」として京都市有形文化財登録されている「表屋造り形式」の京町家です。かなり以前に、内部を見学したことがあります。

 217.7.15
宵山では「店の間」の土間から会所飾りを拝見する形です。 正面に御神体の人形・聖徳太子 が祀ってあります。、



その手前に、船鉾で見るのと同類の 飛龍 がいます。
この飛龍は、巡行の時に太子山の 四隅に飾り房を懸ける箇所の装飾金具 です。
 2017.7.15 
この 見送 には、 上部に二頭、中央に大きく一頭の龍 という構図で三頭の金龍が、 「波濤に飛龍文様」として刺繍 されています。 4本爪 です。駒札によれば この見送は平成15年(2003)に新調された とのことです。
 2011.7.16



                  2023.7.16   
2023年の宵山では、会所飾りの展示の懸装品と展示方法が変化していて、単体として造形された飛龍以外は見られませんでした。

 2023.7.17

2023年の巡行 です。
部分拡大して
どこに単体の飛龍が使われているかおわかりいただけるでしょう。
また、見送は上掲の会所飾りで展示された「波濤に飛龍文様」錦織が懸けられていることがわかります。

太子町から油小路通を北に歩み、 仏光寺通を渡ると、「風早町」 です。
 2018.7.14
ここが 「油天神山」 のある所。駒形提灯の前に油天神山と墨書した提灯が見えます。
 2017.7.14 

巡行当日までは、油小路通に建てられた山には、油天神山で今は保存されている懸装品が懸けられています。 宵山でしかみられない風景 です。


龍の部分を切り出して色彩補正の処理をしますとこのような感じになります。


会所飾りを拝見 しましょう。
 2018.7.14
  2017.7.14
山に安置される社殿と鳥居の 右側に前懸 が飾ってあります。 ここに龍が います。
ここの龍も4本爪 です。駒札によれば、平成6年(1994)に新調された 「木瓜波濤龍図(モッコウハトウリュウズ)」錦織 です。


2023年の巡行 です。山正面の前懸の龍はよく見えることでしょう。

下水引は、宵山で見られる龍を刺繍した旧懸装品から平成18年(2006)新調の「翔鷹千花図」に取り替えられています。

仏光寺通の一筋北は綾小路通。この通で右折しますと、「芦刈山町」 です。
「芦刈山」 が綾小路通に建てられています。
 2017.7.15 
​御神体の人形は、難波の浦で芦を刈る老翁​ 。謡曲「芦刈」を題材にした山です。

この老翁の帯の部分に、昇龍と降龍が刺繍されています。


 2023.7.16
胴懸の「雲龍図」 で、中国刺繍・官服直しと説明書きが置かれていました。
 2017.7.15



 2018.7.14
龍を単体で クローズアップして、いくつか撮ってみました。
手製の刺繍なので、それぞれ個性が生まれています。



2023年の巡行では胴懸として尾形光琳原画「燕子花図(ッキツバタズ)」が使われています。

綾小路通には、西洞院通を挟んで東側に「伯牙山」があります。次回はここからです。

つづく


参照資料
*京都市作成の駒札
1) ​ 京都秦家 ​  ホームページ

補遺
木賊・砥草(とくさ) ​  :「茶の湯辞典」
山鉾の魅力細見 -太子山- ​ :「京都市下京区」
秦家住宅 ​  :「京都府観光ガイド」
山鉾の魅力細見 -油天神山- ​  :「京都市下京区」
芦刈山 芦刈山保存会 ​  ホームページ
演目事典:芦刈 ​    :「the 能.com」

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こちらもご覧いただけるとうれしいです。

「観照 辰年 時空を跨ぎ龍の棲息地へ」 記事一覧

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Last updated  2024.02.10 00:10:09
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