恩田陸「蛇行する川のほとり」 | 未定の予定～ラビ的非日常生活～

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2007年02月09日

恩田陸　「蛇行する川のほとり」

テーマ：今日どんな本をよみましたか?(91764)

カテゴリ：読書感想（作家別　あ行・か行）

あの夏の日、少女たちは川のほとりにある「船着場のある家」で合宿を始めた。夏の終わりの演劇祭に向けて、舞台背景の絵を仕上げるために。それは、楽しく充実した高校生活の最高の思い出になるはずだった。ひとりの美しい少年の言葉が、この世界のすべてを灰色に変えるまでは…。そして、運命の歯車は回り始めた。あの遠い夏の日と同じように―。運命の岸辺に佇む少女たちの物語。

恩田陸さんの「蛇行する川のほとり」を読みました。
上の画像は単行本のものですが、元々はノベルス３冊で刊行された作品です。
私は３冊連続で読みましたが、１冊辺り１２０ページ程度と短く、１冊で１章という感じなのであっという間に読めました。
各章で語り手が異なり、１冊毎に雰囲気がガラリと変わるので飽きさせません。

美術部の夏合宿を舞台に様々な思いを秘めた一癖も二癖もある少年少女が登場し、静かに腹の探りあいが始まるという非常に恩田さんらしい物語ですね。
印象的には、男女混合の「ネバーランド」という感じでしょうかｗ
ただ、物語の格となる謎の大半は主要人物が幼年期の出来事であり、真相へのアプローチが中々に困難なのが特徴です。

徐々に謎が明かされ、真相へと近づいて行く過程は読み応え十分ですが、驚いたのは恩田作品には珍しくストレートなミステリと言える展開を見せる所です。
逆に他の恩田作品と共通するのは、まとまっているもののラストが少し納得し難いと思える点ですね。
個人的には、２巻の語り手が最も印象的でラストも今作の最大の見せ場と言える衝撃がありました。
この後どうなるんだと思いきや、３巻の語り手の独特のスタンスもあって物語が停滞しないのは流石ですよ。

魅力的なキャラも多数登場し、どっぷりと物語に浸かって時間を忘れる理想的な読書を体現させてくれる恩田さんならでは作品でした。
これは、素直にお薦めですｗ

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