音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2009年07月24日
XML




 キンクスと言えば 「ユーリアリー・ガット・ミー」 。その(少なくとも日本では)一般化されたイメージには、個人的に違和感がある。「ユー・リアリー・~」は確かに名曲・名演だけれども、それがキンクスのすべてという風潮(というか日本での売り出し方&定着した評価)には疑問を差し挟まざるを得ない。

 1968年の 『ヴィレッジ・グリーン・プリザヴェイション・ソサエティ』 のあたりから、よくわからないコンセプト・アルバム群の世界に入り込んだキンクス…。彼らは70年代を通してそうしたアルバム群の制作に没頭することになる。マニア(とか言って私もそこに足を踏み入れているのかもしれないけれど)は、この時期のキンクスを高く評価すれども、売り上げはいまいち…。でもこれって、もしかしてレコード会社のプロモーションや雑誌等の媒体のやり方次第では、もっと違った結果があり得たのでは?なんて思ってしまう。初期キンクスのイメージから脱却できない日本での売り出し方、それがキンクスのコンセプト・アルバム群の評価を決して高いものにしないことにつながったのではないか。いやはや、今からでも遅くはない。キンクスを新しく聴こうという人たちには60年代末から70年代の名作群をもっと積極的に進めようじゃないか!

 前置きが長くなり過ぎてしまったが、 『この世はすべてショー・ビジネス(EVERYBODY'S IN SHOW-BIZ)』 である。本作は、1972年発表の、レコードでは2枚組だったアルバムだ。現行のCDでは1枚にまとめられている。 「セルロイドの英雄」 という編集版向けにも有名な曲が含まれているので、タイトルを聞いたことがある人は意外に多いかもしれない。確かに、「セルロイド~」も名曲なのだが、他に聴きどころがないわけではない。というかまったくその逆で、メリハリの利いたビートの曲と哀愁漂うナンバーがほどよく配置され、全体を通したストーリーとして聴くけば、まさしく名盤の名にふさわしいのである。よく言われることだが、ノリのいい曲にもどこか哀愁が漂うのは、イギリス的キャラのなせる業か。

 さらに、このアルバムを「お得」と表現した理由がある。それは、LPで2枚目にあたる部分(CDでは11曲目以降)だ。こちらは、ニューヨークはカーネギー・ホールでのライヴ録音になっている。この部分は少し前のアルバムの曲中心。つまり、キンクスが「(セールス)低迷期」=「(マニア的には)最盛期」の楽曲がライヴで再現されている。そんなわけで「お得」なのである。これを聴いて「マスウェル・ヒルビリー」が気に入れば、『マスウェル・ヒルビリーズ』に手を伸ばすのもよし。「ローラ」(ボーナス・トラックを除けば最後の曲)を気に入れば、『ローラ対パワーマン,マネーゴーラウンド組第1回戦』に発展していくのもよし。「ブレイン・ウォッシュド」や「マリーナ王女の帽子のような(She Bought A Hat Like Princess Marina)」(ボーナス・トラック)がよければ、 『アーサー、もしくは大英帝国の衰退ならびに滅亡』 に進むとよい。そんなわけで、手始めに聴くには、お得で、そしてリスナーにとって発展性のあるアルバムだと思う。

 「ユー・リアリー・~」のイメージだけで、キンクスを聞き流していた人は(私もかつてそうでした!)、早目に名作群の1枚(いや、できれば数枚)でも聴いていただきたい、その意味で、『アーサー~』も、『ヴィッレッジ・グリーン・プリザヴェイション・ソサエティ』も、『ローラ~』も、少し後の『ソープ・オペラ(石鹸歌劇)』もいいのだけれど、「お得な」本作から入ってみるのもいいんじゃないかと思う。



[収録曲]

1. Here Comes Yet Another Day
2. Maximum Consumption
3. Unreal Reality
4. Hot Potatoes
5. Sitting In My Hotel
6. Motorway
7. You Don't Know My Name
8. Supersonic Rocket Ship
9. Look A Little On The Sunny Side
10. Celluloid Heroes

~以下、LP2枚目(ライブ)~
11. Top Of The Pops
12. Brainwashed
13. Mr. Wonderful
14. Acute Schizophrenia Paranoia Blues
15. Holiday
16. Muswell Hillbilly
17. Alcohol
18. Banana Boat Song (Trad.)
19. Skin And Bone
20. Baby Face
21. Lola

22. Till The End Of The Day [bonus track]
23. She Bought A Hat Like Princess Marina [bonus track]

1972年リリース。





[CD]KINKS キンクス/EVERYBODY’S IN SHOWBIZ【輸入盤】





にほんブログ村 音楽ブログ ロックへ 人気ブログランキングへ







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2016年02月04日 10時08分18秒
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Free Space

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

にほんブログ村 音楽ブログ ロックへ

にほんブログ村 音楽ブログ ジャズへ

にほんブログ村 音楽ブログ ワールドミュージックへ
      ↑        ↑
ランキングサイトに参加しています。よろしければクリックで応援お願いします!
      ↓        ↓
人気ブログランキングへ



↓相互リンク↓

ちょっと寄り道 [音楽の旅]




Calendar

Keyword Search

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: