音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2009年07月26日
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カテゴリ: ジャズ




 白人テナーのズート・シムズがドーン(DAWN、1956~58年にかけて決して多くはない数のレコードを制作したレーベル)に残した1枚。『Vol.1』とタイトルがついていて、『Vol.2』や『Vol.3』も存在するが、それらはズートとは直接関係ない。
 ズートは1925年カリフォルニア生まれのテナーサックス奏者で、晩年はソプラノサックスも手がけた。その柔らかくスムースな音色が多くのファンの人気につながっているが、残念なことに1985年に癌で亡くなっている。
 さて、本作は1曲目の「九月の雨」の名演でよく知られている。元は映画の主題歌だが、ジャズでしばしば取り上げられる楽曲だ。この曲の演奏のよさは、ドラムのガス・ジョンソンが全体のスイング感を牽引し、他のメンバー、とくにズート(テナーサックス)とブルックマイヤー(ヴァルヴトロンボーン)が絶妙にこのリズムに絡んでいるところにある。それゆえ、ドラムの勢い、テナーとトロンボーン絡み、その結果として全体のスイングした乗りで聴かせる曲に仕上がっている。
 とはいえ、1曲目が有名なだけに、他を忘れてしまってはもったいない出来である。これと同じことは、2.「ダウン・アット・ザ・ロフト」、4.「ノット・ソー・ディープ」、5.「ゼム・ゼア・アイズ」、8.「ワン・トゥ・ブロウ・オン」といった曲にもそのまま当てはまる。つまり、ドラムが全体を引っ張り、テナーとトロンボーンがリズムに絡みつく。誤解のないように付け加えておけば、テナーとトロンボーンは「絡んでいる」のであって、ドラム演奏の上に「乗っかっている」のではない。さらに、ピアノとベースも無視しているわけではなくて、彼らもしっかり「絡んでいる」からこそ、全体の乗りが出来上がっている。
 他の曲も同じような観点から名演と呼べる出来ばえであるが、ドラムがおとなしくなる3.に限っては、上で述べたような魅力に欠ける。要するに全体の中で間延びしてしまうのだ。けれど、本番の核となる魅力を出し損ねた1曲があるおかげで、それ以外の曲の演奏のよさが理解でき、その魅力が際立つことにつながっているのかもしれない。


[収録曲]
1. September in the Rain
2. Down at the Loft
3. Ghost of a Chance
4. Not So Deep
5. Them There Eyes
6. Our Pad
7. Dark Clouds
8. One To Blow On

Zoot Sims (ts), Bob Brookmeyer (tb), Milt Hinton (b), Gus Johnson (ds), John Williams (p)
録音:1956.1.11、1956.1.18






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Last updated  2016年02月04日 10時09分35秒
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