音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2009年09月20日
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 TOTO(トト)は、1978年のデビュー(『TOTO(宇宙の騎士)』)から2008年の解散まで30年間にわたって活動したバンドである。TOTOというバンド名の由来は諸説あり、『オズの魔法使い』の犬の名前、日本の有名なトイレメーカー(東陶機器)など、メンバーやその場その場で説明が様々なようだが、ラテン語の"すべて(totus)"に結びつけたものが(後付けかもしれないが)いちばんもっともらしい説明である。

 結成の経緯は1976年、ボズ・スキャッグスの『シルク・ディグリーズ』の録音に参加したセッション・ミュージシャンたちに遡るが、実際にはこの時点でも旧知のメンバーであったという。本盤『ハイドラ(HYDRA)』を含むバンド初期の活動においては、デイヴィッド・ペイチ(キーボード、ヴォーカル)とジェフ・ポーカロ(ドラム)がバンドの音楽的方向性を担っていた(なお、後には、ギターおよびヴォーカルのスティーヴ・ルカサー中心のバンドへと変化していく)。

 TOTOは1978年にファースト・アルバム『TOTO(宇宙の騎士)』をリリースし、大きなヒットを記録した。しかし、メンバー自身が"真のデビュー・アルバム"との認識で世に送り出したのは、第2作にあたる本作『ハイドラ』(1979年)の方であった。

 よくTOTOは産業ロックの典型のような言い方がなされる。元がセッション・ミュージシャンの集団なだけに、実際、80年代には何でもありないろんなジャンルの録音に参加している。しかし、上記の"真のデビュー・アルバム"という認識を考えると、TOTOは「大衆迎合的AORバンド」や「何でも屋バンド」というだけではなかったことがよくわかる。

 本作『ハイドラ』では、タイトル名のギリシア神話の水蛇(ヒドラ、ヒジュラーとも言い、龍と形容されることもある)の伝説をモチーフにした壮大なストーリーが繰り広げられる。冒頭から7分を超える表題曲 「ハイドラ」 。そこから龍を討伐する聖ゲオルギウス(英語ではSt. George)をモチーフにした2. 「St. ジョージ&ザ・ドラゴン」 、そして、それに続くシーンとして登場するバラード曲の3. 「99(ナインティ・ナイン)」 と4.「ロレイン」。筆者はこの奥深さを備えたくだりだけでもうノックアウトであるが、テーマが愛へと移っていくB面(5.~8.)も全体の構成力・各曲のクオリティともに高い。

 シングル曲でもある上記の3.「99」に関して、さらに付け加えておけば、この曲を本アルバムの中で聴けば、本来、単なるシングルのバラード曲である以上に、こうしたコンセプトを持ったアルバムの中で確固たる位置を占める曲であるという事実に気づかされる。そして、本盤の音楽的な深みはもちろんのこと、ストーリー性やアルバム全体の構成といった部分でも、TOTOの懐の深さを再認識することになるのだと感じる。


[収録曲]
1. Hydra
2. St. George And The Dragon
3. 99
4. Lorraine
5. All Us Boys
6. Mama
7. White Sister
8. A Secret Love

1979年リリース。





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Last updated  2016年02月18日 20時44分27秒
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