音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2011年06月14日
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 TOTO(トト)は1978年から2008年まで活動したアメリカのロック・バンド。もともとはセッション・ミュージシャンたちが集まって形成され、デイヴィッド・ペイチ(キーボード、ヴォーカル)とジェフ・ポーカロ(ドラム)が活動の初期にはバンドの中核を担っていた。80年代に一世を風靡し、やがて時の経過とともにスティーヴ・ルカサー(ギター、ヴォーカル)が中心のバンドへと変貌していった。

 時代が時代だけに“産業ロック”あるいは“商業的ロック・バンド”、元がセッション・ミュージシャンだけに無節操に何でもやる、などと揶揄されることもあるが、メンバーの腕が何より優れていて聴いていて気持ちいいというのが、ささやかなTOTOファンでもある筆者の印象である。そして、そんな彼らの“売れ筋”と言えば、やはりバラード、スロウ系のシングル曲である。この記事から数回は、TOTOのスロウな名曲を振り返ってみたい。第1回目の今回は、セカンド・アルバム所収の「99(ナインティ・ナイン)」である。

 この曲は、1980年、前年リリースの 『ハイドラ』 からのシングルとしてカットされ(ちなみにシングルB面はアルバム表題曲の「ハイドラ」)、ビルボードで26位にチャートインした。アルバムでは5分超の長めの曲だが、シングルカット時には3分半ほどの短縮バージョンになっていたようだ(筆者の手元には元のアルバムやベスト盤しかなく、いずれも5分強の元バージョンしか確認できず)。

 淡々としたバラード調で、“I Love You”の決めゼリフが印象的。この曲でのリード・ボーカルはスティーヴ・ルカサーだが、曲を作ったのはデヴィッド・ペイチで、ペイチによれば「みんなが白い服を着て、番号をつけられていて、名前などなく、そこで僕が“99”なる女の子に恋をする」というストーリーとのこと。

 要するに未来を描いたSF的な情景なわけだが、これには元ネタがある。ジョージ・ルーカスの処女作『THX 1138』(1971年、日本では劇場未公開)である。舞台は25世紀、名前はなく番号で管理される世の中で主人公が女性と恋に落ちるという設定で、まさにこの「99」のテーマそのものである。

 ということは「99」は単なる映画ネタのパクリなのかということになってしまうが、ペイチ自身も述べているように“とても若い頃に書いた曲”なのだからご愛嬌といったところか。はたまた、アルバムの流れの中でちゃんと位置を占めている曲だけに、ここだけパクリ呼ばわりは失礼といったところだろうか。

 いずれにせよ、この曲そのものは大ヒットというわけにはならなかったが、後々のバラード路線の伏線としては重要になったと思う。そして、何より、後の大ヒット曲「ロザーナ」や「アフリカ」に負けず劣らずの名バラード曲と思うのだけれど、いかがであろうか。



[収録アルバム]

TOTO /  Hydra  (1979年)

その他、ベスト盤類(例えば下記)にも収録。
TOTO / Past To Present 1977-1990 (1990年)
TOTO / Best Ballads (1995年)




[関連記事リンク]


TOTOのシングル曲追想(その2)「ロザーナ」

TOTOのシングル曲追想(その3)「アフリカ」

TOTOのシングル曲追想(その4)「アイル・ビー・オーヴァー・ユー」






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Last updated  2011年06月18日 07時37分09秒
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